初依頼に挑戦!
「さてと、無事に登録出来たし、この後はどうする?」
「今日はもう遅いから、依頼だけ見ておきますか?」
「あ、私とアレナムでもう見たよ?たいしたのは無かったよね?」
「やっぱ、朝早くに来ないと良い依頼は無いわね」
「それに卒業兼歓迎会パーティーがありますわ」
「明日の朝早くに来ましょう!」
キャロリン達は依頼を受けるのを諦めて1度大使館に帰り、その後は少し休んでから卒業兼歓迎会に向かうのだった。
「あ、あの、卒業パーティーは?」
「え?……そう言えばそんなのも有ったわね!?」
「何にも準備してませんよ!?」
「そ、卒業パーティーが……」
垂れ幕にはドライト教授を迎える会と書かれていて、完全に卒業パーティーは忘れ去られているようだった。
そして卒業生達は暗い顔をしてチビチビと飲み物を飲むだけで、食事も取っていないと言う悲惨な卒業パーティーになりつつあった。
「やあやあ諸君、私の歓迎会にようこそ!」
「ドライト教授の歓迎会にこんなに集まってくれるなんて、私も嬉しいですよ!」
「ドライト様にドライト教授がいらっしゃたわ!」
「学園長、早く出迎えないと!」
学園長と副学園長はキャロリンに言われて卒業パーティーの事を思い出したが、ドライトとドライト教授が現れるとまたもや卒業パーティーの事を忘れて、ドライトの元に走り去ってしまった。
「……ドライト様に相談してみるしかないですね」
キャロリンもドライトの元に行くと、卒業パーティーの事を相談した。
「なんと!?それは可哀想ですね、なら私が何とかしましょう!」
ドライトがそう言うと、会場の空間をねじ曲げて広げる。
そしてその中心に卒業生専用相談所を作るのだった。
「さぁさぁ!卒業生限定の相談所ですよ!
進路や装備、なんでも相談して下さい!」
ドライトがそう言うと、遠巻きに見ていた卒業生の1人が意を決して相談所に歩み寄る。
「あ、あの、私は卒業後にダラムアデで魔導鎧の研究をするつもりなんですが、最近行き詰まってしまってて……何か良いテーマは無いでしょうか?」
「ふむ、ならこの魔導鎧を見てください?
どうですか?素晴らしい彫金でしょう?ですがこの彫金はただの装飾ではありませんよ?」
「これは……魔力の道になってる?
それに魔術陣も兼ねてるんですか!?」
「ふふふ……この鎧は起動しません、差し上げますから動くように頑張ってみますか?」
「は、はい!」
この光景を見ていた卒業生達は、慌ててドライトの前に並び始める。
学園長とマサミも並びたい様だったが、卒業生のみだと言われて諦めていた。
こうして卒業生達は思い出深い卒業パーティーをそれぞれに楽しんだのだった。
「なんか納得いかないけど、卒業パーティーも終わったし早速ギルドで依頼を受けましょう!」
っと言う事でキャロリン達は冒険者ギルドに来ていた、入った瞬間に「ヒィ!?」っと小さな叫び声が周りから聞こえたが、ドライトが居ないことを確認すると安堵の声が聞こえた。
「依頼を探しましょう……」
そしてキャロリン達が依頼書を見て回る、だがやはりキャロリン達のランクだとたいした依頼はなかった。
「Gランクでも、ろくなの無いね……」
「しょうがないでしょ、Iは装備もない人で、Hが装備を手に入れたばかりの人がなるランク、実質Gが駆け出しのランクなんだし」
「そうですわね……この薬草の採集でも、あら?」
「リティア様、どうかしましたか?」
「この依頼は面白そうですわ?」
「どれですか……平原のモンスターについての調査、ですか?」
「ええっとですね」
リティアが読んだ依頼内容はこうだった、昨日から平原に謎のモンスターが出て、通りかかる冒険者に因縁をつけているとの事だった。
これだけならギルドがわざわざ動くことはないのだが、因縁をつけられているIランクの冒険者が居たところに、Bランクの冒険者達がたまたま通りかかり、助けようとして逆にボコボコされたとの事だった。
「BランクのPTが手も足もでなかったの?」
「平原にそんな強力なモンスターが出ましたっけ?」
「どんなモンスターか、確認するだけだから私達にも受けられますね」
「因縁をつけられた冒険者とかボコボコされた人達から話聞けなかったのかな?」
「姿形を誰も覚えてないんだそうですわ……」
リティアの言葉でキャロリン達は顔を見合わせて言うのだった。
「「「面白そう!」」」
「あ、キャロさん、依頼を受けるんですか?
……こ、これを受けるんですか?気をつけて下さい、ボコボコにされたPTと言うのが中々人達だったんですよ?
あの深緑の鐘にも匹敵するんじゃないかって言われている、ホープなんですが」
デレシアの説明を聞いて、キャロリン達はますます気合いが入る。
「「「これにしよう!」」」
こうしてキャロリン達の初依頼は決まり、平原に向かうのだった。
「でも、どんなモンスターなんだろうね?」
「Bランクが手も足も出なかったって言うんだから、相当なものよね」
「それにそのモンスターの姿形を覚えないってのが、気味悪いるいよね?」
「何かの認識阻害だと思いますわ」
「なんにしろ平原を探索……あれってシリカ様じゃないですか?」
「ほ、本当だ!シリカ様~!」
ナタリーが少し離れた所にシリカが立っている事に気がつき、それを告げると。
レイナが嬉しそうに駆けつける。
「レイナ、それに皆も、こんな何もない平原でどうしたの?」
「シリカ様、私達は謎のモンスターの探索に来たんです!」
「あら、私達もその依頼を受けてるのよ。
他の皆は別のところを探しているわ」
どうやら、シリカ達も面白そうだと同じ依頼を受け、バラバラに別れて探索しているようだった。
「じゃあ、サルファ様も他の皆様もいらっしゃるのですか!?」
「ええ、エルナエナ達も居たわよ?
彼女達もバラバラになって探索しているわね。
あなた達はどうするの?」
なんとエルナエナ達もこの平原に来ているようだった、シリカは「考えることは皆一緒ね?」っと言って目を細めている。
「私達はバラバラにならないで探索します」
「どの様なモンスターか分かりませんので、私達は警戒しないとですから」
シリカはレイナとキャロリンの返事を聞いて、ますます目を細めて嬉しそうにうなずいている。
「じゃあ、気をつけてね?
そこら辺に皆も居ると思うから、何か有ったら声をかけてね?」
そう言うとシリカは手を振りながら、歩いて行ってしまった。
「シリカ様もお気をつけて~……」
レイナは名残惜しそうに手を振り返している、そしてセイネ達はアンジュラ達も居ると聞いて謎のモンスターではなく、アンジュラ達を探し始めてしまうのだった。
「アンジェ様~……うーん、ここら辺には居ないのかな?」
「リア様も居ないし、もっと遠くを探してるのかもね?」
「いや、謎のモンスターを探そうよ?」
「キャロちゃん、サルファ様が近くに居るのに探さないなんて、考えられませんわ?
あなた達もモンスターなんか探してないで、サルファ様達を探すべきですわ!」
そう言いながら胸を張るリティアを見ながら、ナタリーが言う。
「でも、シリカ様達やエルナエナ様達が探していて見つけられないモンスターを私達が見つけたら、ドライト様やシリカ様達に誉めてもらえるかも知れませんよ?」
「「「……それよ!」」」
先程まで、モンスターの存在すら忘れていたような勢いでサルファ達を探していたリティア達は、今度はモンスター探しに集中し始める。
そんなキャロリン達の前にメルクルナが現れた。
「お、キャロちん。
キャロちん達も例のモンスター探し?」
「メルクルナ様達もなんですよね?
先程シリカ様に会ったんですよ」
「そうなんだ、私達は深緑の森に行こうと思ったんだけどさ、マリルルナがこれが面白そうって、依頼を受けてきちゃってね?
チエナルナも面白そうだからこれが良いって、言い始めちゃってさ」
そんな話をしながらメルクルナと一緒に歩いていると、人が倒れていた。
「エ、エルナルナ姉!?」
「う、うそ!?まさか死んでる!?」
慌てて駆け寄ると、エルナエナの直ぐ側で何かが動いた。
メルクルナが警戒するが、その何かは凄まじい勢いでキャロリンに飛びかかって来たのだった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます