キャロリン達のサマーキャンプ・イン・亜空間 激闘編
「天使族よ、進めぇ!」
「突撃!竜人族の誇りをみせるのだ!」
「「「……撃て!」」」
[チュチュチュチュチュチュン!]
「「痛熱い!?」」
マルキダエルとアラトロンは、転移陣から現れると同時に敵陣に突撃して集中攻撃された。
「何してんだあのアホ共!」
「リアさん!あいつらはあれで良いわ!
あいつらが撃たれてる間にアスモデル達にオク達を呼ぶのよ!」
「その方が良いか……お前らそこでしばらく的になってろ!」
エルナルナにそう言われて、カーネリアはマルキダエル達にそう怒鳴る。
「そ、そんな!」
「お助けください!」
「出てきて状況も見ずに、敵に突っ込んだ罰ですわ!
こちらの体制が整うまで、耐えなさいな!」
普段は優しいサルファにまでそう言われて、マルキダエルとアラトロンは諦めて的になってる、必死に盾やら取り出して防いでいるが、何にしろ他の幹部達なども続々と出てきて驚くと共に防備を固めていると、アスモデルとオクが転移陣から出てきた。
「わわ!?き、聞いていたより酷い状況ですね?」
「アスモデル、いいから早く探してよ!
直ぐそばに有るって、ステラ様とルチル様が言ってたでしょ!?」
アスモデルとオクは転移陣から出ると、辺りを見回して何かを探し始める、それを見てエルナルナが戦えと命令する。
「ちょっと、手が足りないんだから指揮を取ってよ!
ここら辺はさっき調べたから、何も無いわ!」
「エルナルナ様!ステラ様とルチル様が支援物資を隠してあるらしいんですよ!」
「シリカ様達が潜入すると聞いて、準備しておいたらしいです!」
そう言われてシリカ達にメルクルナ達は周りを見回すが、普通の通路が続いている様にしか見えなかった。
「アスモデル、本当に有るの?」
「ステラ様とルチル様が絶対有るって言ってましたので、間違いなく有るはずです!」
「ん?ここ[チュチュン!]あぶな!?」
オクが何かを見つけたようだが、鼻先の壁にブラスターの弾が当たり、慌てて陣地に逃げ込む。
「オク、何かを見つけたの?」
「アスモデル、さっきの所に不自然な切れ目があったのよ。
あそこがそうじゃない?」
「なら早く開けなさいよ!」
「いや、あそこ丁度射線にあるみたいで、メチャクチャ撃たれたのよ」
「おい、マルキダエルかアラトロンを盾にして扉を開けろ」
そこにカーネリアが来て提案するが……
「い、いや、流石にあれ以上は可哀想ですよ」
オクがそう言って指差した先には、気絶して倒れこでいるマルキダエルとアラトロンが居た。
しかも未だに四方八方から撃たれていたのだった!
「あいつら、根性ねぇな!」
「い、いやリア様、本当に可哀想ですよ、あんなに四方八方から撃たれて……ん?四方八方から?」
アスモデルが気がついた、味方の方からも弾が飛んでいっていることに、そしてオクが驚き指差した!
「あ、あれは!?」
オクが指差した方をアスモデルとカーネリアも見て驚愕する!
そこには―――
「……ヒャッハー……撃て撃て撃て」
マルキダエルとアラトロンを撃ちまくる、アンジュラの姿があったのだった!
[ゴン!]
「止めてやれ!このバカ!」
「……痛い、リア姉……何するの?」
「何するの?じゃあねえだろ!せっかくの盾を自分で壊してどうすんだ!?」
「リア、あなたもたいがいに酷いわ。
何にしろあそこにステラちゃんとルチルちゃんが用意してくれた、物資が有るのですわね?」
サルファが騒ぎを聞き寄ってくると、そう聞いてきた。
アスモデルとオクは「多分あそこに……」っと自信無さげに答える、するとサルファは、
「そう……リア、アンジェ、あなた達で開けてきなさいな?」
「へ?あ、あそこは銃撃が激しくて……」
「……拒否する!」
「まったく!仕方ない子達ね!私が行きますわ、見てなさいな!?」
サルファはそう言うと陣地から飛び出した!
そして隠し倉庫が有ると言う場所の手前まで来ると、倒れているマルキダエルとアラトロンに手をかざす、すると倒れていた2人が飛び起きた!
そしてドライトルーパーの陣地に突撃する!
自分以外の意思で……
マルキダエルとアラトロンは完全に白目になってて、はた目からも気絶しているのが分かる。
つまりどう言う事かと言うと、サルファが弾除けにマルキダエルとアラトロンを、念力でドライトルーパーの陣地に投げ入れたのである!
「ひ、ひでえ……」
「……ドン引きです……サルファ姉様」
「ア、アラトロン……成仏してね?」
「マルキダエルも化けて出ないでね?」
「「死んでねぇ!……あ」」
ドライトルーパーの陣地に投げ込まれたマルキダエルとアラトロンは、アスモデルとオクの言葉に飛び起きて気がついた。
ドライトルーパーの銃口が全て自分達に向いている事に。
「ほら!今のうちに開けるのですわ!」
「あ、あっちは良いのですか?」
アスモデルは酷い事になっているマルキダエルとアラトロンの方を気にしていたが、そこに鼻の効くメルクルナがやって来た。
「なになになに!?そこに武器が有るの!?はよ開けなさい!」
メルクルナに促されて、慌ててアスモデルは壁に向かう。
そこではサルファが見つけたキーボードにアクセスコード打ち込んでいた。
「ああん、もう!正解のハズなのになんで開かないのですか!?」
「サルファさん、アクセスコードはそんなに難しいの?」
「メルクルナさん、数学の問題を解けって出てるのですが……正解してるのに開かないのですわ」
そう言って、サルファは物凄い勢いでキーボードを打っていくが、少しすると[ブー!]っと音がしてまた打ち込みを始める。
それを見ていたオクがオズオズと進み出て、声をかけた。
「あ、あのアクセスコードを聞いていますので、私が打ち込みます」
サルファはそう言われて横にずれると、オクがキーボードの前に立つと、キーボードの上にある画面に問題が出る。
【フェルマー最終定理を解け】
その問題を見たサルファが前に出ようとする。
「あら、ずいぶん簡単な問題ね?この答えは……」
そう言いながら手を伸ばして答えを打ち込もうとしたが、オクがそれを遮ってキーボードに打ち込んだ物を見て固まっている。
【モンちゃん、モンモーン!】
そして、オクがエンターキーを押すと扉は音もなく開いたのだった。
「またかよ……!」
「サルファ姉様……固まっちゃった……」
「いいから早く入りましょう[ゴロゴロゴロゴロ]ん?なんか、嫌な音が……ギャアァァァ!?」
メルクルナが音のした方を向くと、ドライデカ7830とドライデカ710巻きに率いられた、ドライデカタイプが1000体程転がってきていた。
「サルファさん!メルクルナ!早く逃げるのよ!」
「ん?何そこの部屋は?リア、サルファ、アンジェ!どうなってるの!?」
「来る来る来る!転がってくる!」
天使族や竜人族だけでなくエルナルナ達にシリカまで、必死に逃げ来る、そして謎の部屋を見たシリカが説明しろと叫ぶと同時に、シリカの後ろから[ガチャン!]っと音がした。
「な、何?」
シリカが振り向くと……ドライデカ達が何かに阻まれて、詰まっていた。
そして逆の方角からも驚きの声が聞こえてくる。
「な、なんですか!?」
「シールドです!なんで発生してるのですか!?」
「管制室!直ぐにシールドを解除してください!
……外部からのアクセス!?早く排除してシールドを解除するのですよ!」
ドライデカとタイミングを合わせて攻撃しようとしていたドライトルーパー達も、何かに阻まれるように詰まっていた。
押し合い圧し合いながらも、指揮官らしきドライトルーパーが何処かに連絡して、何とかするように騒いでいる。
『シリカ姉様!今のうちに倉庫の中に!』
『エルナルナ姉様!長くは持ちません、急いで下さい!』
『『中の装備で互角に戦えるはずです、頑張って!』』
「ステラちゃんにルチルちゃん!?」
「2人が助けてくれたのね!」
マリルルナとチエナルナが嬉しそうにそう言うと、メリルルナが全員に号令する。
「今のうちに倉庫に駆け込んで!
中に装備も有るようだから、チェックして部隊毎に隔たらないように装備するのよ、」
チエナルナに言われて、エルナルナ達にシリカ達、天使族と竜人族は倉庫に飛び込んだのだった。
そして、倉庫内に仕舞われていた装備など物資で装備を整え、補給を済ませると、外に出たのだが……
「っち!ドライデカの部隊が増えてるわ!」
「シールドに猛攻を加えてますね……」
「エルナルナ姉さん、落ち着いてないで防衛なり攻撃の準備を始めなきゃ!」
「待って、シリカさん達の方と合わせなきゃだから……ってシリカさん、何をボーッと……へ?何あれ!?」
エルナルナはシリカに声をかけるが、返事が無いのでシリカを見る、するとシリカ達は呆然とドライトルーパーを見ていた。
そしてカーネリアが叫ぶ!
「なんでこっちは丸太なんだよ!」
ドライデカの率いるロボット部隊はブラスターガンはもちろん、ミサイルや何なのかよく解らない武器でシールドを攻撃していた、その姿はまさにSFそのものだった。
だが逆方向のドライトルーパー達はブラスターガンや重ブラスターガン、ビームバズーカなどの武器を投げ捨てて、巨大な丸太を100人程で担ぎ上げ、丸太の上に陣取り両手に1つづつ扇子を持った指揮官らしきドライトルーパーの音頭で、丸太をシールドにドッカンドッカンとぶつけていたのだ!
「クッソー!あっちはあんなにかっこよく戦えそうなのに、こっちはこれかよ!?」
「見物してるだけのドライトルーパー達も、武器どころか装甲服を脱ぎ捨てて応援してますわね……」
「エルナルナさん、担当を変えません?」
「い、嫌ですよ!」
ドライトルーパーとの戦いはグダグダになりそうなので、シリカ達は変わってもらおうとしたが、エルナルナ達も嫌がり揉め始めてしまった。
そんななかシールドを破ろうとしている、ドライデカとドライトルーパー達を見ていたアンジュラがメルクルナに話しかけた。
「……駄神……あれ見る」
「ん?何々?げ!?な、なんで丸太でシールドにあんなダメージ与えてるのよ!?」
ドライデカの方を警戒していたメルクルナは、丸太が当たるたんびに大きくたわむシールドを見て目を見開いて驚いていたが、アンジュラは首を振りながら別の事を指摘した。
「……そっちじゃない……ドライトルーパーの……目を見て?」
「へ?……目をつぶってるわね、凄く面白くて嬉しそうに」
「……つまり、丸太をぶつける時は……前どころか……周りも見てない」
「……使えるわね」
メルクルナはそう言うと、アンジュラと顔を見合わせ、お互いにうなずいたのだった。
[ドッカーン!]
「ふはははは!もうすぐシールドが壊れますよ!
そーれそーれ、そ~れぃ!」
[ドッカーン!]
もはやシールドは限界だった。
次に丸太が当たればシールドは破壊されて、ドライトルーパー達がなだれ込んで来るのは明白だった。
しかし、シリカ達もメルクルナ達も防御体制を取らずに眺めている。
それを見たドライトルーパーの指揮官は諦めたのかと思い、ニヤリと笑うと目をつぶり丸太の上で叫んだのだった。
「そりゃそりゃそりゃ!
気合いを入れてもう一発ですよ!?
そーれそーれ、そ~れぃ!」
[ドドド……!]
地響きを響かせてドライトルーパー達が丸太を担いで突進する……!
「…………あれ?シールドにまだ当たりませんか?
なんか走る距離が長いですね?」
ドライトルーパーの指揮官はそう言うと、嬉しそうに閉じていた目を開き前を見る、その瞳に映ったのは……逃げ惑うドライデカとロボット達だった!
「今よ!混乱している敵に止めを指すわ!」
「シリカさんに続くのよ、突撃!」
「厄介なドライデカはここで殲滅するのですわ!」
「サルファさんの隊がドライデカの相手をしてくれます!
メリルルナ隊は残りのロボットを破壊します!前進!」
「俺達とメルクルナ隊はドライトルーパー達を殺る!気合いを入れろ!」
「ドライトルーパーを捕まえて、拷問するのよ!
そして豚龍の秘密を聞き出しちゃる!」
「……私達はここで……向こうの敵を迎え討つ……1人も……通さない!」
「アンジュラ隊を中心に、私達マリルルナ隊が右を!チエナルナ隊が左を守るわ!
防御陣地の構築を急いで!」
「この偶然拾った禿げブラスターガンの威力を見せてやる!」
ドライデカ達とそこに突っ込んだドライトルーパーは大混乱だった、通路の逆側では丸太祭りを見物していたドライトルーパー達が慌てて助けに動くが、装備を脱ぎ捨てていた事に気がついて慌てて装備を拾い集めている。
こうしてシリカ達とメルクルナ達の連合軍と、ドライトルーパーとロボット軍団の戦いは泥沼化してしまうのだった。
そして、シリカ達とドライトルーパー達が激戦を繰り広げている頃、キャロリン達は何をしていたかと言うと……
「お、美味しい!」
「ふわあぁぁ……あの茶葉でこんなに美味しくなるのですね!」
「ふふふ……どうざますか?
3級品と言われる茶葉でも、しっかりと手順を踏んで準備をすればこんなにも変わるのざますよ?」
「流石はロッテンドライヤー女史ね?女子力が高いわ……」
「あ、アレナム、そのマシュマロ丁度良いんじゃない?」
「お!どれどれ?美味いわぁ……ほれ、セイネの分」
「ああんもう!アレナムさんセイネさん!それはデザートですわよ!?
それに私達の分も取っておいて下さいな!」
「くぅ……じゃん拳とは言え、負けて調理当番になってしまうとは……
あ、パンとベーコンは良い感じに焼けましたね、チーズを乗せて火で炙ってと……ロッテンドライヤー女史、これでどうですか?」
「良いざますわ、食べ頃ざます。
でも、こう言う場所で食べる食事は、あまり凝ったり完璧を求めすぎてもダメざますわよ?」
なんとキャロリン達は草原でテントを建てて、焚き火をして食事をしていたのだ!
「はぁー……でも良いのかな?
一応は旅の時の、野宿の訓練なんだよね?」
「ですよね?野宿ってもっと過酷なもののはずですよ?」
「あ、そっか、ナタリーちゃんは野宿の経験が有るんだっけ?」
セイネにそう言われてナタリーは、困ったように眉を寄せる。
ナタリーは昔、過酷な旅をした経験が有るの、地球のイギリスから強制的に異世界のユノガンドに連れてこられた両親の子供として、この世に生を受けた時から邪心から逃げ回り、常に町から町へ、荒野から荒野へと逃げ回る旅立った。
その旅は凄惨で過酷なもので、今考えれば家族を1人も失わなかったのは、奇跡だったのだろうと思うナタリーだった。
「あの頃の旅に比べたら、このキャンプは天国どころの話じゃないですね」
そう言ってナタリーは後ろに張ってあるテントに目をやった、つられてキャロリン達も見る。
そこには、え?何これ!?グランピング?っとしか思えない程、超豪華なテントが張られて豪華な食事が並んでいたのだった。
「いいざますか?優秀な冒険者や旅人ほど旅の準備をして、豪華な食事やしっかりとひたテントを用意するざます。
その理由は心を休ませるのざますわ?
心の疲れは体にも現れるざます、だからこそ1週間に最低は1度、出来れば2度は豪華な食事などを取って、心と体を休ませるのざますわ!」
ロッテンドライヤー女史の言葉に、キャロリン達は周りにある豪華な食事や、下手な邸宅より豪華なテントを見て叫ぶのだった。
「「「豪華すぎます!」」」
こうしてキャロリン達のサマーキャンプは過ぎていくのだった。
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