第5話つなぐ指

冬 特に11月の夕焼けは美しい

しかし すぐに暗くなる。


夕焼けが真紅になる前から 

高校の音楽室で

ずっと 一つ上の彼女のピアノを聞いていた。


「きれいでした」

練習を終えた彼女に声をかける。


既に星が見えている。


「夕焼けのこと?曲のこと?」


「いや、先輩のこと」


「お上手ですこと・・・」

つなぐ指の力が 強まった。

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