第481話 どエルフさんの兄とザ・セクシー・エルフ

【前回のあらすじ】


「セクシー!! エルフ!!」


 ちゃらら、ちゃらっららら、ちゃらららー。

 あれはセクシー、とってもセクシー、セクシーで知られた、セクシー野郎。

 誰が知ってる、俺が知る、皆、知ってるセクシーエルフー。


「名はチ〇包チ〇ポウ、字は金玉キンギョク!!」


 そう、アイツはキングエルフ――。

 みんな知ってるキングエルフ――。

 ふんどしとケツが似合う男。

 エルフリアン柔術が似合うアラフォーエルフ。


「エルフリアン柔術を食らうがいい!!」


 プリッ!! 今日もケツがプリめいている!!

 お願いだから見てあげて!! 傷一つないそのプリケツを!!


 そう、エルフエルフ、美尻のエルフ。

 妹と違ってセルライトもない、彼はパーフェクトビュティ―、セクシーエルフ。


「キングエルフ!! ここに見参!! デリケートゾーンの心配はいらんですよ!!」


 ということです。


「おぁーっ!! こっちがシリアスでえらいことなのに、いきなりあらすじからぶっ壊しにきたぁーっ!! というか、バラすの早いわよ!! どうすんのこれ!!」


 どうしましょうかね。あらすじ、はっちゃけ過ぎました。

 それもこれも全部、一次選考童貞突破が原因だと思われます。


 ☆第13回小学館ライトノベル大賞の一次選考を突破しました――!!


「近況報告でやれ!!」


 ★そして二次選考で落ちました――!!


「タイムリーだなぁ!?」


◇ ◇ ◇ ◇


「キングエルフ見参!! 我が愛しの愚妹フェラリア、及び、魂の義弟であるティトとの約束に従い、中央大陸連邦共和国に加勢いたす!!」


 生まれたままの姿にふんどしをまとったままのキングエルフ。

 彼はどこからともなく、あえて言うなら風と共に現れた。

 それと同時に――。


 突進してくる第三部隊の前に、もやもやとした陽炎が立ち昇る。すわ、これはと思って第三部隊の先頭を行く兵たちが、手綱を握り締めた時にはもう遅い。


「食らうがいい!! これぞエルフリアン柔術の真骨頂!! 尻餅突きペッタンペッタンモチペッタン!!」


 陽炎が晴れる。

 そこに現れたのは列をなすふんどしのエルフたち。

 全て男。鍛え抜かれてなお細い、そのエルフ故の華奢な体には――けれども確かな力強さが脈打っていた。そう、その力はエルフリアン柔術により培われたもの。


 非力なエルフが力を得るために編み出したのは、徹底的な技、合理的な術、そして、諦めぬ心、折れぬ精神。それら全てを、エルフリアン柔術は彼らに与える。


「エルッフ、ライライラーイ!!」


 こちらの世界で言う所のマケドニアの兵の如く、一列に整列したエルフたちが尻を月だす。その掛け声と共に、繰り出されたエルフたちの尻が、第一陣として第二部隊に躍りかかろうとしていた、第三部隊の騎馬兵の出鼻をくじいた。

 いや、本当にその鼻を尻でくじいていた。


 カウンターパンチならぬ、カウンターケツ。


 エルフと言えど男臭い、そして、鍛えられ絞られた臀部を顔面に食らって、第三部隊の兵たちはその場で絶命した。


 そうであろう。

 男の生ふんどし、生尻、生ケツである。

 そんなものを顔にカウンター気味に突きつけられるのを想像してほしい。

 その生暖かさを、そして男臭さを、自分の尻で感じて見て欲しい。


 身の毛がよだっただろうか。


 精神的死は不可避である。

 男は(男の)尻を顔に当てられれば死ぬのだ。


 最前列の騎馬隊が突き崩されれば、騎馬突撃の勢いは殺される。第二騎士団を背後から突き崩すはずだった第三騎士団の面々は、エルフたちにより止められて、一気にその兵科としての意味を失った。

 どころか、続く後陣の騎士団に対する壁へと変わってしまったのだった。


 おそるべき知略。

 いや、真におそるべきは知略ではない。


 おそるべき――エルフリアン柔術。

 流石は力に劣るエルフ族が、人間とまともに戦うために考案した技と術である。

 そこには一切の不合理はなく、徹底した戦いの理屈が詰め込まれていた。

 尻で男の顔を叩き潰す。ただそれだけのシンプルな一撃。あぁ、エルフリアン柔術、讃えよ、エルフリアン柔術。そんな感じに、第三部隊の突撃を止めたエルフの戦士たちは、漢の顔をしてそこに立ち尽くしたのだった。


 精強なことで大陸で知られた第二部隊から、その地獄絵図のような攻撃に思わず悲鳴染みた声が漏れる。そんな彼らに。


「何をしている!! エルフの俺たちにできるのはここまでだ!! 鍔迫り合いは任せたぞ、人間の戦士たち!!」


 エルフリアン柔術の極意その一。

 仕事の分業ワークシェアリングをエルフキングは炸裂させた。


 そう、エルフリアン柔術は、戦闘だけに特化したものではない。エルフリアン柔術を学ぶことで、その受講生は、人間的な成長も行うことができるのだ。

 エルフリアン柔術はこうやってビジネスにも応用できます。

 なぜってそれは、エルフリアン柔術が、徹底した合理化と効率化に基づいた、弱者のための技術だから。


 か弱いエルフが、タフでワイルドに生きていくために編み出した、合理的なたった一つの冴えたやり方。それが濃縮された武術だから。

 それを学ぶことにより、得られる効果は絶大。


 学校もビジネスも成績アップ。鍛えられた肉体に自信がついて情緒が安定する。窮地を切り抜けた経験が、人間的に一回り精神を成長させる。人間的な成長が、肉体的な成長をうながす。男らしくなった男の中の男の僕になんと彼女もできてしまう。


 さぁはじめようエルフリアン柔術。

 君も今日からエルフリアン柔術。

 通信講座で、どこでも、すぐに、誰とでもはじめられる。

 場所と時間を気にせずにはじめられる。


 エルフリアン柔術をやる条件はたった一つ。

 男の子ってことだけだ。


 さらに、そういう講座が不安な人にも安心。成果が出なかった場合には、入会費は全額返済いたします(なお成果の判定には、エルフリアン柔術の達人である、キングエルフ先生がポジティブリッスン&トークで応対いたします)。


 ご連絡はこの男――。


「暗黒大陸の走狗ども!! 貴様らの好きにはさせぬ!! 我が盟友の帰還まで、この尻が相手をしよう!! さぁ、死にたいものからかかってこい!!」


 プリッ!! 今日も煌めくいい尻をした、金玉キンギョクチ〇ポウまで!!


【あとがき】


「はっちゃけ過ぎじゃない!?」


 はっちゃけ過ぎました――。


☆ごめんね、カドカワさん――!!(来週はまじめにやります)

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