1-10-3 美弥と未来?佐竹始動?
お風呂を出てログハウスのリビングに戻ると婚約者たちの機嫌がいい。
このログハウスのことや、お風呂のことでワイワイやっている。
魔法でキンキンに冷やした炭酸ジュースを飲みながら皆の笑顔を眺める。
えへへ、美少女に囲まれて幸せだ~。
「龍馬よ、なにやら嬉しそうじゃな?」
「え? ああ、うん。ログハウスってマイハウスっぽく造ってあるだろ? 街に行って生活を始めてもこんな感じだったらいいな~って思うとついね」
「兄様、次から次に嫁を増やすのは菜奈は反対です!」
「ハーレム案はお前たちから言ってきたことだろ。最初俺もどうかなって思っていたけど。皆が今みたいに仲良く幸せそうに笑顔で暮らせるなら良いんじゃないかって思えてきた」
「ん、皆で上手くやればいい。この家は快適、部屋も一杯ある」
「雅、このログハウスは試作的なもので、街についてから使う家はこんなもんじゃないぞ。ちゃんと個人部屋があってトイレも部屋ごとに用意するつもりだ。お風呂はジャグジーだけじゃなく、温泉レジャー施設のように薬湯風呂や電気風呂、水風呂、打たせ湯なんかも造る予定だ。キッチンは桜たちに設計させてあげるから、好きなようにデザインしてくれればそれに沿って作ってあげるつもりだよ。家というよりお屋敷だね。既に創り始めてるから街に着く頃にはある程度できているかな」
皆でなにやら盛り上がっている。
「あの、先生もそのお屋敷に住んでも良いのかな?」
「美弥ちゃん先生も、お相手が見つかってお嫁に行くまではちゃんと面倒を見ますよ」
「先生が龍馬君のお嫁さんになれる可能性とかあるのかな?」
美弥ちゃん先生が爆弾を投下した! 婚約者たちが一斉に俺に注目する。
ここにいる中で、俺と婚約していないのは美咲先輩と美弥ちゃん先生と未来の三人だけなのだ。
「先生は俺のこと好きなのか?」
「龍馬よ、その質問はちと先生には酷じゃの」
「どうしてだ?」
「妾がここで言うのは……ナビーに教えてもらうとよかろう」
『……では、美弥は教師と教え子いう立場も気にしていますが、それより年齢差を気にしているようです。皆、自分より遥かに若い年頃の美少女ばかり、そこに適齢期を過ぎたおばさんが好意を寄せても迷惑なのではないかと考えています。後、年齢差を考えるとマスターに拒否される可能性が高いと思っていて、断られた後の気まずさのことを考え、好きだとは自分からなかなか言い出せない状態です。フィリア様はそれを見越して酷だとおっしゃったのでしょう』
『じゃあ、美弥ちゃんは俺のことが好きなんだな?』
『……そのようです』
「俺としては、美弥ちゃん先生が好きだと言ってくれるなら嬉しい。こんな年下で自己中な俺でいいならこっちからお願いするよ。あ~でも一応婚約者たちの許可が要るんだけどね。先生なら皆も反対しないと思うけど……」
「はぁ~やっぱりこうなっちゃったか」
「ん、想定内」
「美弥ちゃん先生……兄様の好みですもんね。ちっこ可愛くて、理知的で癒しキャラ。雅ちゃんにはないおっぱいと色気があるぶん強敵だとは思っていました」
「もともと皆に好かれておったのじゃ、反対するものもおらぬじゃろ? 美弥よ、良かったのぅ」
「みんなありがとう! 歳の差を思うと先生なかなか後一歩が踏み出せなくて。自分ではお姉さんのつもりだけど、龍馬君におばさんなんか嫌だと言われたら、寝込んじゃうところでした、えへへ」
やっぱこの人可愛い。おばさんどころか、どう見ても25歳には見えない。
高等部というより、制服を着せて中等部に放り込んでも違和感なさそうなくらいだ。
「あの、私も―――」
「未来はダメ!」
「「「未来ちゃんキター!」」」
「まだ何も言ってないのに……菜奈、酷い」
「未来ちゃんは俺からお願いしたいところだけど……本当に良いの?」
「はい。色々悩みましたが、私が一番幸せになるには、このハーレムに混ぜてもらうのが一番と思いました。正直一夫多妻とかありえないって思っていたのですけど……いまのこの雰囲気、結構好きです」
「俺からすれば、子供の『結婚ごっこ』って気もするけど、ごっこでもいいかなっていまは思ってる。この世界では群れた方がいろいろ楽しそうだしね。せっかくチートできるんだし、楽しまなきゃ損だよ」
新たに婚約者が2名増えた。
美弥ちゃん先生も未来ちゃんも俺には勿体無いくらいの魅力的な女性だ。
「盛り上がってるようだけど、ちょっと武器の注意事項を怪我される前に言っておくね」
皆を集めて簡単に説明を始める。
「まず最初に、この刀は普通の刃物と違うってことを理解してほしい」
俺は鉄の剣を1本インベントリから取り出す。
「普通の剣はこうやって刃先に指を当てても切れない。刃物は刃先を当てて押すか引くかすると切れるんだ」
実際に刃先に指を押し当ててみせる。指に刃のあとが残るが切れてはいない。
そして次に刃に指を当て、剣を軽く引くとすぐに血が滴り落ちた。
未来がすぐにヒールをかけてくれる。
ヒールは自分で掛けるつもりだったが、未来ちゃんなかなか素早い対処だ。
「兄様あまり無茶しないでください!」
「自分でヒールするつもりだったから。驚かせたのなら悪い。でだ、俺がさっき打って渡した刀は根本的に違うんだ。魔刀なので刃先に触れただけでスパッと切れてしまう。個人認証機能で持ち主と作製者の俺は切れないようになっているけど、決して他の者に触れさせないこと、いいね?」
「「「はーい!」」」
「じゃあ、実際に個人認証を行ってもらうね。刀と鞘と柄に竜の印が入っているから、そこに血を一滴ずつ垂らしてほしい。そうしたら遺伝子情報や魔力情報、個人香などを読み取ってその人しか使えなくなる。穂香は盾の内面上部と投げナイフ2本に認証が要るようになってるのでその3箇所にね」
何人かが、血を出すのに指先を切るのを怖がって尻込みしていたが、先にさっさと個人認証を済ませた雅に強引に指を切られて出血させられている。未来と美弥ちゃんがヒールで慌てて回復していたので問題ないだろうけどね。
「皆、ちゃんと認証できたようだね。美咲先輩の前のモノは自動転移で美咲先輩の下に転移魔法で帰ってくる機能がありましたが、今はその機能はないです。ですが、皆の武器はマーキングしてありますので、盗まれても追跡できます。何の心配も要りません。でも一生懸命造ったので、できれば盗まれたりしないように大事に管理してくれると嬉しいかな」
「龍馬君、この刀は凄く良いです。波紋も素晴らしい美しい刀です! フィリア様には悪いですが、比べ物にならないほど手に馴染みます」
「ちょっと悔しいが、それは当然じゃな。妾は美咲のイメージどおり創ったが、龍馬は其方を入念に採寸して手の大きさなどから、柄の握り部分まで美咲に一番適したサイズに調整してくれておる。長さや重さ重心の位置も美咲は細かく注文入れておっただろ?」
「はい。フィリア様の時はすぐにできあがって与えてくれましたが、龍馬君は目の前で造ってくれたので、いろいろ調整してくれました」
「美咲の手に馴染むのも当然じゃな。折れたものが新たに生まれ変わって良かったの。大事にすると良いぞ」
「はい、大事にします! 龍馬君ありがとうね♪」
「どういたしまして。あ、それと雅と穂香のはちょっと特殊なんで練習がいるよ。雅はちょっと練習すればすぐ使いこなしそうだけど、二人は後で練習をしようか?」
「ん! 魔法早く切ってみたい!」
「私も、魔法喰らいたいです! 龍に火を吐かせたい!」
なんかこの二人ヤバい……元々ゲーム脳的な二人には、このおもちゃは危険だったかな。
沙織と菜奈が後で練習に付き合うようだ。魔法を打ち込む人がいるからね。
「さて、夕飯の手伝いもあるだろうし、別館に戻ろうか?」
「「「はーい」」」
俺は魔力枯渇状態で少し気分が悪かったので、少し華道室で寝させてもらった。
どの位経ったのだろう? 不意に揺すられて起こされる。人の気配に気付かないほど熟睡していたようだ。
どうやら1時間ほど爆睡してたみたいだ。
周りを見たら、ちょっと緊張した顔の面々が俺を見ていた。
「さっき高畑先生から連絡がありました。教頭が話があると佐竹君たちを伴って体育館の方に来ているそうです」
「そう、やっと帰ってきたんだ。それで夕飯はどうなってる?」
「予定ではあと30分ほどで持っていく予定だったんだけど……」
「もうできているなら、先に運んであげて。下手したら殺傷沙汰になるので、折角のご馳走が楽しくなくなっちゃうと嫌だしね。話はその後で場所を変えてしようか?」
5分後に連絡があり、話は夕食の1時間後に体育館でという話になった。
今はオークの脅威がなくなったので、地下のシェルターから出て、体育館の方で生活している。
いくら広い地下施設でも80人ほどの人数はちょっと手狭なのだ。朝夜関係なく真っ暗なので気も滅入る。
やはり太陽光は人にとっては大事なのだ。
「場所変えを拒否して、なぜ体育館なんだろう? 龍馬君分かる?」
「桜は分からないか?」
「ん、分かる!」
「流石じゃのぅ。雅は若いのにたいしたもんじゃ。美弥はどうじゃ?」
「これまでの話を繋ぐと何となくだけど考察はできます」
「う~ん。やっぱり分からないわ。美弥ちゃん先生教えてください」
「レベル30になってジョブを増やし、凄く自信が付いちゃったのでしょうね。体育館でやるのはこれまで龍馬君にしていたことと全く同じこと。現リーダー格の龍馬君を皆に見せ付けて甚振るつもりかな。次の支配者は俺だって皆に誇示したいのでしょう。人気のない所でそれを行っても意味がないので、これまで同様、人に見せ付けるようにして最大の効果を得ようとしているのではないかな?」
「ん、絶対そう」
「妾もそれで合っていると思うが。どうじゃ?」
『……正解です。皆の前でマスターを殺して、恐怖支配をもくろんでいます』
「どうもそうみたいだね。甚振るんじゃなくて、俺を殺す気みたいだ。う~ん、どうしようか?」
「でもそれって、100人以上いる人間を相手に勝てると思っているの?」
「どうもそうみたいだね。Lv30になって、田中が【マジックシールド】を手に入れたみたいなんだ。それでますます調子に乗っちゃったのかな」
「そっか、こっちにもシールドがあるとは思ってないんだね?」
「オークのプリーストはレベルが30なくても所持してたけど、俺たちは基本レベルが30以上ないと獲得できない仕様だしね。【フェイク】で皆、表示は20前後しかないし、多分向こうは余裕で勝てると思ってるよ」
「あの~、レベルを隠さないで普通にしてたら襲ってこないんじゃないですか?」
「未来は優しいのぅ。じゃが向こうは女を産床のように考えておるのじゃ。もしレベル差を見て今は諦めたとしても、日本人の遺伝子がどうとか言ってる奴等じゃ。必ず力をつけて襲ってくるぞ。その時、龍馬たちが旅に出ていて力のない料理部の娘たちが襲われたらどうするのじゃ? 今のうちに禍根を絶つほうが良いと思うぞ」
『……マスター、フィリア様はまた皆の為を考えて無理をなさっています』
『だろうね。女神が自分から殺せとか有り得ないもんね。人族として考え最善手を選択してくれているのだろうけど、精神的には無理しているだろうね』
「うん、そうだね。ごめんなさい、私の考えが甘いようでした」
「未来の優しさは良いことじゃ。だが、後々のことも考慮せねばの。人は更生できる生き物じゃが、そうでない者もいるでの。神眼があれば詳細に見極められるのじゃが……」
フィリアは佐竹たちを更生できるのなら救いたいと考えているのかな? 甘いと思うのだが、これが女神の本心なんだろうな。
「俺たちの食事はどうする? 格技場のやつらも招待してるし、せっかくの夕食会だったのに、ホント佐竹たちにはイラつかされるよ」
「後が良いじゃろうな。全て終わらせてからにするがよい。嫌な事が起こるじゃろうが、宴を開いて美味しい物を食べ、楽しく致せば少しは気を紛らわせられるじゃろうて」
とうとう佐竹たちが仕掛けてきた……どうしたものか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます