夢に視る

小田切 環

第1話 追想 20090926



教室からベランダに出て

賑やかにフリスビーを楽しむ生徒達を眺めながら


女子学生である「私」は

喜怒哀楽をなだめ

感情を平らにしようと意識を向けていた




どんなに騒がしい場所に居ても一人でいるときのように


外からの作用で喜んだり

怒ったり

哀しんだり

過剰に笑い楽しむこともない




他人(ひと)といるときも一人でいるかのように


静かに静かに

湖の水面のように


自分である






海を眺めながら

そうやっていた





そのあと 古本屋で店番をしている「私」は

そうゆう境地を持っていて

そこへ来た彼もそうゆうスタンスだった




初島ってよく知らないんだけど、

実際にあるみたい




そこへ旅する私と彼は

高橋たか子さんの作品に出てくる

カトリックの

修行者みたいだった




マントのような防寒着を羽織って

砂漠に入るように

島へ発つ








2人でいても1人でいるときのように



気持ちは平ら


ぽつんと話すだけでも

寄り添ってるだけで

安心だった







2人は何を求めて

旅に出たんだろうか







海岸沿いの洞穴のようなところで火にあたりながら

島の人が私達を導いている



「持ってきたか?」と聞かれ

「持ってきた」と

彼が持参してきた「神聖な食べ物」を取り出した





私は子供のように膝を立てて座り


まったく安心しきって

男のすることを見ていた




平らになったからといって

微笑まないというわけではない





2人でいても1人でいるときのように



自分のことをそこに見ているかのように







私は彼で


彼は私だったのか



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