子龍編 アレクス観光

イィヤフゥゥゥ!ドライトさんですよ!


島オコゼが大漁でした!


養殖の準備も始まってますし、早ければ半年で養殖を始める事が出来るかもしれませんよ!?


他にも沖合でクラーケンやらマッドクラブやらも大漁でした!


あとは貝とか色々集めたいですねぇ……


今週はパーティーやらなんやらで無理ですが、来週は観光しますし市場に期待しますかね!




「早く!早く行くです!

朝市には多種多様の魚貝類が出てるそうですから、買われる前に我々で買い占めるのですよ!」


「ドライト!あまり母と離れてはなりません!迷子になってしまいますよ!?」


「はーい、母様!じゃあキャロ、頭に乗せるですよ!」


「ドライト?あっちこっち歩き回るのに小さいキャロちゃんじゃ、可哀想じゃない?

私の頭に乗るか、セレナ様に抱っこしてもらったらどう?」


「シリカ姉、どうせもう少し行った所で、護衛のためにもキャロの頭に移動するつもりだったんですよ!」


「ドライトさん、危険があるんですか?」


「んー、多分大丈夫ですよ?

あ、ステラとルチルは父様と母様にしっかりと抱っこされててくださいね?」


「おい、危険があるなら私達だけのが良かったんじゃないのか?」


「……何事も経験ですよ?

シリカ姉達はアンディ王太子さんとティナさんや、案内役をしてくれるシスターセアースとセイネさんを守ってあげてくださいね?」


「……まかしときんしゃい!」


「アンジェ姉さん……なんか変な物食べましたか?」


何にしろドライト一向は朝早くから、アレクスの朝市に出かけたのだった。




「おー!色々な屋台がありますよ!朝御飯もここで済ませてしまいましょう!」


「ドライト様!アレクスの朝市に来て朝御飯を屋台で食べないなんてアレクス観光の楽しみが半減してしまいますよ!」


案内役のセイネがそう言い、「あっちにもっとありますから、一通り見て回りましょう!」っと言って指差す。


セイネはトリア院長を助けてくれた、ドライトを回りがやめとけと言うのを聞かずに尊敬してしまったのだ!


今では同じドライトを尊敬しているキャロリンとは、長年の親友みたくなっているのだった。


ちなみにドライトが祝福を与えるとバレるのでアンジュラが与えている、理由は紹介された時に、


「ドライト様の奥方様ですね!よろしくお願いします!」


と言ったのでアンジュラが


「……凄く良い子!……気に入った!」


っと、気に入ったからだった……


「しっかし、メルクルナの奴もバカだよなぁ……こんなに美味そうな物が揃ってるのに寝てるだなんてよ」


「へ?リア姉なに言ってるんですか?

メルクルナさんなら、あそこでトリア院長さんと一緒に商人達に囲まれて土下座してるじゃないですか?」


「「メ、メルクルナ様!トリア院長様!」」


「ま、待つですよ!」


慌てて駆けつけようとした、キャロリンとシスターセアースだったが、ドライトに止められてしまう。

セアースは不満そうにドライトを見て、キャロリンは不安そうにメルクルナ達を見ている。


「ここでメルクルナさんの名前を出したら大騒ぎになりますよ?

一応は偽名を名乗っているようなのでその名で呼ぶようにしましょう」


「偽名ですか……?」


「……駄馬神で良いんじゃん」


「リア姉、セアースさんに睨まれてますよ?」


「じょ、冗談だって!」


「なんにしろ、メル・ク・ルナと名乗っているのでルナさんと呼びましょう!」


「……それ、偽名の意味あるのかしら?」


「母様、気分ですよ、気分!なんにしろメルクルナさん達の所に行きましょうか!」


ドライトがそう言うとキャロリンを促して、ぞろぞろとメルクルナの元に向かう。


「でも、なんでメルクルナさんとトリア院長さんはあんな事になってるのかしら?」


「ああ……メルクルナさんは私達を出し抜いて、自分だけ早く美味い物を食べたりしたかったんでしょう」


「はぁ、なら、何故トリア院長さんも居て、土下座してるのドライトさん?」


「アレクスは不案内なので元気になったトリア院長さんに案内させたのでしょう、それで何故土下座してるのかと言うと……あの2人がお金持ってる様に見えますか?」


「「「あ!」」」


そんな事を話しつつ、メルクルナの元に近づくと話し声が聞こえてくるのだった。




「ううう……皆様申し訳ありません……お、お金は何とか工面するのでしばらくお待ちいただけないでしょうか?」


「い、いやトリア院長様、頭をお上げください!」


「そ、そうです!普段から良くしてくださるトリア院長様にその様にされては……」


「お金を支払ってくれるのは分かっているのですが、何しろ金額が金額でして……」


「そちらの方の何処にあれだけの食べ物が入ったのか……何にしろ、少しでも今日中に頂かないと明日の仕入れも出来ないので……」


「トリア院長様!ですからここは私が支払います!」


「いいえ、ミストスさん、これ以上お世話になる訳にはまいりません……私の髪を売ってでもお金は用意させます!」


「えー!トリアちゃん髪って売れるの!?わ、私は嫌よ!」


「お、お前!お前が飲み食いした費用でトリア院長様がお困りなんだぞ!」


「こいつ……我等が敬愛するトリア様にご迷惑をかけただけでなく、トリア様の事をちゃんずけで!」


「あぁん!?トリアちゃんが言うから頭下げてるけど……あんた等、神ばモガモガ!」


「メ、ンン!ルナ様!ここはどうか……どうか私の顔を立ててお許しを……!」


「モガモガ……ムガァー!」


トリア院長はメルクルナの口を塞いで、周りに言うようにしながらメルクルナに懇願する、するともがいてたメルクルナが無理矢理にトリア院長の手を引き剥がし……


「はぁはぁ……わ、分かったわよ……トリアちゃんがそう言うならさ……あ!ねぇねぇ、そこのあんた!ミストスだっけ?髪が売れるならこれも売れる?物々交換でも良いわよ?」


メルクルナが評判の良い大商人のミストスを呼び捨てにしたので周りは増々殺気立つが、メルクルナはそんなのお構いなく自分の手さげに手を入れて、自分の亜空間から冠と錫杖にマント、そして指輪とロープを取り出した。


周りは高価な魔法袋を持ってると勘違いして驚いたが、トリア院長とミストスは別の意味で驚愕している。


「これと物々交換しない?なかなか良いもんよ?あ、それかミストス、あんたが買ってくれても良いのよ?」


周りの人々は宝石など少しは付いているが、全て小汚く薄汚れているのでそこそこの価値しかないだろうと思っていたが、トリア院長は驚愕の表情のまま品々を指差し口をパクパクしている、そしてミストスも目を見開き呆然としていた。


「メ、メルクルナ様……そ、それはもしや……」


なんとか正気に戻ったトリア院長だったが、メルクルナを偽名で呼べずに聞く。


「ん?トリアちゃんにあげようかと思ったんだけどさ、よくよく考えたら中古品なんて嫌でしょ?だから、これを現金化して……どったの?」


「メルクルナ……様!?あ、あのそちらの品々の名か由来を、愚かな我等にお教えして貰えないでしょうか?」


ミストスは正体に気がついたようで、慌てて跪き頭を垂れて恐る恐る聞いてくる。


「ん?えっと初代が勝手に名前付けてたわよね……えーっと、自制の冠に希望の錫杖、友情のマント、慈愛の指輪と……貧者のロープ、だったかしら?

ほらほら、ミストス!大商人なんでしょ!?固まってないで金貨何枚位になるか教えてよ!それで支払うから……ト、トリアちゃん何で泣いてるの!?」


「メ、メルクルナ様……それは教国の大宝物庫から何時の間にか無くなっていたと言う、初代法皇様に御下賜なされた神器ではないですか!な、何故メルクルナ様がお持ちなのですか……!?」


「あー何代か前の法皇がさ、なんてったっけ?そうそうテオトル!あの子が次代の法皇候補達にこれ等の神器を身に着ける資格が有る者が居ないからって返してきたのよ!

あの子も良い子だったなぁ……初代のセベテルと同じ位に良い子だったわぁ……」


「そ、そんな、でもテオトル様が……あああ、なんて事なの……!」


「まぁ、要らないって言われたから返してもらったんだけど……正直今まですっかり忘れてたのよ。

中古品だし、トリアちゃんも新品のが良いでしょ?

だからこれは売っぱらって、そのお金で食い倒れよ!ほら!ミストス、せめて金貨10枚位出しなさいよ!」


「メ、メルクルナ様、それらの宝具を金貨10枚で買い取ることなぞできません!」


「メルクルナ様、どうかお売りにならないでください!それらは信徒にも心の拠り所にもなっているのです!」


「な、なによなによ!なかなか良い物なのよ!10枚位出しなさいよ!

トリアちゃんは泣かないでってば!ちゃんと新品をあげるから!」


「「そう言う事じゃないんです!」」




「な、なぁ?」


「な、なんだよ?」


「トリア院長様とミストス様は何言ってるんだ?」


「あの無礼な女がメルクルナ様……?」


「あの小汚い品々が我等、メルクルナ教の秘宝?ハハハ……ハ」


「け、けどよ?あの女……あの方見てると心が落ち着くんだよ……」


「あ、あの品々も……何て言えば良いんだ?

そう!俺達を見守ってくれてる気がするんだよ!」


「それにさ……トリア院長様とミストス様だぞ?」


「元大司教で嘘が大嫌いなトリア院長様と、まっとうな商売人でなにより誤魔化しを嫌うミストス様……」


「じゃ、じゃあ、あの女は……あの方は……メ、メルクルナ様!?」


「「「!!!」」」




「あ、バレましたね」


「おいおい、どうするんだよあのバカ……」


「まぁ、どうせもっとヤバイのが接近中なので……あ、着いて駄神の事見ましたね」


「ヤバイのって、げ!ア、アスモデル!」


そこには孤児院の子供達を連れた、シスター姿のアスモデルが居たのだった。


「え!?あ、あの子帰ったんじゃないの?」


「メルクルナさんがトリア院長さんを連れ出すために子供達の面倒みさせてたんですよ。

子供達の朝御飯のために来たんでしょうね……」


「……今始まる……カーニバル!」


「カ、カーニバルじゃないですわよ!?ドライトさん!止めてください!」


「……カーニバル!」


「ドライトさん!」


「わ、分かりましたよ……何とかしますよ……」




少し前にさかのぼるが、アレクス要塞の大部屋にアスモデルは帰らずにいた。


メルクルナに言われて孤児の子供達の面倒を見ていたのだ。

最初は嫌々みていたのだが、トリア院長やシスターセアースに育てられた子供達は素直で信仰心にあふれていた。


アスモデルは「メルクルナ様はこの小さな信徒様達を見守り、育てよとおっしゃりたいのですね!分かりました!」っと考え、今では満面の笑みで面倒をみていた。


「アスモデル様、メルクルナ様とトリア院長様は何処に行ったのですか?」


「あらあら、ケリル、様は要りませんよ?

メルクルナ様とトリア院長様は宴か……魔物の討伐パーティーに行ってますから、もうお眠りなさい?」


「でもでも、アスモデル……お姉ちゃん、メルクルナ様にお休みのご挨拶しないと失礼じゃないの?」


「メネミ?メルクルナ様がお忙しい時には心の中でご挨拶すれば良いのですよ?」


「はーい!じゃあ、皆でメルクルナ様にお祈りしよう!」


「「「メルクルナ様、今日もお守りしてくださってありがとうございます……」」」


「さぁ、もう遅いですからみんなお眠りなさい?明日は朝市にご飯を食べに行きましょうね?」


「ほんとに!?」


「わーい!やったー!」


「は、早く寝なきゃだ!」


「アスモデルおねぇちゃ、おうたうたって~」


「はいはい、歌ってあげますからベッドに入ってね?明日は早く起きるのですから……」


そして、朝になり子供達を起こしてから朝市に来たので少し遅れしまい、そこで商人達に囲まれて正座をしているメルクルナを見てしまったのだ。




「ア、アスモデルお姉ちゃん!メルクルナ様が!」


「変な人達に囲まれてる!」


「いんちょせんせぇもいるよぉ!」


「アスモデルねぇちゃ!せんせぇたちをたすけてぇ!」


子供達がそう言うと、アスモデルは3対6枚の羽を出し、完全武装になって叫んだ。


「そこの愚か者達!

その方は最高神メルクルナ様とトリア信徒様だぞ!?離れぬか!」


「え!?な、なんだあれは?」


「て、天使!?」


「ええぃ!離れぬか!!

ムリエル!ハマリエル!バルビエル!ハナエル!あの愚か者達を殲滅する!いくぞ!」


「「「はい!」」」


「え~……やめた方が良いと思うなあ……」


天使族の女性幹部次々と表れて、神剣や神槍を手に取りメルクルナ達を囲んでいる者達に向かおうとする。

ハマリエルだけはドライト一向に気がつき、やる気が無いようだ。


「やめるですよ!」


今にも斬りかかろうとしていた幹部達だが、ドライトが威圧を混ぜて幹部達に叫んだの驚いて硬直している。

ハマリエルはちゃっかりと子供達の中に入り込んで助かっている。


「まったく……幹部がこんなに揃って何をしているのですか……

それにハマリエルはドライト丸でフルと留守番してるように言ったでしょう?」


「いや、アスモデルがメルクルナ様の命令だから、来いって……

バキエルは連絡役だから、神都メルクから離れられないので居ないですけど……」


「マルキダエル達はどうしたんですか?」


「あのアホ達は小さな信徒様に悪い影響与えるから来るなって、アスモデルが……」


「……それもそうですね!

何にしろ今回の件はメルクルナさんに非がありますから武器をしまいなさい。

私がなんとかしますから!」


そうドライトは言うと、メルクルナ達とそれを囲む商人達の元にキャロリンの頭から飛び立ち向かうのだった。




「皆さん、おはようございます!私はドライトと言うしがない子竜です!

何やら皆さんお困りのようなので私が何とかしてあげましょう!」


「き、来たな!デブ龍!」


「子竜だってんでしょうが!」[ガブ!]


「いでえぇぇぇ!か、噛むなぁ!」


「ド、ドライト様、メルクルナ様がお可哀想です!お止めください!」


「まったく……何にしろメルクルナさん、先程の宝具をこちらに……」


「ん?良いけど……ドライトさんが買い取ってくれるの?」


「ええ……おお!?これはなかなか良い物ですね!そうですね……金貨11枚で買い取りましょう!」


「売った!」


「「メ、メルクルナ様!?」」


「いやぁ~良い商売ができましたよ!」


「想定より高く売れたわ!……トリアちゃん、ミストス、どったの?」


「ド、ドライト様!その宝具をどうなさるのですか!?」


「これですか?天使の誰かに命じてこっそりと教国の大宝物庫に入れておいてもらおうかと……

ちょっぴり改造して」


そうドライトは言うが最後の言葉を聞かれないように小声で言う、気がついていないトリア院長やミストスは大喜びだ。


だが、しっかりと聞いていたメルクルナが言う。


「ドライトさん、改造ってなにすんの?」


「だ、駄神!黙るですよ!」


「……ドライト様、どんな素晴らしい改造をなさるのですか?」


「キャロ!これ等を身に付ける資格がない者が身に付けると爆発するようにするんです!

どうですか?凄いでしょ!?」


今まで喜んでいたトリア院長とミストスは固まり、回りは静まりかえるがメルクルナが言ってくる。


「ドライトさん、それは良いけど早く支払ってよ?

早く食い倒れしたいんだから……」


「ああ……ちょっと待っててください……」


トリア院長やキャロリン達がどうやってドライトを止めようか話し合っていると、ドライトが「あれ?」と言いながら自分の亜空間に頭から体を入れて中を漁っている。


「メルクルナさん、ちょっと大きいのしかないんですが、お釣りありますか?」


そう言ってドライトが取り出したのは、シアン色の淡く光る硬貨だった。


「せ、聖光貨だ……」


ミストスがそれを見て呆然とつぶやく。


「ミストスさん、聖光貨と言えば世界に10枚あるかないかと言われる……」


「はい、メルクルナ様が作られて祝福された硬貨、あれ1枚でアレクスが買える価値がありますぞ……」


しかし、メルクルナがそれを見て、


「アホか!それのお釣りを出せるなら今頃食い倒れてるわよ!今欲しいのは金貨よ金貨!

だいたい、そんなのいっぱい持ってるての!」


そう言うとメルクルナは自分の亜空間から数千枚を取り出して、ドライトに投げつける。


「な、何しますか!?」


ドライトも反撃とばかりに投げ返す。

ミストスはもちろん、回りの人々は唖然として見つめている。


「い、いて!ちょっとアンジェさん2対1は卑怯よ!?」


「……カーニバル!」


アンジュラはその騒ぎの中に飛び込み、ドライトに加勢している。


そこに息を荒げてアンディ王太子達とマクルイエ都市長達が走り込んできた。




「はぁはぁ……メルクルナ様、ドライト様!御願いがございます!」


「おや?アンディ王太子さん、どうしましたか?叶えられる範囲で聞きますよ?

ハーレムの規模拡大しますか?」


「い、いえ!ティナ、睨まないで……

あ……!こ、ここの支払いは私に、ジェード王国に任せていただけないでしょうか?」


「……施しは受けないわよ?」


「そうですよ……?これでも我々は、気高い龍と最高神なのですからね?」


「もちろんでございます!これは……お布施です!日頃お世話になってる最高神メルクルナ様と、龍であり私とキャロの祝福者であるドライト様に対する日頃の感謝のお布施でございます!」


「お、お待ちください!ここはアレクスに……」


マクルイエがアンディ王太子の後にそう言って自分達が支払うと言おうとしたが、アンディ王太子スッと近づき耳打ちする。


「止めとけマクルイエ都市長殿、ドライト様とメルクルナ様は、理由が分からないがアレクスやクロワトル大陸の国や勢力の事を、あまりよく思っていないようだ、それ以上言うな!」


マクルイエはアンディ王太子をにらむがアンディ王太子は続けて言う。


「最初に我等を捕虜にしようとした時の事や魔物の討伐パーティーの時の事を思い出してみろ?」


「……どう言う事ですかな?」


「ドライト様がいきなりブレスでアレクスを吹き飛ばそうとしただろ?いくらドライト様でも普通はいきなりそんな事をするはずが無いはずなのにだ……!

それにパーティーでメルクルナ様は声をかけたか?トリア院長様やシスターセアースに孤児達には声をかけていたが……お前達に声をかけられたか?」


「「「………!」」」


「わが国も王都にメルクルナ様が何度か降臨してくれているが……一兵卒にすら気さくに声をかける方だぞ?」


「な、なぜ……」


「後でキャロと一緒にどなたかに聞いておく、今回は我等でお布施として渡して混乱を避ける!いいな?」


「し、しかし、我が国の宝物が……!」


「メルクルナ教国の大使殿か……それについても考えがあるから心配するな!」


「く……信じておりますぞ!」




「お布施か……なら貰っても良いのかしら?」


「そうですね……アンディ王太子さんは私の祝福を受けているのですから、そんな事気にしなくても良いのに……本当に立派な人ですよ!」


「そうね、ドライトさんの祝福を受けているし、ジェード王国からなら良いわ!貰ったげる!」


「ところでお願いとは何ですか?早く言ってください!ドシドシかなえてあげますよ!?」


「はい!先程ドライト様がお買い上げになった、メルクルナ様の宝物なのですが……私に下賜して貰えないでしょうか?」


「こんな物で良いんですか?アンディ王太子さんが欲しいなら差し上げますが……改造しときますか?」


「い、いえ!そのままで結構ですので、お願いいたします!」


「そうですか?なら……どうぞ!」


「ちょっと!私にはないの?お布施貰ってるし、ジェード王国は私からの神器は王冠しか授けてないからなんかあげるわよ!」


「駄神、黙るですよ!ジェード王国はレムリア祖母ちゃんの加護があるのです、駄神ごときが神器を授けるなんてヘソどころかブレスで茶を沸かしますよ!」


「それって、単にブレスで温めて沸かすだけじゃない……

なんにしろドライトさん、レムリア様の加護があるから今まで失礼のない様に、たいして物あげてなかったのよ!?

今回はお布施を直接貰っちゃったし、なんか渡さない訳にはいかないわよ……」


「む……しょうがないですね……アンディ王太子さん何か貰ってやってください」


「ハッ!ありがたき幸せ!

それでですね、今回ドライト様から頂いたこれらの宝物は、中古品なのでトリア院長様にジェード王国から、下賜する事にしてもよろしいですか?」


「「トリア(ちゃん、院長さん)に?」」


「はい、キャロリンが生まれた時に祝福したと言ってましたが、我等兄妹皆が生まれた時に祝福を受けているのです、我が国から謝礼を渡そうとしたのですが……当たり前の事をして個人的に金品を受け取る訳にはいかないと、頑として受け取らなかったのですよ……

そこでトリア院長様がよければこれらの宝物はトリア院長様に、そしてメルクルナ様がお渡ししようとしていた新品を我等ジェード王国に御下賜していただけないでしょうか?」


「うーん、トリアちゃんが良いなら良いけど……」


「そう言えばトリア院長さんはそちらの物が欲しいようでしたね……」


「メルクルナ様!ドライト様!私はこちらの神器が欲しいです!どうかよろしくお願いします!」


「トリアちゃん本人がそう言うなら……良いわ、ジェード王国にはこちらを差し上げます、ドライトさんと私の合作でもあるから丁度良かったのかもね……!」


「そうですね……魔法の風呂敷袋に入れておいてあげますから、これごとジェード王国に帰ったら差し上げますよ!」


「「メルクルナ教、ドライト様、ありがたき幸せでございます……」」




「ドライト、メルクルナさん、お話は終わった?」


「母様!」


「セレナ様!」


「ステラとルチルに孤児達もお腹が空いて我慢の限界よ?朝食にしましょう?

それにしてもドライト?」


「なんですか母様?」


「あなた、大量の宝石やら金属やら持ってたでしょう……それを換金すれば良かったのではないですか?」


「……こまかいのはドライト軍団に持たせてしまったのです」


「そう……なんにしろご飯にしましょう?」


「はい、母様……」


そこに小汚い格好をした兄弟が朝市に走り込んで来て、朝市の行商人に魚やら野菜やらを頼んでいる。


「お?お前ら金なんか有るのか?親父さんが魔物にやられ、腕を無くして収入が無いんじゃなかったか?」


「大丈夫だよ!ドライト兵さんが、父さんと働き過ぎで倒れた母さんを治療してくれたんだ!」


「それに当座の生活費として、宝石をくれたんだよ!父ちゃんはリハビリってのが必要だから元気に働けるようになるまでこれで生活しなさいって!」


「母さんも元気になったけど、何日かは安静にしてなきゃいけないから俺達が買い物に来たんだ!」


「そうか、お前達の所にも来たのか……」


そう言って商人は多めに品物を渡しすと、兄弟達は礼を言って品物を受け取り走り去っていった……


「ふふふ……ドライト、良い子ね?」


「か、母様!もう子供じゃないんですから撫でない……あうう、気持ち良いですよ!?」


「「にーちゃ、いいこいいこ〜」」


「「さ、流石はドライト様です!」」


「私の信仰を取るなっての!」




「トリア院長様、マクルイエ都市長殿、なんとかなりましたな……」


「アンディ王太子様、ありがとうございます……」


「アンディ王太子様、ほ、惚れた……」


「セアースさん、私と一緒にアンディ王太子に嫁ぎません?」


「ドライト軍団の一部が残ったままなのですが……こう言う事だったのですか……」




「皆さん何にしろ食べまくって買いまくりますよ!行きましょう!」


「……カーニバル!」


「アンジェ、さっきからそればっか言って興奮してるみたいだけど、どうしたんだよ」


「初めて人に……セイネちゃんに祝福あげて興奮してるんでしょ?」


「え!?あ、あら本当だわ!」


「はぁ?なんでお前が祝福あげたんだよ!」


「流石にまたドライトがあげたらバレるでしょ?だからアンジェがあげたのよ……」


「いきなりバレましたよ!?」


「……カ、カーニヴァル!」


「アンジェ……どもってるぞ……」


「まったくもう、セレナ様にホイホイあげるなと言われているでしょう……」


「あら?ドライトじゃなくてアンジェがあげたのなら良いと思うわよ?

妻の役目としてドライトが選んだ者で、自分が気に入った者だからこそあげたみたいだし。

それに、あくまで同じ龍が……ドライトがホイホイあげたら品格が問われるから注意したのよ?」


「私も誰かにあげようかな……」


「シ、シリカ姉様!?」


「だ、誰にやるっての?」


「ドライトに選んでもらうのよ、そして妻としての役目として祝福を授けるの!」


「「良いかも……」」


「な、なんか寒気がしましたよ!?」




なんにしろこうして、ドライト達はアレクス観光を開始したのだった。

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