~他の異世界に召喚されたけど自由気ままに旅しよう~

Tkayuki 冬至

日常


いつも変わりない日常の中、ある一人の男子高校生は鳴り響く音に反応してむくりと身体を起こした。スマホを片手に持つとその時間は『7時45分』となっている。


「……ねむ」


彼はベッドから降りるとゆっくりとした足取りで洗面所へと移動した。


目の前に写る鏡には中肉中背で黒い髪が鼻の下まで伸びて表情はあまり見えなく頭の黒髪は少し癖っ毛があり肩より下に伸びている。。見た目からしてみて不気味だ。


彼の名は不知火しらぬい姫希ひめき。


容姿はさっきもいったが不気味だ。クラスメイトも髪に隠れた顔は見たことがない。その為か彼の成績は普通で学校内ではクラスメイトから虐めを受けている。


だが彼は何も思っていない。


まあ諦めている。


何を言っても虐めは無くならないのだと。


最近虐めを無くそう!とか言っているがそんなの0になるわけない。起こってしまった後の事を考えたらと思ってしまう。


歯を磨き顔を洗った後、朝食の用意をする。


朝食はパンに卵焼きとベーコン、そしてサラダだ。


アパートで一人暮らしをしながら自分の身の回りの家事はこなしている。両親はかなり遠い場所にいる。父親の名前は不知火雅章しらぬいまさあき、母親は不知火柚希しらぬいゆずきだ。兄弟はいない。ひとりっ子だ。姫希と言う名前を決めたのは母親だ。だが姫希は母からつけられた名前に愛着を持っている。見た目と全然違ってもそれでいいと。


朝食を終え制服に着替えた後にスマホを見ると『8時15分』となっている。


そろそろ行く時間だ。


姫希はブレザーを着て学生用の黒の鞄を肩に掛けて家を出た。


もちろん戸締りをしっかりしている。


少し春から夏に入ろうとしていて少し暑さを感じる。


徒歩で約10分程で目的地の学校へと到着した。この時点で『8時25分』だ。


ちらほらと同じ高校生がいるが姫希に近づこうとはしない。


不気味だからだ。


例えるなら癖っ毛のある貞子だろうか。


それを生徒会にも髪を切るように注意されるが無視している。



教室に着く。そこは2年C組だ。


教室内は賑わっている。


「あっ、おはよう!不知火君!」


そう姫希に声を書けてきたのは華奢で小柄な美少年だ。中性的な顔で女装をすれば絶対似合うであろう茶髪のクラスメイトだ。

名前は朝比奈梨央あさひなりお。

クラスメイトの中で唯一話しかけられるクラスメイトだ。


「おはよ」

「うん!不知火君、ちょっと眠そうだね?」

「ゲームやってたからな」

「何てゲームなの?」

「モチモン」

「あー、最近のやつだよね?僕も持ってるよ!今度一緒に協力プレイやろうよ!」

「そうだな」


何故かわからないが梨央は姫希になついている。

学園でも男女共に人気な梨央なのだが、それをよくないと思っているのはクラスメイトの男子、女子だったのだ。

姫希に嫉妬と羨望の嵐が吹き荒れる。


「ねぇ、梨央君。こんなキモい奴ほっといて私達と話そうよ!」

「そうだ、こんな貞子みたいな奴と一緒だと不幸になる!」


そう声をかけてきたのかクラスのNo1美男美女の天海翔貴あまみしょうきと島崎美春しまさきみはるだ。


天海は何でもできるイケメンでハーレム野郎だ。いつも取り巻きの女子達と一緒に行動していてる。

そして島崎は絶世の美少女で天海の取り巻きの代表的な人物だ。


この二人はどうやら不気味な姫希をよく思っていないらしい。

まあ仕方がないが。


「そんな事ないよ!姫希は……」

「梨央君一緒にいきましょ!」

「そうだぜ。……おい不知火、てめぇ後で覚えとけよ?」


そこから更にキャラが増える。


「(うっとい……)」


髪のせいで表情はよく見えないが面倒臭そうな表情をしていた。


次に登場してきたのは水間拓真みずまたくまと石山美弥いしやまみやだ。この二人も美男美女に入るだろう。



キーン、コーン、カーン、コーン、



「はーい、席についてー!」


チャイムと同時に教室に入ってきたのは担任の小早川麗奈こばやかわれなだ。

美人で男子生徒から人気ではあるが同時に相談相手として女子生徒達にも非常に人気だ。

まだ幼さは残る愛らしい顔だが服装はキッチリとスーツを着こなしている。しかも胸も中々大きいのもポイントが高い。


小早川の声でクラスメイト達は席についていく。


不知火の席は外が見える窓側で一番後ろの方だ。


出欠をとっている中、外の景色を見て溜め息をつく。


またいつもの日常が始まると。


それは不知火にとっては自然な流れであり変わらないものだと思っていた。



だがこの時、誰一人そのいつもの日常が今日で終わってしまうなんて思っても見なかったのだった。








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