第18話「女の子のおうちに遊びに行こう。」
「で、ソラさ、なんとかなるもんなのかこれ?」
僕にはどうにも
いくらソラが情報を自由に操れるといっても、限界があるのではないか。
「そうだな、犯人を何とかしろと言われたら気が進まないんだが。しかし畑よ、今回に関してはルイの息子を助けてあげればいいんだろう?」
ソラは畑にそうきいた。気が進まないという言い方に少し胸がつかえたが…。
「そうだな、できれば同じ悩みを抱える子供たちもなんとかしてやってほしいが。」
一万人以上の被害者がいると知った以上は知らないふりはもうできない。畑も気持ちは僕と同じだったようだ。
ソラはそれを聞いて答えた。
「対処療法ってことになるだろうな。廃人の原因が通信情報だっていうなら何とかできなくはないかもしれない。情報によって何かを狂わされたなら情報によって元に戻すこともまた可能だということだ。」
そ、そういうもんか。不可逆変化って言葉もあったと思うけどな。一度起きてしまったことは二度と戻らない、エントロピーの増大がどうたら…。
「俺らはエントロピーについては攻略することができたのだよ。まぁ細かく話すとそれだけで年単位だけどな。」
やめてくれエントロピーっていう話題の時点で、嫌な予感しかしない。
「そもそも、犯人ていうか、このアプリの製作者の意図をわからずに対処できるのかよ。アプリの痕跡もほとんどないんだろ?要は病気の原因がわからないのに治療するようなもんなんじゃ。」
「そう何もない。だから、作るしかない。」
「えっ。」
つくる?何を?
「ないならヒントをもとにそのアプリを作ってみる。そこからどういう風になるか。探ってみよう。」
「まったく話ががみえないんだけど。」
「状況再現ってやつだよ。それによって得られた情報で、修正プログラムを作ろう。太陽が言うようにワクチンを作るようなものだ、病気を知るためにあえて病気を作るってことだ。」
どうも、ソラはその魔法使いのソースってゲームを自分で作り出す気らしい。しかしできるのか、果たしてそんなこと。
あまりに情報少なすぎるだろう。なにせ、俺もソラもプレイしたことがないからな。
「写真をとってそれをソースに変えるゲーム」という情報をルイさんから手に入れただけだ。それ以外には分かってないんだぞ。
「プレイしたことがありそうな人が身近にいるだろう?」
知ってるだろと言わんばかりに、ソラは聞いてきた。
畑はやらないだろうし、ゲームやりそうなやつといえば、
「マキナか…。」
「そう、彼女ならもしかするとプレイしたんじゃないか。それにどのみち今回の件は情報だけじゃ足りない、インターフェースが必要になる。太陽が機械に詳しく無い以上、マキナにたよるしかないだろう。」
マキナはヘビーゲーマーだ、目についたゲームはとりあえず1度やってみるらしい。
パズドラとモンストもやったが、あれは自分向けじゃないと言っていた。白猫はありで、グラブルはもう少しテンポよくしてほしいっていってたかな。
私に知らないゲームはないと普段からいってる。あいつのどこにそんな暇があるのか謎だ。
「分かった。早速マキナに聞いてみる。夜中の三時だがまだ起きてるだろう。むしろ昼間の方が寝てそうだし。」
さっそく、ケータイを手に取りラインしようと思ったが。その必要は無かった。
画面はすでにライン画面にきりかわっており、(以下ライン画面)
「ソラです」
「あっ、先輩じゃないんだね。」
「廃人事件の件で。あのゲームやったか?」
「ソースでしょ、やったよ。なになに?なんかあるの?」
「今から行きます。」
「OK」
というやり取りをしてた。ずいぶん簡素なやり取りだ。
いいのか、こんなんで伝わったのか。
つーか、本当にやっていたとは恐るべしマキナ。
「あれそういえばなんでマキナは平気なの?」
「被害者はほとんど12歳以下だ。熱中しやすい世代、タイプしか被害にあってないとみている。マキナは飽きっぽいんだろ?」
そういえば被害者は子供ばっかりだったか……。
そういうわけでさっそくマキナの家に行くことにした。
って、マキナの家を僕は知らないのだが、それもいつの間にかやり取りしてたらしく、ソラはGPS情報をマキナから受け取っていた。
畑は、店の片づけがあるということでついてこないらしい。
お前の頼み事なんだがな…。
あれっ、俺人生で初めての女子の部屋に行くイベントじゃね?
高鳴る心臓の音を必死に隠しながら、僕らはマキナの部屋に向かった。
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