幼龍編 Flight to victory 勝利への飛翔
『本部!本部!こちら蛇!現在のところ敵に動きはない、指令を待つ!』
『こちら本部、了解だ蛇!そのまま監視を続けてくれ。』
『こちら、蛇了解した!』
『どうでもいいがお前の姿はどう見ても西洋龍なのだから、コードネームが蛇じゃおかしくないか?』
『雰囲気は大事なのだ!』
『あと、1人でこんな事してたら病院送りになると思うんだが、、、』
『、、、』
やあ!ドライトさんだよ!安心して!?頭の病気ではないから!
じゃあ心の病かだって?いやまあ、そう疑われてもしかたがないのかもしれないけど、大丈夫だから!
なんでこんな事してるかと言うと、、、暇なのだ!
アホの黒龍をブービートラップで始末してから(死んでません)一週間ほど経ったんだが、その間何をしていたかと言うと世界樹を登っていたのだ!
5日かかって時に慎重にカサカサ、、、と、そして時には大胆にシャカシャカ!と頂上まで登り、とうとう世界樹を制覇したのだが、世界樹登頂が目的ではなかった事を思い出して1日かけて俺の巣の上3キロほどの地点に戻ってきて監視を開始し3日が経ったのだ、龍としての身体能力で眠くならないので寝ずの番で見張っているんだけど、、、
その間、白龍は全然巣の側から離れないのだ。
俺がほぼ世界樹の頂上付近に居るのには気がついて無い様で他の龍達は巣のある上層の中間部分から下を徹底的に調べる為に毎日飛び回っているが白龍は一向に巣から出ない、俺は巣に誰も居なくなった隙をついて結界内に戻る為の作戦名 Flight to victory 勝利への飛翔 を発動するために白龍が巣を出るのを見逃さない様に見張りをしているのだが、、、まったく巣から出る気配が無いので暇なのだ!
、、、それであんな奇行に走って暇をつぶしていたって事さ!
『本部、本部、ダンボールの支援が届かないのだが、、、』
「セレナ行ってきますね、、、」
「セレナすまぬのぅ、、、」
「セレナちゃん、、、不甲斐ない私達を許してね、、、」
「ドライトは本当に何処にいってしまったのじゃ、、、」
「まさか世界樹から離れたのか?こりゃ、マジで龍族を動員するしか無いかもな、、、」
「いえ、、、ドライトはこの世界樹の何処かに居ます、私には分かるんです!」
「「「「「セレナ(殿、ちゃん)、、、」」」」」
「ドライト、、、母はあなたが帰るのを何時までも待ちますよ!」
「、、、行くわよ皆!」
「、、、うむ!」
「、、、必ず探し出しすわよ!」
「、、、おう!」
「、、、セレナ行ってくる!」
「ドライト、、、うぅぅ、、、」
うーむ、、、マジで動かんなあの白龍、、、
別の作戦でも立てるしか無いか、、、?いや、あの白龍が巣に居る限りどんな作戦を立てても無意味だ、、、何年経とうともこの場で隙が出来るのを待つか、、、いや探索の手がここまで伸びたら、、、一か八かの賭けに、、、うーんうーん、、、
とりあえず朝飯でも食うか、世界樹の果実とクイーンビーの蜂蜜は腐るほど亜空間にしまってあるからまだまだ大丈夫だな、うーんクイーンビーのロイヤルゼリーの残りは少ないか、、、残しておくか、、、
作戦を立て直すか賭けに出るか、それともお爺ちゃんになるまでここで待つか考えながら食料の残りを調べていた俺は気がつかなかったのだが、その時大切に取っておいたクイーンビーのロイヤルゼリーが一滴落ちたのだった、、、
(ドライト本当に何処に行ってしまったの?)
私はドライトの行方を思い皆が飛び出すと泣きだした、最初バカ亭主のブレスに驚いて逃げたした我が子を捕まえるのは容易い事と思って余裕があった、追いかけっこ感覚だったほどだ。
しかし、2、3日経つと私の考えがいかに浅はかだったか思い知ったのだった素早く枝から枝に移動し、右の葉の間から顔を出したと思うと左の葉から逃げ出す、しまいには気配すら察知するのが難しくなった。
バカ亭主にドライトが大ムカデと戦っていた話を聞いた時には締め付けられるような焦燥感に襲われた。
絶好のチャンスはドライトがクイーンビーとキングワスプの群れと戦っていた時だった、ドライトに気づかれる前に静かに近づいて捕まえようとした矢先にバカ亭主の放ったブレスによってまた見失った。
そして、両親と義父義母を呼びだし1日目に父がドライトを見かけたと聞いた時には居ても立ってもいられずに飛び出そうとしたがまた母に卵を守る様に言われ涙を飲んで皆が戻るのを待った。
正直、両親達が来てすぐにドライトを見かけた事で直ぐにでも私の元に連れて来てくれるだろうと考えたがそれも愚かな考えだったと思い知らされた、、、
龍神である両親達ですら見つけるのにすら苦労しているのだ、、、しかもこの1週間全くと言って良いほど見かけなくなったと言う、そして何時の間にか1ヶ月がすぎていたのだ。
ディアンはドライトが両親達が来た事によって驚き世界樹の外に逃げ出したのではないか?っと言っているが私には分かる。
近くに居るのだと、、、
母も言っていたがドライトに、幼龍にとって両親によって作られた結界内に有る“巣”は自分の居るべき所で最大に安心して居られる所なのだ、だからこそ私はここで待ち続けている、、、
そんな風に考えていると風に乗って甘い香りが一瞬した、クイーンビーのロイヤルゼリーの香りだ。
私が幼い頃に母が良く与えてくれた、懐かしい香りだった。
そして、その香りを嗅いだ私は何かに導かれるように巣の外に飛び出したのだった、、、
朝飯を食い終わった俺は暇つぶしをしながら監視を続けていた。
『いや本部、これ確かにダンボールだけどレターサイズだから!入れないから!せめて、、、んぁ?』
白龍が飛び出した、、、?
白龍が飛び出し中層に向かいながら幹の向こう側に消えた。
、、、チャンスだ!この3日間動く気配すら感じなかった白龍が飛び出し中層に向かったのだ今まで耐え忍んだ甲斐があったと言うものだ!
アホな事してて耐えても忍んでもいなかった気もするがこのチャンスを逃がす訳にはいかない!
今こそ作戦名 Flight to victory 勝利への飛翔 を発動するのだ!
周辺に敵影無し!羽良し!手足良し!ボディ良し!頭もなんとか良し!さぁ行くぞ!
こうして俺は隠れていた枝葉から飛び出し自由落下で巣に向けて降下を始めたのだった。
『本部!現在順調に降下中!残り2キロを切った!』
『了解!残り500mでパラシュー、、、じゃない羽を広げろ!』
『了解した!目標まであと1.5キロ!』
『そろそろこのアホな妄想も止めて巣に入る準備に移れ!』
『了解!1キロを切った!通信終了!』
「ハハハハハ!勝った、勝ったぞ!残り500m!羽ばたけ我が羽よ!「ガシ!」 Flight to victory 勝利への飛翔 ここに完遂、、、あ、あれ?」
な、なんか違和感が、、、ってか、、、
「は、羽が開かん!故障か!?降下速度は落ちているのに何故!?」
自分の体を確認すると白い大きな手に掴まれていたのだった。
「おおお!な、何事!?」
そう、俺は有頂天になり調子にのっていた為に気がつかなかったが何時の間にか白龍に捕まっていたのだ。
そして俺を捕まえた白龍はひと際高く鳴いたのであった、、、
「クオォォォォン!」
「ギャアァァァ!」
私は蜂蜜の香りを嗅いだ瞬間、外に飛び出した。
ドライトはクイーンビーと戦っていた、何故?お腹を空かせて蜜を食べていたからでは?確信があった訳ではない、、、
でも蜂蜜の香りに混じってドライトの匂いを感じたような気がしたのだ、だから飛び出した。
蜂蜜は確かに上から下に落ちていった、ならドライトは上に居るはず、しかし私は上層ではなく中層に向けて飛び出しそのまま幹の裏に回り一気に上層を駆け抜け世界樹の上から自分の巣の方向に意識を向ける、すると辺りを警戒しながら銀色の幼龍が飛び降りた!
見つけた!ドライト!我が息子!
一気に巣に向けて飛び出す、ドライトも巣に向かっているが最早我慢できない、、、一刻も早く我が手に、我が胸に抱き締めるのだ!
あと少し、、、もう少しで、、、我が子が私の手に、、、!
ガシ!
ああ、、、やっと、、、!やっと取り戻しました!
「ドライト、、、もう放しません!」
「ガオォォォン!」
こうして俺の Flight to victory 勝利への飛翔作戦 は、見事に失敗したのであった。
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