第69話 肺
第三体育館への移動中に牧師を呼び出そうかとも考えた。
しかし今はとにかく第三の側面エアロックから中に入ることが優先だ。
第一のエアロックが封鎖されている今はもう第三しか残っていない。
船外から中に入るには第一と第三のエアロックふたつしか無い。
それ以外に後部の大型資材搬入用の全面ハッチはあるが。
全面ハッチは人口知能の紫さんが制御している。
紫さんとの通信が出来ない現状では開けてもらうことは出来ない。
かなりの運動量で肺が焼けるようだ。
気を失わないように気を付ける。
疲労で体が思うように動かない。
第三体育館の側面エアロックに着いた。
急いで外ハッチを開ける。
猛烈な速さでテザーを設置し直して内側ハッチのハンドルを回した。
回った。
ハンドルが。
グイグイとハンドルを回して内側ハッチを開け室内に入り込んだ。
室内には空気があるようだがヘルメットを脱ぐのは後だ。
最短距離で室内を移動して第二と第三をつなぐエアロックにたどり着いた。
そして宇宙服についている工具固定用のワイヤーでハンドルを固定した。
さらに急いで第三体育館から外へ出るエアロックへ戻って内側から封鎖した。
まだだ。
まだやることが残っている。
空中をフワフワと移動しながら第三体育館の中をチェックした。
大きな貨物や冷凍睡眠装置などをチェックする。
装置の死角やロッカー内に誰か潜んでいないかも確認した。
チェックした結果、第三体育館は無人だと判明した。
(厳密には冷凍睡眠装置にハルカワが寝ているから無人ではないが。)
あまりにも激しく動きすぎて10分ほど意識を失った。
目を覚ました俺は牧師を呼び出して話しを始めた。
俺「こちら機長。人工知能の紫さんがA子に協力している。」
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