幼龍編 逃亡
「ディアン」
「ほら、セレナ向こうを見てごらん?お昼の時刻を伝える鐘が噴水と連動して素晴らしい景色と音色だよ?」
「ディアン」
「おや?あそこで売っているのは他の大陸からわざわざ運ばれてきた果物のようだね?1つ食べるかい?」
「ディアン?」
「おお!あれは珍しい!大王インコじゃないか!知能が高くて中々人に馴れないのに良く飼い主に懐いてる、芸も上手いな!」
「、、、」
「ん?明日から新しい演目が始まるだって?これは見に「フン!」『ドゴォ!』ゲホォ!」
「ちょっと黙っててくださいね?それで何ですって?」
【ドライト様が栄養失調におちいっています、何度も諫めているのですがもし自分が死んだら妹様達の糧にしてくれと、、、ドライト様!それ以上魔力を使わな プツン! 、、、】
「、、、」
「セ、セレナ、定時報告なのだろ?それよりも「ハァ!」『ゴギィ!』ケキョ!?」
「ドライト、、、母がすぐに行きます!待っててくださいね!」
「、、、セ、セレナ お、俺も行くから、、、」
やあ!ナナフシ龍のドライトさんだよ! フラフラ
今日も元気に妹達のお世話をしているんだ。 フラフラ
ん?ご飯かな?ごめんごめん今すぐにご飯の用意するからね! フラフラ
え?にーちゃもご飯食べろって?なんて優しい妹達なんだ! フラフラ
にーちゃはお腹いっぱいだから何にも心配しなくて良いんだよ? フラフラ
【いや、ドライト様そっちには誰も居ませんから!】
「んぁ?妹達はそっちか?」
『『にーちゃ、にーちゃご飯(食べて)!』』
「うんうん、今すぐあげますからね?今日の魔力は何時もより上手くできたから美味しいぞー!」
【いやですからそっちじゃありませんって!妹様達もまだ上手く喋れないのに念話を使って話しかけないでください!】
「龍珠よ我を妹達の元に導け!」
【アホですか貴方は!?】
「いや、なんか目がぼやけて前が良くも見えないんだよ」
【手元に有る魔素を今すぐに食べてください!すぐにセレナ様「母様に心配かけたくないから呼ぶなよ!?」、、、】
【ドライト様、本当に体調が心配です、このまだと倒られてしまいますよ、、、?】
『にーちゃ』『元気になって』
【妹様達も心配してますよ?、、、ドライト様?】
「は!ね、寝てた?ご飯の用意は?」
【、、、妹様方はもうお食べになりましたよ】
「あ、あれ?何時の間に、、、俺の持ってるのこれは?」
【いやですねぇ、御自分で食べるためにご用意されたじゃないですか】
「そうだっけ?なら、、、」
【早くお食べください】
「妹達にあげるか!」
【何故そうなるんですか!?】
「いや、全然お腹が空いてないからさぁ、、、」
【(、、、これは本当にまずいです、セレナ様早くお帰り下さい!)】
「ほーら、ご飯ですよー!」
『、、、にーちゃ』『、、、ご飯』『『にーちゃが食べる!』』
「ううう、なんて良い妹達なんだ!大丈夫だよ、にーちゃは何故か全然お腹が空いてないから!」
『『ご飯食べないと、にーちゃ嫌い!』』
「おかわりドンドンもってこいやー!いくらでも食ったるでぇー!」
【おお!妹様方ナイスです!(これでセレナ様が来るまでに少しは回復しているでしょう、、、)】
「なんか力が湧いてきた、これで妹達の世話もはかどるな!あとこれなら探索にも出られるな!」
【、、、は?こんなに狭い範囲まだ探索するんですか?】
「何言ってるんだよ、外だよ外!」
【いや、それこそ何言ってるんですか結界が有るから出られないでしょう、、、】
「ああ、それな!この間そこで良い葉っぱ選んでただろ?そこの枝と枝がかさなってる隙間、そうそう、そこそこ、そこだけ結界が2重にかかってないんだよ、試したら出れるんだわ!」
【これはディアン様がかけ忘れたんですね、、、これがセレナ様に知れたらえらい事になるんじゃ?】
「アホがどーなろうと知った事ではないが妹達の世話をしやすくなる良い物有るかもしれないしさ、世界樹タオルも、もっと欲しいし枝からも良いアイテム作れると思うし、ちょっと近場だけでも見て回ろうと思ってな!」
【いけません!ドライト様、結界の外にはモンスターが!】
「いないんだろう?」
【そうでした、世界樹に近づける様な強力なモンスターは討伐されますし、近づいてこれる弱いモンスターは枝の上まで来れませんからね、、、】
「俺もわざわざ、危険を犯すような事はしないよ。せいぜいこの枝と近くの枝何本か見て回るだけさ」
『にーちゃ』『どっかいくの?』
「ん?心配しなくても大丈夫、ちょっと周り見てくるだけだよ?」
『『すぐもどる?』』
「ああ、すぐに戻るよ!」
【しかし、やはり危険が0ではないですし、外出は控えられた方が、、、】
「いや、世界樹の葉や枝よりも大事な事が有ってな、、、」
【なんですか?】
「食料(魔素と魔力)だよ、今の入ってくる食料だと足らないからさ外からなんとか持ち込めないか試すのと、最悪俺は外で食事をとろうと思ってな、これで食糧問題解決するだろ?」
【なるほど、、、外なら魔素と魔力は豊富ですからね、、、あ】
「ん?どした?」
【イエ、ナンデモゴザイマセン】
「ほ、本当にどした!?」
【(ま、まずいですよセレナ様にドライト様が孵化済みで栄養失調におちいってると報告してしまいました、、、よし!黙ってましょう!)】
「とにかく、もう少し体力が回復したら、さっと周り見てくるよ」
【しかし、外出されるなら戦闘方法だけでなく龍語や念話を覚えてからにした方が、、、】
「そーいや、結界の中は龍珠さんのサポートが有るからってまだインストールしてなかったんだっけ?まぁ、すぐに帰ってくるから大丈夫だろ」
【は、はぁ、、、(明日か明後日にはセレナ様も戻られるし大丈夫でしょう)】
「じゃあ、さっそくこの枝だけでも見てくるかな」
【はい、お気をつけて】
「おう!行ってくるぜ!」
『『にーちゃ、がんばって〜!』』
「まかせとけ!」
こうして俺は初めて 巣 と言う安全地帯から出る事になった。
「セレナ、ドライトが栄養失調ってどー言う事だよ?龍珠が嘘をついてるんじゃないか?」
「アホですかあなたは?何故龍珠が嘘をつく必要があるのですか!だいいち、もう孵化してると言うのに遊んでなどいれません!」
「それも変な話だよ、新婚旅行に旅立ってまだ8ヶ月だぞ?孵化するのにあと4ヶ月はあるぞ?」
「だからこそ行かなければならないのです、何か異常が有ったのかもしれません。
それに思い出してくださいアーゲート様が卵が変だと連絡をくれたではないですか、あの時の龍珠の反応がほとんどなくおかしかったと思いませんか?」
「ああ、、、この間の事か、確かに言われてみればそうだな、、、」
「もし、ドライトに自我どころか意思があり龍珠に命じてたとしたら、、、」
「もう孵化しててもおかしくはない、か、、、」
「さきほどの龍珠の連絡にしてみてもかなり焦っていたようで急いで来てくれとの事でしたが、今思い返せばドライトが何かしているような物言いでした」
「、、、急げば今日の夕方には着くな」
「全力で向かいますよ!ドライトもう少しで母が着きますからね!」
この時、母様がアホを引き連れて巣に向かってると知らなかった俺はと言うと、、、
「ふぅ〜結構集まったな、、、」
【これだけあれば当分持ちますよ】
選りすぐりの葉と枝を結界内に持ち込んでいたのだった。
「そうだな、、、あ、あとあれだけ入れとかなきゃだわ」
【まだ何かありましたか?】
「いや、蔓見つけてさ良いロープや紐の材料になりそうなんだわ」
【たぶん、万年蔓じゃないですかね?世界樹で採れるのは高級品ですよ!】
「おお!すぐそこに有るんだよ、もう夕方だしなそれだけ採ってくるわ!」
【かしこまりました、妹様達もお眠りになりましたしドライト様も採集が終わったら、お休みになりますか?】
「ああ、そうするか、、、最後の一仕事してくるわ!」
【お待ちしております(外で大分魔素を吸収されたようですね、、、だいぶ力が回復されたようです)】
「ふう、、、巣が見えて来たわ、、、あら、あれは?」
「ん?巣の近くをフラフラしてるのは、、、幼龍、、、いや子竜か?」
「幼龍のようですが銀色の龍なんて初めて見ましたね、、、」
「むう、、、なんにしろ我が子の近くを飛び回りおって!叩き落としてくれるわ!」
「いえ、、、あれは、、、デ、ディアン待って!」
「この!ふん!よっと!ふぅ、、、やっと採れた、けどこれだけの長さが有れば色々作れるな!おんぶ紐とか、、、ん?」
「ガアァァァァ!」
「ギャーーーー!」
な、なんか黒くてデカい龍が吠えながら上からこっちに突っ込んでくるぅぅぅぅ!
巣、巣に戻らなきゃ!い、いや、ここからだと間に合わない!?迎え撃つか?
「グガァァァァ!」
「イヤァァァァ!」
む、無理だ!し、下に逃げるしかない!妹達は結界内だから大丈夫だろう!
に、逃げる前に龍珠さんに緊急通信開始!
『ワレ、キシュウヲウケル!ワレ、キシュウヲウケル!シキュウエングンヲモトム!』
【ド、ドライト様!あれはディア】
「我がブレスを食らえ小僧が!」
うおおぉぉぉぉ!なんかビームみたいなのがぁぁぁぁ!
回避だ回避!世界樹の枝を盾にしつつ、巣から離れる様に、、、!?
「ギャアァァァ!?いてぇぇぇぇ!」
か、かすった!なんて威力だとにかく逃げないと!
小回りだけはこっちのが有利だ、防御結界を全開にして下向しながら枝の影にジグザグに行けばなんとか!
「くっそ!なんて威力のブレスなんだバカそうな顔なのにあの龍つええ!」
「グゴオオォォ!」
「ぎゃーさらに怒ったー!回避!回避ー!」
な、なんで同族の龍が襲ってくるんだ!うぉぉぉぉ、またブレスがあぁぁぁぁ!
「ひぃぃぃぃ!も、もっとスピードあげて、、、ギャアァァァ!死ぬうぅぅ!」
「小僧!ちょろちょろと逃げおって!止まれ!止まらぬか!」
「あなたが止まりなさい!」ボゴオォン!「ギャアァァァ!セ、セレナなにを!?」
「ドライト?母ですよ!?安心なさ、、、ドライト!?ドライトー!」
何故かブレスが止み後ろから 「ガオガオ!」 っと聞こえたが一瞬のスキを突いた俺は枝の影を利用して急降下しながら逃げたのだった。
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