ドライトさんのドキドキ授業! 2時間目

お、俺の……お宝が……


【見事にかっさらわれましたね】


あああ……なんてことだ……


【でもまぁ、本当に大事な物は他に隠してありますからね?】


そうなんだけどな!

ちゃんと独立した亜空間に……




「……あ、夫」




「ア、アンジェ姉さん!?」


「……他にも居る」


「へ?」


ドライトが開けた亜空間の出入り口から見えた光景は、アンジュラが宝の山を漁っている光景だった!


そしてアンジュラは他にも居ると言いながら指差した先には、セレナにディアン、シリカ達に龍神達が居たのだった。


「な!?ど、どうやってこの宝物庫に!」


ドライトが驚愕していると、セレナが1本の鍵を取り出した。


「そ、それはマスターキー!

いったい何処から手に入れたのですか!?」


ドライトは様々な隠し部屋のマスターキーをセレナが持っていることに驚愕して聞くと、たくさんの宝石を身に付けたステラとルチルがパタパタと飛んできた。


「「にーちゃ、だいじなものだから、かあちゃにあずけといた!」」


「なぁ!?」


ドライトは結婚式の時に宝物庫から様々な物を取られたので、これ以上取られないように他の宝物庫には鍵をかけたのだ!

が、その鍵を預けたステラとルチルが大事な物だとセレナに預けてしまい、隠し宝物庫がバレてしまったのだ!


「ドライト、あなたまだこんなに隠してたのね」


「昨日まで、「があぁぁぁ」って泣いてたの嘘だったのね?」


「しっかし、どんだけあるんだこれ?」


「……K-お-1057宝物庫……ドラちゃん他も全部見せて?」


そう言ってシリカ達がドライトを見ると、ドライトはカンカンになってステラとルチルを怒っていた!




「ダメじゃないですか!




ちゃんとコーディネートしないと!

私達はセレナ母様やレムリア婆ちゃんにヌーマ婆ちゃんと言う、龍界の美の女神の血を引いているのです!

そんな私達がちゃんとしたコーディネートをしないなんて……ダメざますわ!」


ドライトに怒られて涙目だったステラとルチルだったが、ドライトが一瞬でロッテンドライヤーになると「「ドライヤーねえちゃだ!」」と言って抱きつく。


「あら、縮めちゃダメざますわよ?

縮めるとただの家電製品になってしまうざますからね?

何にしろ向こうでコーディネートのお勉強ざます!」


そう言ってステラとルチルを抱っこして立ち去ろうとしたドライトだったが、セレナに捕まった。


「ドライト、あなたはもう宝物は無いって言ってませんでしたか?」


「セレナ母様?

もう私の宝物は家族だけざますわ?」


「じゃあ、この宝物は?」


「それは普段使いの装飾品ざますわ!」


ドライトはそう言って逃れようとしたが、次のセレナの言葉で「へ?」っと言いながら呆然とする。


「まぁ良いわ、家族の物ならシリカちゃん達の物でもあるのだからね?

なんで?

あらやだ忘れたの?……シリカちゃん達は、あなたのお嫁さん、つまり家族なのだから使っても問題ないでしょ?」


「し、しまったざますわ~!」




「っと言うような事があったので私のテンションは低いです。

ですから今日の授業は映像を見るだけです。

さて、どれにしますかね……皆さん希望がありますか?」


ドライトはスマドをセットして何か見たい物がないか希望を聞いていく、するとレイナとリティアが同時に立ち上がり叫ぶ!


「気功法の映像で!」


「魔法関連の映像で!」


そして同時ににらみ合いが始まる。


「ちょっとリティアさん、ドライト様の第1夫人のシリカ様の祝福を持つ私に敬意をはらいなさいよ!」


「何を言ってますやら……第2夫人のサルファ様は実力が大事だと言ってましたわ!」


そしてお互いに得意の得物を取り出すと一触即発の雰囲気になる、すると間に入るようにキャロリンが言い出す。


「ド、ドライト様、前回に続きダンジョン関係はどうでしょうか!」


キャロリンがそう言って2人の間に入るが、2人は納得しないのかにらみ合いを続けると別の少女が手を上げて言い出す。


「ドライト様!よろしければダンジョンの討伐方法が知りたいです!」


するとレイナとリティアがお互いにビックリしたよにお互いに顔を見合わすと、今度はその少女を睨み付け始める。


そしてそれは2人だけでなくナタリーやセイネにアレナム、学園長にマサミもだった。


レイナ達は自分の祝福者であるシリカ達の夫のドライトに直に話しかけるなんて不敬だと、学園長達は小娘が生意気だと睨み付けていた。


「こらこら、何をしているのですかあなた達は……私は生徒の質問や意見は公平に聞くべきだと思いますよ?キャロとナタリーは別格ですが!

……それでダンジョンの討伐の方法ですか?」


「は、はい!出来ればお願いします!」


周りに睨み付けられて真っ青になりながらもその少女はそう答える。


「ふむ、なら今回の合同授業は前回の続きと言う事で討伐方法を見てもらいますかね?」


ドライトはそう言うと準備を始めるのだった。




「ちょっと、キャロちゃん、ナタリーちゃん、あれ良いの?」


「ドライト様がお決めになった事ですから……」


「リティア様、私達はドライト様の意思に逆らえませんので……」


「でも良い度胸だわ、私達だけでなくキャロさんとナタリーさんを無視して話しかけるなんて」


「そうね……ん?

セイネ、どうかしたの?」


アレナムは隣に居るセイネがジーっと、その少女を見ているのを不審に思い声をかけた。


「あの人、昨日もドライト様に質問した人だよね?2年生かな?」


「ん?そう言やそうね。

でもそれがどうかしたの?」


アレナムがそう言うとセイネは少女の顔を見ながら、何かを思い出すように言う。


「……私あの人に会ったこと有るわ……何年か前に、その時にアレナムも居た気がするわ」


そう言われたアレナムは驚くと共に少女の顔を凝視している、そしてーーー


「あ!思い出した!

あれってアイラさんだわ!」


「あ!そうだよ、そう!

昔にアレナムと孤児院に来たよね?」


「うん、トリア院長様を訪ねて来たんだよね?」


「そこで話があるからって、セアース様に追い出されたんだった……」


「あー……私もお父様に追い出されたんだった……」


何かを思い出すようにセイネとアレナムは話してると、アイラはドライトにさらに頼み込んでいた。




「ドライト様、ダンジョンを討伐方法はまだでしょうか?

そしてそれは私達にも出来るのですか?」


「まぁまぁ、今準備してますからおまちくださいね?」


ドライトがこれもあれもと用意しているが、待ちきれないのかアイラは色々と質問している。


「ねぇ?そのアイラさんは何であんなに追い込まれてるの?」


レイナは不思議そうにアレナムとセイネに聞く、アイラは周りに止められるのも学園長達に睨まれるのも無視してドライトにすがり付くように質問しているのだった。


すると近くに居たヒロとクミが言う。


「なんだ、お前ら知らないのか?」


「あの子、迷宮都市の都市長の娘なのよ」


「もしかしてアスクリッグですか?」


「ああ、アレナムは流石に知っているか……」


「あれ?あそこってダンジョンが有名だったっけ?」


アレナムは迷宮都市と聞いてアスクリッグの名前を出すがセイネはあそこに有名なダンジョンが有ったっけ?と不思議そうにしている。


「アレナムちゃんは同じアサセルム同盟だから知ってたのね……

セイネちゃんは有名なダンジョンの情報は冒険者ギルドから得たの?」


「え?そうですが?」


「やっぱりね……

えっとね?アスクリッグなんだけど……」


クミは悲しそうな顔をしながら話し出す。




アスクリッグ、迷宮都市と言われダンジョンの恵みで繁栄していたアサセルム同盟の都市国家アスクリッグ。


だがダラムアデとウアスの争いが激化したさいに、アサセルム同盟の主戦力は国境線に集中した。

そしてダンジョンの監視やモンスターの間引きなどをしていた精鋭が居なくなったアスクリッグは、ダンジョンに氾濫やスタンピードの兆候があるとして、討伐することにする。


だが、アサセルム同盟はその討伐に待ったをかけた。


ダンジョンから採集される貴重な草花は薬品に、鉱石は武器に、宝石は財源になっていた、そんな貴重なダンジョンを討伐するのを反対したのだ。


アスクリッグはスタンピードの危険性を説いたが受け入れられず、アサセルム同盟の圧力により討伐を諦める。


そしてその次の年にスタンピードが発生してアスクリッグのみならず、周辺の都市にまで甚大な被害をもたらしたのだ、そしてアスクリッグのダンジョンは管理が不可能なダンジョンになり、その後も何度もスタンピードを繰り返す危険なダンジョンになったのだった。


「ちょうど主戦力が離れちゃってたから、さらに被害が大きくなったのよ……

それでアスクリッグのダンジョンは価値がね……」


「なるほど、そんなに危険なダンジョンだと冒険者もあまり近づかないですしね」


「しかもね?今までスタンピードを起こしてたのは最初に起こしたのとは別のなのよ?

それで最近の調査で最初にスタンピードを起こした最大のダンジョンがまたスタンピードを起こしそうなのよ……」


「うへぇ……」


「あー完全に思い出したわ、それで同盟は見捨てようとしてるのよね?

しかも押さえられないのはお前らの責任だって言って!」


セイネは嫌な話を聞いたと顔を歪め、アレナムは情けない同盟の話をしたために顔を歪めている。


「だから、あんなに必死にドライト様に質問しているのねですね……」


「でも、そんな都市長の娘さんが何で今ここに居るんですかね?」


ナタリーがそう言うとヒロが悲しそうに言う。


「彼女はな、逃がされたんだよ。

危険なアスクリッグに居ないようにな……

アスクリッグの血を残すための子供達のリーダーとして、無理矢理に逃がされたんだ」


ヒロがそう締め括ると、キャロリン達は悲しそうにアイラを見つめるのだった……




「さぁ!セットし終わりましたよ!

皆で見て学ぶのです!」


ドライトがそう言うと共に映像が写し出される、アイラは最前列に行こうとしたがすでにステラとルチルがかぶりつきで見ていた。


「「ん?ねーちゃも1ばんまえでみる?」」


「よ、よろしいでしょうか?」


「「いいよ~!

キャロねーちゃたちも、いっしょにみよう!」」


ステラとルチルを中心にキャロリン達とアイラが座り、映像を見続けるのだった。


そして画面には【楽しい学究シリーズ 映像で学ぶダンジョンの攻略法!】っと書かれていたのだった。




そして映像にはドライトが写し出される、ドライトはパタパタとかなり高い場所を飛んだまま話始めた。


「皆さんこんにちは、ダンジョン研究家のドライトです。

今回はダンジョンの討伐方法を学んでいきましょう!」


そう言うとドライトは高度を下げ始める、そして見えてきたダンジョンを見てアイラが驚愕しながら叫んだ!


「あ、あれって強欲と無欲のダンジョン!」


「アイラさん、有名なダンジョンなんですか?」


レイナが不思議そうに聞くとアイラは悲しそうに言った。


「あれが最初にスタンピードを起こしたダンジョンです、強欲でなければ……無欲であったならスタンピードを起こさなかったので、そう名付けられました」


アイラの言葉にレイナ達も悲しそうな顔になる。


「あれ?でもそのダンジョンにドライト様が向かってるって事はドライト様が討伐するんじゃ……?」


ナタリーのその言葉にアイラも側で聞いていた学園長達も慌てて映像を見ると、


「超必殺!【めっちゃ手加減したブレス!】ガアォォン!」


[ドカーン!]


ドライトの雄叫びと共にブレスが放たれ、画面は光で真っ白になる。

そして、光が収まると……大地が更地になっていた!


「ここでワンポイントアドバイスざます!

見ての通りダンジョンの出入り口どころか結構な範囲が更地になったざます。

でもダンジョン内に被害は無いざますわ!

ブレスを調整して表面の部分を綺麗にすることによって、ダンジョン内のアイテム等を残すのざますよ?

一緒にダンジョンまで吹き飛ばすのは勿体無いので注意ざます!

さあ、レッツブレスざあます!」


画面が静止したかと思うとロッテンドライヤー画面の端に表れて、アドバイスらしきものをした。


「「なるほど~!たしかにもったいない!」」


「いやいや、普通は出来ないですよ!」


「私達には参考にならないです!」


「ってか、ダンジョンの中には被害が無いって事はモンスターも無事なのかな?」


ステラとルチルはウンウンとうなづきながら紙に書き込んでいるが、キャロ、ナタリーは私達には無理だと言っているとセイネがとんでもない事を言い出した。




「あ、あんた何言ってるのよ?

山とか谷とか更地になったのよ?

モンスターだって、被害が出てる……ように祈るのよ!」


「そ、そうですよね?

父さんに連絡してアサセルムの援軍と共に攻めればなんとかなるかも……」


アレナムがセイネの言葉に反論と言うより、祈るように言い。

アイラも祈るように言いながら国と連絡が取れないかブツブツ言っている、だが映像が進むと絶望的な映像が写し出された。




ダンジョンの出入り口からモンスターが続々と沸きだしたのだ!




最初に出てくるのは普通ならタダのゴブリンやスライムにスケルトンあたりのはずなのに、出てきたのはゴブリンアーチャーやファイター、明らかに変異種のスライム達、スケルトンもソルジャーにメイジなど普通では考えられないモンスター達だった!


「あははは……中身は元気だったみたいね……」


「いやいや、笑い事じゃないって、まずいって!」


「これってある意味スタンピードを起こしているじゃない!」


「……あら?おおおおお!?なんかやばそうなのが沸いてきましたわ!」


「リッチにゴブリンキング、ヒュージースライムにオーガやトロルの特種個体にオークの軍団……他にも色々居るわね」


「ドラゴンもいますね……」


「あ……あああ……」


アイラは真っ青になり映像を見ている、するとそこにドライトがパタパタと飛んできて着地した。


「それではダンジョンの攻略に入ります!

ダンジョンの攻略は色々なパターンが有ります、珍しい方法だと水攻めや兵糧攻め、オーソドックスな方法だとブレスや大規模魔法に腕力でアッサリと始末するなどありますが、今回の方法は……これです!」


ドライトは迫り来るモンスターを気にもせずに説明をし始めて手にしたボードを高く掲げ見せつける、そして今回ドライトが選んだ方法が書かれたボードには……数っとだけ書かれていた。


「今回の攻略方法は数です!

ダンジョンいっぱいにミッチリと詰まるまでドライト軍団が入り込みますよ!

それでは、レッツ攻略!」


ドライトが「レッツ攻略!」と叫ぶと同時に地響きが鳴り始める。


モンスター達は今にもドライトに襲いかかろうとしていたが、突然の地響きに驚き戸惑っていると……地平線からとんでもない数のドライト軍団が走ってきた。


普段の姿より大きい1、80cm程のドライト軍団が装備を何も着けずに走ってきたのだ!


で、モンスター達も呆然としていると……あっという間に踏み潰されてしまった、そしてドシドシとダンジョンに入り込んでいく。


その光景を何時の間にか表れたドライト大将、ドライトヒロシ隊長、ドライト教授がまるで交通量調査のように椅子に座って数取器カウンターを使って数えている。


ドライト本体は自宅警備員と書かれた制服を着て旗を振って誘導していた。


「外で旗を振っているので自宅警備員じゃない気もしますが、私はこの功績で将来は自宅警備隊、N・E・E・Tに入隊するのですよ!」




なんか意味の分からない事を言っているドライトを無視してキャロリン達だけでなく、何時の間にか表れたユノガンドにメルクルナ達とシリカ達も映像を食い入るように見つめている。


「こんなアホな方法なのに速いわね……」


「シリカお姉様、ここは流石は私達の旦那様だと喜ぶ所なんでしょうか?」


「サルファ姉……判断に困るわ」


「……凄い、本当にミッチリと……詰まってる」


シリカ達は喜んで良いのか、困惑していたがユノガンド達はしっかりと呆れていた。


「ア、アホだわ……!」


「どうすればああいう発想が生まれるのか不思議ですよね……」


「メリルルナ姉さん、今度の学園の長期休みにドライトさんの亜空間を探検するんだけど、皆で一緒に行かない?

なんか分かるかもよ?」


「……それって嫌な予感しかしないんだけど?」


「でも、亜空間庫って個人の性格が出るって言うよね?

メルクルナ姉さん是非とも私も連れて行って?……そして超強力な禿げ装備を!」


「チエナルナよ、あのシリーズは地味に嫌なのじゃ、集めるのを止めるのじゃ……

それにしても面白いのう……しっかりと数を数えておるわ!

今度原始の神々や龍神達と同じ競技で争ってみるかのう!」




メルクルナのドライトの亜空間を探索する発言でエルナルナ達は参加するしないで揉めていたが、ユノガンドの発言で「止めてくださいと!」叫んでいた。


「す、凄いです!ダンジョンの階層を次々と攻略しています!

あ!またボスを押し潰しました!」


「流石はドライト様です!

このような素晴らしい方法で攻略するなんて、他の人には考えつきません!」


「うん!常人には絶対考えつかないよね!

考えついても実行しようとは思わないだろうし!」


「キャロとナタリーはダメね、セイネは微妙に褒めてるのか貶してるのか分からないわ……いや、ありゃ貶してるのか」


「しかし、流石はドライト様ですね、面白そうなドロップ品やら珍しい物をキッチリ回収しています」


「貴重な物より面白そうな物を優先していますが気にしてはいけないのでしょうか……?」


リティアが言うとおり、ドライトは倒した、押し潰したモンスターのドロップを無視していたが、たまに出る変な物や面白い物はキッチリ回収していた。


その光景を見ていたキャロリン達だったっが、アイラがあることに気がつく。


「こ、こここ!」


「コケコッコ!何てベタだからヤンバルの鳴き声を真似よう!」


「黙れチビ無乳、真面目な話なんだから聞いとけ!」


チビ無乳と言われたセイネはアレナム飛びかかろうとしたが、レイナとナタリーに押さえ込まれている。


「あのアイラ先輩、何かあったんですか?」


「キャ、キャロリンさん、ここは100層です!

強欲と無欲のダンジョンの一番奥と言われる場所です!」




「「「!!!」」」




ドライト軍団は最奥と言われる100層に到達した、そして現れるデスマンティスやマンティコアなどの凶悪なモンスター達を踏み潰し、または押し潰してミッチリと詰まっていく。


そしてドライト軍団は豪華な扉の前で立ち止まる……


が、後から後から沸いて出るドライト軍団に押されて扉を破り、最深部のボス部屋に突入したのだった!


「な、何ここ?」


「映像なのに何か居る気配がしますね……」


「やっべ……マジでヤバイ、ここはヤバイ!」


「リ、リティア、な、なにあれ……」


「あれはエルダーエンシェントトレントですわね?

………………嘘ですわよね!?」


「神に至ったとも言われるヤツですよ!

あ、ドライト様に引っこ抜かれた……え?アッサリと討伐したんですか!?」


100層のボス部屋に居たのは高さが100mは有る巨大なトレントだった。


セイネは勘で何かとてつもなくヤバイヤツだと感じ取ったようだが、リティアは看破の魔眼で正体を見抜いたようで名前を言った。


そして自分で言ったことに驚いている。


それもそのはずで、かつて神にまで至ったと言われ、トレント族の始祖とも言われている存在だったからだ!


その周りには様々なトレント族に、昆虫系や魔獣系の高位モンスターが居たがドライト軍団にあっという間に踏み潰されたり、素材にされたりして倒される。


エルダーエンシェントトレントは怒りの咆哮をあげるがドライト軍団の1体が幹に抱きつくと、引っこ抜かれてしまったのだった!




「あああ……なんの見せ場もなく解体されていく……」


「かなりレアな個体なのに、なんにも出来なかったわね。

でも珍しい物が結構取れたんじゃない?」


「食べれそうにないから私は要らないわ」


「メルクルナ姉さん、それはそれで酷いわ……」


「禿げ薬の良い材料にならないかしら?」


「メルクルナ、たしか実が生るはずじゃぞ?採れたのなら1度食ってみるかの?

あとチエナルナ、禿げ薬も止めてくれんかの?」


エルナルナ達は実は食べれるのか?美味しいのか?議論を始め、チエナルナとユノガンドは禿げシリーズの素晴らしさと有用性を議論し始めてしまった。


そして映像は続き、討伐されて解体されてしまったエルダーエンシェントトレントの居た場所にさらに下に続く階段が出てきたのだった。


「あれ?下に行く階段が出てきましたよ?」


「え!?アイラ先輩、100層までじゃなかったの!?」


「む、昔の文献だと、100層のハイエンシェントトレントを倒すと1層に行く転移陣が現れると!」


「でも下に行く階段が……もしかして育ったんじゃ!?」


「リティア様、このダンジョンは死んだのではないですか?」


「……いえ、死んでないですわね?

息を殺してジッとしているみたいですわ?」


「な!?そ、そんな!

い、いえ!今なら簡単に討伐出来るはずです!

すぐに国に連絡して討伐隊を向かわせねば!」


「あ、アイラ先輩待った!

ドライト様本体が来たわ、ドライト様が見逃すはず無いですから今から直接本体が攻略するんじゃないですか?」


ドライトはパタパタと飛んでくると、突然に現れた階段に入り込む。


そして階段を下りた先の小さな部屋に居たのは、ノッペラボウの人間の様な者とダンジョンコアだった。


「居ましたね、ダンジョンマスターです。

ここのダンマスは機械人形型モンスターだったようですね?

どうです、降伏しませんか?」


[シュ!]


「残念です、それでわ!」


ドライトが降伏しないかと聞くと、ダンジョンマスターは腕に仕込まれた剣を出して斬りかかったがドライトはそれをかわして、「残念です」と言うと階段から外に飛び出してしまった。




そしてドライトが飛び出すと、ダンジョンマスターは気がつく。


先程まで自分のダンジョンに満ちていた敵が波が引くように居なくなっていく事に、ダンジョンマスターは助かったと歓喜して次々とモンスターを生み出し自身を強化していく。


今まで自分の所まで来た敵などいなかった、だからこそ今まで戦闘技術よりも潜伏などの隠れる技術などばかり取得してきた。


だが先程、突然に隠れ家に入り込んできた小型の竜は危険だった、自分ではとても敵わないと感じる程の存在感だった。


だが降伏しろと言われ、決死の覚悟で斬りかかると「残念です」と言って飛び差っていった。


そして彼は助かった事に歓喜し、絶好のチャンスを逃がした銀色の竜をバカにするように上を見上げる、同時に自分のダンジョンから敵が消えた事を感じたダンジョンマスターの意識は永遠に消滅したのだった……




「「「えええ!?」」」


キャロリン達だけでなく学園の皆が驚いた、ドライトが降伏しろと言うが断られると凄まじい勢いでダンジョンを戻り始めたのだ。


アイラは何故かと、問おうとすると同時にドライト本体が最後にダンジョンを飛び出す、そして振り返るとーーー


「オオオ!アァタタタタタタタタタタ……………………」




1時間後。




「………………タタタタタ!オアタァ!!

ドライト拳奥義![ドライト100億烈拳!]お前はもう……あれ!?」


ドライトが最初の拳を繰り出すと強欲と無欲のダンジョンは1発で吹き飛んだ。


だがドライトは両目をつぶり嬉しそうにパンチを繰り出し続け、1時間ただひたすら無意味にパンチを繰り出すドライトが映っていたのだった!


「ここでワンポイントアドバイスざぁます!」


ドライトがすべてのパンチを放ち、その結果に驚愕していると突然映像が止まり、ロッテンドライヤー女史がまた表れて喋り始める。


「今回、ドライトさんは奥義を放てるのが嬉しくて目をつぶり拳を放ったざますわ。

その結果99億9999万9999発も無駄にパンチを繰り返したざますわね?

つまり今回のワンポイントアドバイスは、よく見ようざます!」


そうロッテンドライヤー女史が締めると画面では「あれ?あれ?あるぇ!?」っとドライトが周りをキョロキョロと見ているシーンが流れてフェードアウトしたのだった!


「まぁ、討伐はしたわね」


「勝手に抜け出したのもそうですが、こんな変なのを教材にしてセレナ様に怒られないと思ってるのかしら?」


「ダーリンは何を考えて日々を生きているんだろうな?」


「……面白そうな事の……追究だと、思う」


シリカ達は呆れ果てていて、ステラとルチルはセレナに抱かれて寝てしまっている。


キャロリン達はなんと言えば良いのか分からずに、皆で顔を見合わせている、そんな皆を見てドライトが言い出した。


「ここでスーパーチャンス問題ですよ!

ステラとルチルに質問です!

私が放ったドライト拳奥義、ドライト100億烈拳、そのうち何発が無駄になったでしょうか!?」


「「え!?」」


「シンキングターイム!」


ドライトに名前を呼ばれてステラとルチルはパチリと目を覚ます、そして突然に質問されて何が何だが分からないようだ。


「ちなみにステラとルチルが正解するとドライト監修、【ヤンバルクイナにも出来るダンジョン攻略方法】。

そして【ダンジョンを運営してみよう!】の2冊を差し上げます、頑張ってください!」


「「「! 【ダンジョンを運営してみよう!】絶対欲しい!!」」」


全員が怪しさ満載の【ヤンバルクイナにも出来るダンジョン攻略方法】はともかく、【ダンジョンを運営してみよう!】には魅力を感じたようで真剣な目になる。




「ステラちゃん、ルチルちゃん頑張って!」


「ドライトさんの書いた運営方法……私達も気になるわ!」


「ヒントよ!ヒントを要求するわ!」


「ああ!こんな事ならステラちゃんとルチルちゃんを寝かせなければ!」


「私の禿げダンジョンのために頑張って!」


「チエナルナよ、妙なダンジョンを造ろうとするでない!」


ユノガンドとチエナルナが別の事で揉めている間にドライトは「さぁさぁ、答えるのですよ!?」っと言っている。


ステラとルチルは期待の眼差しを向けられてアワアワしながら困っている、他の人がヒントを与えようとするとドライトが威嚇するためにヒントも与えられない。


寝てて問題の部分を見ていなかったステラとルチルは困り果てている、そして困り果てたステラとルチルはついに叫んだ!


「「にーちゃ!ヒントをちょうだい!」」


「ヒントは99億9999万9999発です!」


「「……99おく9999まん9999はつ!」」


「せいかーい!」[ガラーン!ガラーン!]


ドライトは当り鐘を取り出すと、両手に1つづつ持って振り回し始める。


こうしてステラとルチルは正解し、ドライトはセレナと共にお仕置き部屋に連れられて行ったのだった。




「……何にしろ、ダンジョンは討伐されたんだよね?」


「そうですよね?

アイラ様、あのダンジョンは問題だったんじゃないんですか?」


ナタリーにそう問いかけられて、アイラはハッとするが首を傾げる。


「ですが、国からはそんな連絡来てません……討伐されたのなら避難民にも戻るように通達が有るはずですが……」


「そうですわよね?

あれだけのダンジョンですわ、討伐されたのならウアスや学園の観測所でも感知するはずでしょうし?」


「ドライト様に聞きに行く?」


「セイネ、言い出しっぺのあんたが聞きに行くのよ?

お仕置き中のドライト様に!」


「勘弁してください!」


「まぁ、皆さん嫌ですよね?

でも、どうしますか?アイラ先輩は早く聞きたいですよね……ステラ様、ルチル様?」


レイナがアイラに視線を送るとその先でステラとルチルが真っ暗になった画面を見つめていた、不信に思い声をかけるとステラとルチルは画面を見つめたまま答えた。


「「まだ、おわってないよ?つづきがあるよ!」」


その言葉を聞いてレイナだけでなく皆が思い出す、普段なら話が終わると空中に投影されてる映像が消える事に……だがスマドはいまだに空中に真っ暗な映像を写し続けている。


「……あ!終わりよ、終わり!帰ろう!」


「チエナルナどうしたの……あ!?

うんうん!もう帰る時間よ、帰ろう!」


チエナルナが何かに気がつき立ち上がる、そしてエルナルナも帰ろうと言い出す。


「何々?どうしたの……あ、帰ろう!

暖かい我が家に!」


「思い出した!……何を?……夕飯の残りが冷蔵庫に有るのよ!帰らなきゃ!」


「私はメルクルナに添い寝しなきゃいけないの思い出した、帰ろう!」


「あんた等、大人しく座ってなさい」


「何か変なことしたのか?お主等」


するとメリルルナやメルクルナにマリルルナも帰ろうと騒ぎ出すが、ヌーマの一喝で座り直す。


ユノガンドはそれを不信な目で見つめるがエルナルナ達に目を剃らされてしまう。




「あなた達、今度は何をしでかしたのよ?」


「シリカさん、私達が妙な事をするわけないじゃ「「にーちゃだ!」」撤収!」


シリカに質問されたエルナルナは、反論しようとしたが映像が再開されてステラとルチルがドライトが出てきたと叫ぶと逃げ出した。


そして直ぐにレムリアとヌーマに捕まったのだった!


「本当に何したんじゃお主等!?」


「「「たいした事してませんから!」」」


ユノガンドが尋問するがエルナルナ達は「たいした事してない」と繰り返す。


そして映像の中ではーー


「ううう、見せ場が台無しですよ……

何にしろここは空き地になりましたね、寂しくなりましたから……ダンジョンでも造りますか!」


っと、とんでもない事を言い出した。


そしてドライトはシャベルを取り出すと穴を堀始める、ドライト軍団も次々と現れるとシャベルやツルハシを手に堀始めるのだった。


キャロリン達だけでなくシリカ達も呆然と見ていたが、5分程すると変化があった、ドライト以外の人物が現れたのだ!


まあ、現れたのはメルクルナなのだが突然現れてドライトに文句を言いはじめた。




「ちょっとドライトさん!これはどう言う事よ!」


「あれ?メルクルナさんじゃないですか、なんですか?」


「なんですか?じゃないわよ!

周りを見なさいよ、なんでこんな……こんな面白そうな事に呼んでくれないのよ!」


メルクルナはそう言うとシャベルを手に取り穴堀に参加する、それを見てドライトは慌てて止めに入る。


「な、なにしてるですか!ここは私のダンジョン[龍の踊り場]を建設するのですよ!」


「良いじゃないの!

1度ダンジョンを造ってみたかったのよ、ここは魔素の流れも良いし場所も有るんだから!」


「なら、向こうに造ればいいじゃないですか!

ここは私のダンジョンの建設地なんですから!」


「1人じゃ造るのきついからここを乗っ取るんじゃない!」


「こ、こいつ開き直りやがりましたよ!?」


ドライトとメルクルナが揉めていると、別の方向からケンカを止めるように声がかかる。


「ちょっと、ケンカしてないで掘りなさいな」


「そんなんじゃ何時まで経っても完成しないわよ?」


「いやでも本当に良い場所だわ!」


「楽しいダンジョン!禿げダンジョン!」


「……ん?エルナルナさん達!?何時の間に!

あ、勝手に掘るなですよ!あちょちょーーー!」


何時の間にかエルナルナ達が現れて勝手に堀始めている、それに気がついたドライトはトンファーを取り出して振り回し始めた。


「ちょ!」


「あぶな!?」


[ゴン!]「ぶっ!?」


「メ、メルクルナが!」


「これが禿げトンファーの威力か!?」


「全員禿げるのですよ!」




その後トンファーを振り回すドライトと、逃げ回るエルナルナ達の間で話し合いが行われて、ここにはドライトのダンジョンを、少し離れた所にエルナルナ達のダンジョンを造る事に決まったのだった。


「決まったのは良いんですが、どつきあい……一方的な暴行に時間がかかって手堀でダンジョンを掘る時間が無くなってしまいました」


「ちょっとは手加減してよ!」


「ひ、酷い目にあったわ……」


「………………」


「メルクルナ気絶したまんまなんだけど……」


「何にしろ決まったんだし掘ろうよ?」


「いや、チエナルナさん、先ほども言いましたが時間が無いんですよ」


ドライトがそう言うとエルナルナ達は?マークを浮かべていた。


「広域結界で母様や祖父ちゃん祖母ちゃん達にバレない様にしてるんですがそろそろ限界です。

メルクルナさんは管理システムが感知したんで来たのでしょう?ハマリエルとフルに誤魔化しとく様に言ったのですが、めざといメルクルナさんが見つけてあなた方が後を追って来たんでしょうが、そろそろ母様達にバレます」


「別に良いじゃない?何か問題があるの?」


「勝手に出てきてダンジョンを討伐して、あまつさえ造っちゃうんですよ?

バレたらお仕置きされるに決まってるじゃないじゃないですか!」


「別にドライトさんがお仕置きされても私達に被害無いし……」


「メリルルナさん、あなたはまともそうだったのに……酷いですよ。

それよりもあなた方にお仕置きはないでしょうが、バレたらまずい人が居ませんか?」


「あたたた……バレたらまずいって、ドライトさんじゃあるまいしそんな相手居ないわよ?」


「あ、メルクルナ気がついたの?」


「禿げなかった?」


「禿げないわよ!」


「そんな事より、本当に良いんですか?ユノガンド様にバレても……」


「「「!!!」」」


「ま、まずいわ!バレたら乗っ取られる!」


「あのアホの事だから「面白そうじゃの、ちと貸してみろ」っとか言って乗っ取るわ!」


「メ、メリルルナ姉、そんな事……ありえるわね!」


「くぅ!苦労して討伐して良い場所を確保したのに、あれに乗っ取られるなんて絶対許せないわ!」


「あの野郎、禿げさしてやる!」


「いや、討伐したのも場所を確保したのも私なんですが……

あと、流石に原始の神たるユノガンド様をアホとかあれとか野郎呼ばわりは良くないですよ?

せめてロリババアで我慢するべきです、そしてアホとかあれとかは心の中でだけで言うべきです」


エルナルナ達とドライトの話し合いを聞いていたユノガンドは怒りでプルプル震えているが映像はさらに続く。


「仕方がないですから、ダンジョンコアで造っちゃいましょう!

これは最近開発したドライト特製ダンジョンコア[世界を革命するかもしれない力(武力 )]です、これを設置して一気に造っちゃいましょう!」


「うー、手掘りでこだわりのダンジョンにしたかったのに……」


「メルクルナ、仕方ないでしょ!とりあえず造っちゃって隠蔽しとくのよ!」


「チエナルナの言う通りね、ドライトさん、場所はさっき決めた場所で良いのね?」


「はい、エルナルナさん達の場合は出入り口は1つで中に入ると分岐して、それぞれのダンジョンに行くようにした方が良いですよ」


「へー、このダンジョンコアってそんな事ができるの?便利ねー」


「メリルルナ姉様、早く造っちゃいましょうよ」


「あ、あとこれも渡しておきますよ」


「ん?ダンジョンコアならもう貰ってるわよ?」


「これは子ダンジョンコアです、全体の管理はエルナルナさんの持つので出来ますが、皆さんそれぞれカスタムしたいでしょう?

この子ダンジョンコアで分岐したそれぞれのダンジョンを管理するのですよ!」


「「「おー」」」


エルナルナ達とメルクルナはドライトにそれぞれ子ダンジョンコアを受け取ると、早速少し離れた所でダンジョンを造り始める。

それを眺めていたドライトも最初に掘っていた場所にダンジョンコアを設置すると、コアの力で一気にダンジョンを建設したのだった。




「ダンジョンも完成しました、まだまだ足りない物が多いいでしょうがこれから暇な時に増設したり強化していきましょう」


「んー……まだまだやりたい事とか有るけど、時間がないか」


「あまり一気にやり過ぎるとアホゲフン!ロリババアにバレますしね」


「んじゃ、とりあえず今日は帰るの?」


「明日も来て色々設置しなきゃね!」


「私の禿げダンジョンの第一歩よ!」


エルナルナ達は嬉しそうに帰ろうとするがドライトが呼び止める。


「ああ、皆さん待ってください、スマドを出してちょっと貸してください」


「ん?いきなりどうしたのよ?」


メルクルナはいきなりスマドを出せと言われて不思議そうに取り出す、エルナルナ達も首を傾げながらスマドを取り出すとドライトに差し出す。

ドライトはそれを受け取るとエルナルナ達のダンジョンに入り込み、ダンジョンコアを召喚してエルナルナ達のスマドを操作して何かをしている、そして数分で作業が終ったようでエルナルナ達にスマドを返してのだった。


「これでスマドからダンジョンをコントロール出来る様になりました、離れた場所からでもダンジョンの増築や宝箱にモンスターの設置も出来ますよ!」


「おお!これは便利だわ!」


「相変わらず良い物を造るわね!」


「これでこっそりとダンジョンマスターライフを楽しめる訳ね!」


「それにロリババアにバレる心配も少ないわ!」


「禿げダンジョンに栄光あれ!」


こうしてドライトとエルナルナ達にメルクルナは和気あいあいと帰路に着いたのだった。




「ここでさらにワンポイントアドバイスざますわ!

ドライトさんの[龍の踊り場]とエルナルナさん達の[神々の宴会場]を少し離れた場所にしたのは、魔素の流れが干渉しないようにざます、ただしダンジョン内に別のダンジョンを派生させる事は不可能じゃないざますわ!

そう、このドライト重工製の[世界を革命するかもしれない力(武力 )]をもってすれば可能ざます!」


三度ロッテンドライヤーが現れて、ワンポイントアドバイスをすると映像は終わったのだった。


「「ためになるはなしだった!」」


「いやステラちゃんにルチルちゃん、参考にしたら駄目よ?」


「セレナお義母様を呼んできま……居ましたわ」


ステラとルチルはウンウンと頷きながら何やら書き込んでいる、シリカは参考にしてはダメだと言いサルファがセレナを呼びに行こうとしたがドライトを抱っこしたセレナがすでに居たのだった。


「ドライト、お仕置を追加します、いらっしゃい?」


「か、母様!違うのです、あのダンジョンはステラとルチルの教育用なのです!

将来にステラとルチルがダンジョンを造る時に困らない様にですね!?」


「言い訳は要りません、何時も言ってるでしょう?世界に干渉し過ぎるなと、早くいらっしゃいな」


「ま、待って……ん?おおお!?今のプレゼンでダンジョンコア[世界を革命するかもしれない力(武力 )]の売れ行きが10000%上がりましたよ!?

自分で言うのもなんですが、あの映像でなんで神々や龍がこぞって買うのか意味が分かりませんよ!?」


「お仕置きです!」


ドライトは[世界を革命するかもしれない力(武力 )]の売れ行きが爆上げしたのでホクホクで連れて行かれた。


その横ではユノガンドとエルナルナ達が揉めている。


「お主等!誰がアホであれで野郎なのじゃ!答えい!」


「「「ユノガンド様、いえ、ロリババア様の事です!」」」


「お、お主等!わらわはお主等が敬い仕える原始の神ぞ!?第一横取りするとは何事じゃ!そんな事……結構あるが笑って許すのじゃ!」


「ん?どうしたのマリルルナ?え?苦労していい世界が出来かけたらユノガンドに横取りされて、荒廃したらポイ捨てにされた!?」


「チエナルナも言いたい事有るの?……はぁ!?必死に立て直してた世界で魔素のコントロールに必要なダンジョンを構築して管理していたら、隙を突かれて何時の間にかメチャクチャにされた!?」


「あ!マリルルナ、チエナルナ!レムリアとヌーマにチクるな!レムリア、ヌーマ違うのじゃ!ちょっと手が滑っただけなのじゃ!

レムリア、ヌーマ、わらわを何処に……そっちはお仕置き部屋なのじゃ!嫌なのじゃもお仕置きは嫌なのじゃ~!」


こうしてユノガンドもお仕置き部屋に連れて行かれたのだった!


エルナルナ達は「勝訴よ!」っと言いながら万歳している、それを学園の生徒達は呆然と見つめるのだった。

そこに学園長がマサミを連れて壇上に上がると全員に言った。


「えー、ドライト様からの連絡で皆に【ヤンバルクイナにも出来るダンジョン攻略方法】と【ダンジョンを運営してみよう!】を配ります。

あ、アイラさん、どうも学園やウアス魔導大国にアサセルム同盟が感知できなかったのは、ドライト様が巧妙に隠蔽したのと、同規模のダンジョンを造ったからみたいね」


「……え?」


「アイラさん、ドライト様の御力でスタンピードの心配は無くなりました、これからは安心して学園で学び、その知識と知恵でアスクリッグを復興に導きなさい。

それでは明日からまた普通授業になると思います、ただしドライト様がまた素晴らしい知識を授けてくれる時には特別授業になると思いますので……では解散!

マサミ、急いでドライト様が授けてくれた素晴らしい書物を読み込みましょう!」


「はい!学園長様!」


そう言うと学園長とマサミは本を抱いて走り去ってしまったのだった。




「強欲と無欲のダンジョンは……滅んだ?スタンピードは……起こらない?アスクリッグは故郷は滅亡しない!?

あああ……ドライト様……ありがとうございます!」


「アイラ先輩良かったですね……」


「流石はドライト様です……慈悲の心にあふれていますね!」


「アイラ先輩の為に、アスクリッグの人々の為に行動していたのね!」


「いや、自分が楽しむ為だと思うんだけど……」


「私もそう思いますわ」


「ですよね?」


キャロリン達の意見が分かれいる横で騒ぎが起こる。


「勝ったわ!ロリババアに勝った!……あれ?」


「エルナルナ姉様、どうしたのですか?もっと喜びましょうよ」


「こ、これ……!」


「うん?私達のダンジョン、[神々の宴会場]のマスターコアじゃん、どうしたの……げ!」


「メルクルナまでどうした……な!?マスターコアのメインの権限がユノガンド様……ロリババアになってる!」


「い、何時の間に……油断もスキも無い!」


「ロリババア、禿げさしてやる!」


エルナルナ達は得物を手に手にお仕置き部屋に走り去るのだった……


「えーっと、解散します、解散!」


呆然とする教師と生徒達にシリカが言うと、皆ゾロゾロと帰り始める、ステラとルチルはディアンが抱き上げると興奮しながら言うのだった。


「とうちゃ、とうちゃ!」


「わたちたちもだんじょんを!」


「「つくりたい!」」


「あー、ドライトが場所を取っててくれるだろうから、今から行って聞いてみよう」


「「やったー!」」


こうしてこの日は全員が解散したのだった。




「うひょー!まだ売れてます、売れてますよ!」


「おおお、あ奴等こんな面白だんじょんを造ったおったのか!これはわらわも参加せねばな!」


「「「ドライトもユノガンドも反省なさい!」」」


こうして一部の者が大興奮したまま、ドライトによる2回目の授業は終わりを告げたのだった!


「さー帰るか……ん、アンジェどうした?」


「……謎が……残った」


「謎って……有ったっけ?」


「あのダンジョンに……ドラちゃんが何体入り込んだか……謎」


「アンジェ、あなた……そう言えばそうね?」


「ううう……聞いたら気になってしかたないですわ!」


「……ドラちゃんに……聞きに行くべし!」


小さな謎を残して……

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