キャロリン達のサマーキャンプ・イン・亜空間 宝物庫へ行こう!


戦いは終わった……


神々の戦いで1番傷ついたのはいったい誰なのだろう……


神々自身か……それとも普通の人々なのだろうか?


その答えは歴史だけが答えてくれるだろう……


「主にわらわが酷い目にあったのじゃ!」


「何ですか!せっかく格好いいナレーションを詠んでいるのに!邪魔しないで下さい!」


「何がナレーション……何してるんじゃ?」


ドライトが何かの作業をしているのを横から邪魔したユノガンドだったが、ドライトのしている事に興味を持って質問してきた。


「宇宙要塞の攻防の映像を編集しているのですよ、ナレーションなど着けてお客様の関心を惹くのです!」


そう説明しながらドライトが操作するパソコンをユノガンドが覗きこむと、映っていたのはユノガンドが棍棒で殴り付けられているシーンだった。


「な!?おぬしそんなところも流そうと言うのか!

赦さぬ!赦さぬぞ!」


「煩いですよ!これで原始の神々だけでなく、その部下の方々からも予約が殺到するのです!」


「ちょっと待つのじゃ、何でその映像で部下から注文が殺到するのじゃ?」


「へ?ああ、ならライブ中継で見ていた色々なところの眷族神の方達からの感想を見てみますか?」


そう言ってドライトはディスプレイの映像を巻き戻す、そしてOPに流れたのは!




『凄い!これなら合法的に上司が殴れる!』


『エルナルナ達が某原始の神に斬りかかった映像を見て、私にもチャンスが有ると思うと身震いした!』


『あいつを殺れるゲーム……こんなのを待ってた!』


『某原始の神が棍棒で殴られたシーンを見てたら、手が勝手に予約をいれていた!』




「どうですか?この感想の数々は!?

ただ、眷族神さん達はお忙しいので、中々リアルタイムで見れないのですよ?

だからこの編集したショートバージョンを見てもらって、もっと沢山の眷族神さんに、このゲームに参加してもおうと思うのですよ!」


「うむ!こいつ等の情報を教えるのじゃ!

原始の神を舐めるとどうなるか思いそらせてくれるわ!」


「個人情報を私が教えると思いますか?

それこそ私を舐めないでほしいですね!?」


そう言ってドライトはユノガンドにシッシッっと手を振って、追い払う。


「お、おぬし本気でわらわを怒らせたいのかの!?」


「何を言ってるんですか!ユノガンド様こそ私を怒らせたいのですか?

あなたの事を祖父ちゃんに祖母ちゃん達にチクらなかった事を、感謝するのですよ!?」


「……?ガンジスやレムリア達にチクられて困る事なんぞ無いわい!

早くこいつ等の情報をよこすのじゃ!」


ユノガンドはそう言うと、ドライトに掴みかかる。

するとユノガンドを左右から拘束する者が現れた!


「な、なんじゃ!?レムリアにヌーマではないか!何で止めるのじゃ!」


「……ドライトに聞いたわよ?」


「……あなたドライトの弱みを探ってるんですって?」


「……エルナルナ達もじゃ、わらわだけじゃなくエルナルナ達も同罪なんじゃ!」


ユノガンドはエルナルナ達を巻き込んで、罰を軽くしようとした。


「エルナルナさん、皆さんもちょっと来てください」


「どうしたんですか?

ってユノガンド様は何で捕まってるんですか!?」


「ちょっと聞きたいんですが、エルナルナさん達も本気で私の弱点を探せてたんですか?

祖父ちゃんと祖母ちゃんが視てますから、嘘をつかないようにお願いしますね?」


ドライトに言われてエルナルナ達は表情を引き締める、そんなエルナルナ達にドライトが問いかけた。


「あなた達も私の弱点を本気で探ってたんですか?

正直に答えて下さいね?」


その問いにエルナルナ達は顔を見合わせてから言う。




「ドライトさんの弱点をですか……敵対してる訳ではないですし、実は邪神だとか言うんじゃないですよね?

なら知る必要が無い気が……」


「そうですよね?

それに下手に知って邪神や魔神に知られたら問題ですし、本気でなんか調べませんよ?」


「私は弱点を本気で探してた!腋の下とか足の裏とか……え?真面目な話ですか?

メリルルナ姉も言ってたけど、本気ではないですね?」


「ってか、ゲームとかちょっとしたケンカで争う事が有るけど、その為に本気の弱点を探るのは……」


「禿げ薬の秘密なら本気で探ってました!」


エルナルナ達はそう言うと、ユノガンドを見る。


「「「……ユノガンド様、まさか本気で弱点を探ってたんですか?」」」


そのユノガンドはライトソードを振り回して、レムリアとヌーマから逃げようとしていた!


「なんじゃ、なんじゃ!?

ちょっとドライトの弱点を知って、いい様に操ろうとしただけなのじゃ!

それをよってたかってなんじゃ!」


「「よけい悪いわよ!?」」


ユノガンドはレムリアとヌーマに両腕をガッチリと掴まれて、連れていかれたのだった。


「まったく……私の弱点を探ろうとして、祖父ちゃん達が黙ってる訳がないのに、何を考えてるんですかね?」


連れていかれるユノガンドをエルナルナ達と眺めていると、シリカ達が人化を解いて、1mほどの龍の姿でやって来た。




「あなた、ゲームは負けたけど宝物庫は見せてね?」


「旦那様、妹さん達も見てみたいと言ってますから頼みますわね?」


「ダーリン、いいから黙って見せろ!」


「……夫に弱点なんか……無い!」


どうやら何処かで聞いていたらしく、アンジュラは夫には特に弱点は無いと怒っている。


「要するにユノガンド様が痛い目にあったけだけって事?」


「そうなりますね?」


「「「……めでたいわ!」」」


ドライトの言葉にエルナルナ達は喜んでいると、どうやって逃げたのか分からないがユノガンドが走ってきた。


「おぬしら、わらわの不幸を喜ぶとは何事じゃ!」


「「「ユノガンド様!?」」」


エルナルナ達は慌ててチリヂリに逃げようとするが、そこにレムリア達が現れてユノガンドを拘束する。


「あなたね、眷族達にこんな態度とられるなんて普通じゃ……他も似たようなものか……」


「なんにしろ!うちのドライトを操ろうなんて良い度胸じゃないの!」


「ま、待つのじゃ!赦してたもれ、出来心なのじゃ!」


ユノガンドを連れて行こうとするレムリアとヌーマを呼び止めたのはドライトだった。


「待ってください、お仕置きも良いですが祖母ちゃん達にも見てもらいたい物が有るんですよ」


祖母達だけでなく、祖父達を見て言うドライトに全員が顔を見合わせる。


するとステラとルチルが龍の姿に戻りながら抱きついてきた。


「「私達は!?」」


「もちろんステラとルチルにも見てもらいますよ?

それにシリカ達にキャロ達にもです!」


「見せたい物って……よほど大事な物なのね?」


真剣な表情したドライトに家族達だけでなく、エルナルナ達の表情も引き締まる。


「エルナルナさん達と他の皆さんも見たいようですね、ですが言っておきますがその場所で暴れたり荒らしたりしたら……本気で私も怒りますので、注意して下さいね?」


エルナルナ達に天使族や竜人族も見たいとソワソワしていたが、その言葉を聞いて相談し始めている。


エルナルナ達は見に行く事に決めたようで、シリカ達の側に立ち天使と竜人達は幹部だけが行く事に決まった。




「あれ?バキエルじゃない、珍しいわね?」


連絡役でメルクルナの神界に詰めているバキエルが珍しく居るので、オフィエルが話しかける。


「メルクルナ様が珍しい物が見れるからって……他の天使達も見てきて報告してくれって……」


そう答えたので先程のドライトの発言を教えるとバキエルは、騙された!っと逃げようとしたがアスモデルに死なばもろともと、捕まって一緒にドライトの後を着いて行く。


「ここって……ドライトさんの秘密の小部屋じゃない?」


「メルクルナさん、覚えてましたか?その小部屋の中まで行きますよ」


そう言って部屋の中に行き、シリカ達や両親に、祖父祖母達も入り浸るようになった部屋の中にある、ベッドの前まで行くと横に動かしたのだった。


「あなた?ベッドがどうしたのって、階段!?」


「シリカ、ここが私の真の宝物庫の入り口です!」


「こ、ここが!?」


「え?私達も結構入り浸ってたわよ?」


それを聞いてエルナルナ達も驚いている。


「そうですわよね?でも、宝物庫があるなんて気がつきませんでしたわ……」


「なんにしろ入ってみてみようぜ!」


「……夫……ハリーアップ!」


アンジュラに急かされてドライトが階段を下りていく、その先に居たのは……


完全武装のドライト軍団だった!


100人ほどの集団だったが、普段の軍団員と違いふざけた雰囲気はまったく無く、ドライト以外に人が居るのを見て殺気だっていた。


「……大丈夫です、通すのですよ!」


ドライトがそう言うと、ドライト軍団は道を開ける。

そしてドライトが先導していき大きな扉の前まで来ると、合図して扉を開けさせる。


そして扉の先に有ったドライトの宝物とわ!




「ええっと、ステラちゃんとルチルちゃんの卵の欠片?」


「こっちはディアン様の角の先ですわね?」


「セレナ様の鱗もあるぜ?」


「……こっちは……ガンジス様達の……爪の垢」


あっちこっちのケースに入った品物を見ては、全員が唖然としていた。


「変な物ばかり……あら?シリカさん達のも有るわね?」


「へ?どれどれ!?って、これって結婚した時にリヴァイアサン様にいただいた、夫婦の肖像画じゃない!」


「あ!これ探してたのよ!

神器の1つで、絵がかれている者達に異変があると教えてくれるのよね」


「こっちは……私達がドライトに渡した1番の宝石ね」


「あれから全然見ないと思ったら、こんな所にあったのか……」


「……夫は、ここが真の宝物庫と言った、つまり凄く大事に保管してくれてる……嬉しい!」


「ア、アンジェさんが長文を……」


「よっぽど嬉しかったのね……」


周りの品々を見ながら、シリカ達にガンジス達は嬉しそうにしている、なんと言っても可愛い孫が大好きな夫が、大事な宝物だと言うのが自分達の関係の物ばかりなのだから!


そうこうしていると、2人の人物が奥からやって来る。


「「お父様!お母様!」」


その2人を見たステラとルチルは嬉しそうに飛んで行く、そしてセレナに抱っこしてもらうと幸せそうにしがみついている。


「セレナ達はここに居たのか……ガンジス達はともかく、おぬしらが居ないのが不思議じゃったが、納得がいったわ」


「ユノガンド様、何か面白そうな事をしていたのは気がついてたんですが……」


「ここの宝物庫を見るのが忙しかったので、参加しなかったのですよ」


「なるほどのぅ……」


今回まったく姿を現さなかったディアンとセレナは、ドライトの宝物庫に居たのだった。


ガンジス達がなんで儂らを呼んでくれなかったのじゃ!っと文句を言っているが、セレナ達は嬉しくて夢中になってしまい、忘れいたと謝っている。


そんな中でユノガンドだけは、ブスっとしていた。




「……ユノガンド様、どうしたんですか?」


「納得がいかんのじゃ、あのドライトの宝がこんな物とは思えん!」


「ユノガンド様、ガンジス様達に聞かれたら大目玉ですよ?」


「ええいメルクルナ、五月蠅いのじゃ!わらわは納得いかんのじゃ!」


ユノガンドがそう言って地団駄を踏むと……床の一部が開き新たな階段が現れた。


「「「あ」」」


それを見て全員が固まっていると、ユノガンドが素早く入り込み駆け降りていく。


「見つけた!見つけたのじゃ!

この先にデブ龍の真の宝が有るはずじゃ!」


そう言って降りていくユノガンドを見ていた、全員が一斉にドライトを見る。


「い、いきなり皆で見ないで下さい!怖いじゃないですか!」


「ドライト、あなた下の階があるなんて言ってなかったわよね?」


「はい母様、言ってませんよ?

まぁ、下に何があるのかは説明するより見た方が早いですね。

皆で行きましょう!」


そう言ってドライトは階段にパタパタと飛んで行き、降りて行ってしまった。


それを見た皆も着いて降りていく、そして下の階にあった物は、


―――まさに宝の山だった!


オリハルコンにヒヒイロカネ、宝石の類いも一級品ばかりが無造作に置かれている!


シリカ達はそれを見て怒ろうとするが、ドライトが先に口を開いた。


「ここに有るのはダミー兼研究兼整備開発用の資材です」


「へぇ……なら貰っても良いのよね?」


シリカがそう言って挑発する、皆もドライトがダメと言うかと思っていたが、ドライトは意外な反応を返した。


「良いですが、全部はダメですよ?

侵入者を足止めするためのダミーなんですから」


「い、良いのですか?」


「はぁ、なんでしたら加工してから渡しますか?」


そのドライトの言葉で全員が理解した、本当にここに有る物はドライトにとってたいして価値がないのだと。


「ドライト様~、ダミーってどういう事ですか~」


フルの質問にドライトが答えて皆が納得した。


上の階に有るドライトの真の宝物庫に、直接入れない様にここにダミーの宝物庫を造ったのだそうだ。


ここに有る宝の数々を見ればここが宝物庫だと思い、漁るために足を止めるのを見越して造られた部屋だった。


「……夫……整備開発用の資材って……どういう事?」


「開発室も上の宝物庫の横に有るんですが、そこで使う資材の保管庫も兼ねているんですよ。

あと上の宝物庫には以前渡した、家族の絆の装備がしまってあるので、その整備をする資材もここに有ります」


どうやらドライトの宝物庫を守るために、宝物庫の上には秘密の小部屋が、下にはダミーの宝物庫兼倉庫があり四方には研究室や整備室等が配置されているらしいのだった。




「でもさ、この宝石とか勿体ないよね?ダミー用だけなのは……」


「マリルルナさん、忍び込むとどうなるかもうすぐ分かりますよ?

ちなみに良い物揃いなのは選ばせるためです。

そして選んでいるとですね……ああなります」


そう言って指差した先では!




「待ちなさい、ロリババア!」


「な、なんでおぬしが居る!」


「真の宝物庫を警備するために決まってるでしょうが!

あなたも盗みに来たのは分かってるのよ?

ちょっと拷問するだけで赦してあげるから待ちなさい!」


必死に逃げるユノガンドを追う、リヴァイアサンが居た!


「……あなた、なんでリヴァイアサン様が警備してるの?」


「実はですね、真の宝物庫は私のだけじゃなあんですよ?

セキュリティーの高さを聞き付けた、一部の原始の神や龍神達にも貸し出しているのです」


「……私達は知らないんだけど?」


「レムリア祖母ちゃん、オープンはまだ先なんですよ?

リヴァイアサンさんには試験的に貸したんですが、この前に娘さんが産んだばかりの、卵を初めて拭いたタオルが置いてあるそうです」


「それでリヴァイアサンも本気で追いかけてるのね……」


「ええ、私だけでなく借りてる皆が交代で警備してますからね……やっと安心できるレベルの警備になったので、皆にも教える事にしたんですよ。

あ、父様や母様に祖父ちゃん祖母ちゃんのスペースも用意してありますよ!」


そして宝物庫の説明を始めるドライトの前でユノガンドは、リヴァイアサンのブレスで吹き飛ばされるのだった。


「ほ、本気でブレスを放つでは、ぎゃあぁぁぁ!?」


「キャロ達は色々見学して、見識を深めるのですよ!」


「「「は、はい!ドライト様!」」」


こうしてキャロリン達のサマーキャンプは過ぎていき、終わっていったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る