4:ダイエットにはげみます!
何て、何て幸せなんだ!
幸せすぎて…3キロ太っちゃった…。(ひでぶ!)
8日間のお休み中、ず~~~っと家に居てゴロゴロしまくった結果なのだけれども。
30歳前にもなれば、代謝も落ち体重が減りにくくなる、と実感させられた正月でした。
でも、でも、イチャイチャもちゃんとしたんだぞ!
そして、その体重を維持したまま結婚満1年目を迎えてしまった。
あれから、佐和田くんが料理上手になった、と言ってくれたので、12月いっぱいで料理教室は辞めてきた。
嬉しい事に『辞めないで!』って引き留めて貰ったけど、(結婚を期に仕事も辞めてるし)贅沢できないから仕方がない。
という事で、現在、引き籠り。
そりゃあ、痩せないよね!
そんでもって今日は結婚記念日だけど、やっぱり佐和田くんはお仕事で遅くなるそうです。
暇だから佐和田くんの好きなガトーショコラを焼いたり、生チョコを作って時間を潰したけど、流石に丸1日かかる訳じゃないから夕方からは暇で、ゴロゴロしてたら眠ってしまっていた。
夜も7時過ぎた頃、急にスマホが鳴り始め、その音に私は目を覚ました。
電話の相手は高校(部活時の)友人、井之頭嬉子(通称:嬉ーちゃん)。
忙しい彼女から久し振りに電話がかかって来て、嬉しさもあり、彼此2時間半くらい話し込んでいる。
嬉ーちゃんはバリバリのキャリアウーマンで、スレンダーボディーで私の憧れの体型。
体型維持する為にどんな努力をしているのか聞きたくって根掘り葉掘り聞き出していたら、佐和田くんが帰宅した。
時計を見ると既に9時半を過ぎたあたり。
今日は結婚記念日だから早く帰って来てくれた、と思うと嬉しくって思いっきり顔がニヤける。
私が電話をしていると分かると、佐和田くんはジェスチャーでシャワーを浴びるマネをして、ネクタイを解きながらお風呂場の方へ向かって行った。
『どうしたの?あ、もしかして、佐和田帰って来たんじゃないの?』
電話の最中だったのにすっかり佐和田くんに意識を取られちゃってた。
「あ、ごねんね。そう、今帰って来て、お風呂入りに行ったの」
『そっか…。ね、野乃。今、幸せ?』
嬉ーちゃんの声が一瞬だけれども震えたような気がした。
「嬉ーちゃん?」
『あ、新婚さんに野暮な事聞くなってねー。また時間ある時に連絡する』
「嬉ーちゃん、仕事頑張り過ぎないでね」
『うん。野乃も突っ走らないように』
クスクスと嬉ーちゃんは笑って電話を切った。
「やっぱり、嬉ーちゃんの体型は遺伝なのかなー。あんなモデル体型になりたいよー」
嬉ーちゃんの弟さんも男なのにスレンダーな体格だし。
独り言を言いながら教えて貰った足首回しのストレッチとマッサージを始めた処でふと、入浴剤の事を思い出した。
「あ!忘れてた!入浴剤!」
お湯に入れたらジェル状になるという入浴剤を買ってみたのだった。
やっぱり使うのは結婚記念日でしょ!って事で、是非とも佐和田くんに使ってみて、その後、私が楽しんでみる。
どこまでジェル状になるのかが楽しみで、ワクワクしながら私はお風呂場へ向かって行った。
しかし、既に服を脱いでいたら、湯船に浸かっていたらどうしよう、と戸に手をかけた処で迷う。
だって、佐和田くんの裸なんて見たら、触りたくなっちゃう!!!
やだ、私のエッチーーー!(きゃー!)
いや、どさくさに紛れて抱き着いて、触っちゃって…って、いかんいかん!
今は入浴剤。
「…………」
ちょっと考えて、うん、と頷く。
とりあえずここから声をかけ、反応を見てから開けるか決めよう。
佐和田くん、と声をかけようとした途端、戸の向こう側で声が聞こえてきた。
聞き耳を立てるのはどうかと思ったが、出来心?好奇心?に負けてしまって戸に耳を押し付けてみた。
『だーかーら。お前が思ってる程、美人じゃねーし。…つーかさ、何でそこまで見たい訳?…謙遜していう訳じゃねーけどな、嫁さん、塩と砂糖間違えて天ぷら揚げた事もあるおっちょこちょいなんだよ』
天ぷら…。天ぷら?
あ、ここに引っ越して来て初めてご飯作ったのが天ぷらそばだった。
え?あれって、美味しくなかったのは塩と砂糖を間違えちゃってたの?
それは不味いに決まっている。
味見って本当に必要だ。
キテ〇ツ大〇科のみよちゃんのママが味見の大切さを語ってたじゃない!
…しかし、佐和田くんも言ってくれたらよかったのに、なんて思っていると、また、話しが始まった。
『いやいやいやいや!ハッキリ言う。ハッキリ言うけど、嫁さんデブだから。正月、食っちゃ寝ー食っちゃ寝ーで3キロ太ったって騒ぎまくってる』
あはは、と楽しそうに笑う声に思わず項垂れる。
確かに3キロ太りました。
塩と砂糖を間違えました。
だけど、それをネタにするのは、ちょっと悲しい…。
『まあ、嫁さんダイエットさせて、見せられる様になったらお披露目するわ。それまで我慢してくれ。……おう、じゃあな』
話しが終わった様で、ふぅ、とため息が聞こえた。
お腹周りを触ればふにふにどころじゃなく、ぶよぶよ。 二の腕たぷたぷ。
太股もハリが無くなって来たように感じる。
このままだと二重顎になって、行く末は …
『ででででらっくす級になっちゃう!!!』
これは、一大事だ!
早急に手を打たなければならない!
ん?ちょっと待てよ?
…も、もしかして、これは、佐和田くん流の思いやりなのでは?
妻でも私は一応、女。
面と向かって言うと私が傷つくと思って、こうやって聞こえよがしに言ってくれたのかもしれない。
『な…なんて優しいの!?佐和田くん!』
そう思うと私の手と口は勝手に動いていた。
スッパーーーン!と良い音を立てて開けられた戸の先には、佐和田くんがズボンを脱ぐ処だった。
「ななな!おま、ちょっ!」
驚いてパニくった佐和田くんはズボンをそのままに、腕をクロスして胸元を隠しあわあわしている。
ふぁぁっ!何て素敵な胸筋なんでしょう!って、そんな素敵な佐和田くんの筋肉に見とれている場合ではないのだ!
「佐和田くん!ありがとう!何て優しいの!本当、大大大大大好きだよ!私、ダイエットする!でらっくすになんかなるのは私だって勘弁だから!今から、バランスボールとかダイエット用品、買いに行ってくる!そして、みんなにお披露目しても恥ずかしくない体系になってみせマッスル!!!」
「は?え?って、お、おい!買いに行くって、こんな時間に、外出るなって!」
「ダイエット何時するの!いまでしょう!!!」
「お、おい!また、暴走っ、」
脱衣所で佐和田くんが何か言ってたけど、私の耳には何一つ入って来ない。
財布を掴むと前回同様、
「野乃華、いっきまーーーーーす!」
私は玄関を飛び出した。
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