第2話 未来予想
私はそれを聞いて思わず「え~!」と大きな声を出してしまいました。
貴族の子女にあるまじき失態です。メイド長に聞かれたらどのようなお小言を言われるかわかりません。
「貴族たるものいついかなる時も冷静に。」それが我が家のモットーです。
「話が違うじゃない。」と文句をいうと、ハルは「だって君このままだと、若死にしちゃうもの。」と簡単に言ってくれます。
私はそれを聞いて「死ぬ!誰が?私が。ありえない。死ぬってどういうこと?死ぬと苦しいの?痛いの?お母様やお父様に会えなくなるの、花を愛でることも、おいしい食事を食べることもできなくなるの?」こんなことが頭の中をぐるぐる回って、もう訳がわからなくなってしまいました。
気が付くと、私は両目からは大きな涙がとめどもなくわいてきて、大声を出して泣いていました。
ハルはそれをみて「しまった!」という顔をして、私を慰めてくれます。
「どうして、そんな意地悪を言うの?そんなに私に精霊の加護をくれたくないの?」
私がそう聞くと、「ハルは意地悪じゃない。」と私の目を見てはっきり断言しました。
その真剣さにうたれて、私が少し泣き止むとハルは「実は僕は未来を少しだけだけと見ることができるんだ。」と言ってきました。
私がキョトンとした顔をしていると、ここぞとばかりに続けます。
「僕が見た未来が確実だとは言わない。しかし、かなりの高確率で起こる未来を僕は見ることができる。これは精霊の中でもほんの数人しかできないすごいことなんだよ。」
確かにすごいことなのかもしれませんが、ハルが言うと今一信用できません。
そこで、「私はどうして死んじゃうの?」と聞いてみました。
するとハルは「君は、自分が太りすぎだという自覚があるかい?」と聞いてきました。
確かに私はぽっちゃり体形です。それは私もわかっています。
しかし、家族は皆そんな私をかわいいと言ってくれます。
それだけでなく、お母様もお兄様も小さい頃は私と似たような体形でしたが、大きくなるにつれ、ダンスや剣の練習をしたら痩せてきたと言っております
だから、私も確かに今はすこしぽっちゃりかもしれませんが、もう少し大きくなれば、家族のようなスリムな体になれると思っていました。
そのことをハルに話すと、ハルは大きく頭を振ります。
「それは皆それだけダンスや剣の練習で食べた分を消費したからだよ。君は何かやっているかい?」と優しく聞いてきます。
私は首を横にふるしかありませんでした。
するとハルは「『いいかい、食べたら太る。』これはわかるね。」と言ってきます。
私が首を縦にふると、「『だったら、食べた分を消費するか、食べる量を減らさないと体重は減らない。』これもわかるかい?」とゆっくり聞いてきます。
私が小さく頷くと、「だったら、君は運動をするか?食事をへらすか?どちらかをしない限り今の体重は減らないわけだけど、どうする?」と聞いてきます。
確かに今の私は体重が重すぎてロクに走ることもできません。
というか、走るどころか、動くと本当に膝が痛くなることもあるのです。
結果、ダンスの練習が大の苦手で何かと理由をつけてさぼってばかりおりました。
だから私はこれからも太ったままなのか、それはわかりました。
しかし、それが若死にと、どう繋がるのかわかりません。
勇気を振り絞ってそこを聞いてみました。
すると「太っているとどうしても心臓に負担がかかって、その結果、君は心臓発作を起こして死んでしまうんだよ。」とハルは教えてくれました。
ただ、少しだけ気になったのが、これまでずっと私の顔をしっかりみていたハルが、この時ばかりは、目がすこし下を向いていたことです。
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