ウケる話とは何だろう?

漆屋 正

第1話 異世界考察

異世界モノがウケる理由とは何だろう?

ファンタジーとして既に出来上がった形式があるからだろうか?

『ホビットの冒険』と『指輪物語』から始まった枠組み。

ドラゴンがいて、ゴブリンがいて、エルフがいて、その他の種族もいて・・・。

現実の人間や文化が異なる世界観と触れ合うことに意味があるのかもしれない。


私は基本、この世を否定している。「生まれることは最大の悲劇である」というタイトルを書いてる通り、悲観的かつ厭世家だ。

しかし、異なる世界には興味がある。その世界にさえ理不尽はあるのだろうけれど、憧れる感覚がある。


上記の作品にコメントをしてくださった方の意見を見た当初は頭を抱えたけれど、生きていることが快楽につながる瞬間があるのも事実だ。それらを物語に反映させたとき、現実とは異なる価値が生まれるのかもしれない。異世界モノにおける『現実』は真の意味での現実とは違う。我々が実際に生きている現実を理想化したモデル。その中で抜粋した文化を異世界に持ち込む、というもの。ある意味では、物語を読むときにおいて、我々が住む現実、物語の中で理想化された『現実』、異なる文化・種族が生きる『異世界』の3種を比べてみているのかもしれない。


思うに、人間賛歌とは心地よいものだ。勢いがあり、豪華ならばなおさらのこと。しかし、その裏には矛盾が付きまとう。それでも、『これが正義だ!』と規定したくなる感情もわかる。書き手にとっての正義と人間賛歌を反映した理想化した『現実』も一つの異世界といえる。


ふと思う。本当の意味で人の興味を引くものとはなんだろう?現実離れした理想的な異性だろうか?豪勢に着飾った文章だろうか?生命への賛美だろうか?どれも当てはまる気がする。・・・私には文才がない。それだけに、どういったものが人の心を引き寄せるのかも分からない。生まれ持った病の影響もあり、人並みの幸福を真の意味で味わったことは無い。味わえる機会がそもそも失われているのだ。この世を楽しめる人々は、自分にとってはもはや違う生き物に見える。だというのに、孤独は付きまとうのだ。


男は女に惹かれる。女は男に惹かれる。同性にも惹かれる。

そこに魅力があるからだ。だからこそ、引き寄せられる。

それが何なのか、私にはうまく理解できない。人一倍冷めた感覚と視界で生きている。セクシーというものは分かる。ただ、そこに矛盾があると感じると興奮がまるで起きない。人間らしいふるまいも、ある意味演技なところがある。


人々に問いたい。一体、どんなものなら魅力を感じるのか?

私は理想郷という概念に逃避している。その理想郷さえ、形に出来ていない。

一体、各々にとっての理想郷とはどんなものなのか?

学びたい。私には実感がわかないものだから。


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