クロス・クリミナル 入学編（改訂版）

INTRO

崩壊後、西暦２１５０年の世界について

　西暦２０７７年、地球に巨大な隕石『天罰（ネメシス）』が落下。『崩壊』と呼ばれるこの事件の衝撃で地球の生命のほとんどが死滅するはずだった。

　当然、人類も。

　しかし、いくつかの偶然と、七人の異能使いの力によって世界の七割はその被害を免（まぬが）れた。

　また、崩壊後、人類は現代でいう魔導（まどう）、あるいは魔技（まぎ）の力を手にいれる。

　それは精神を介して人間とつながる『世界の記述』を書き換えて現実を塗り替える「魔術」をはじめとした摩訶不思議な技術だった。

　魔導は崩壊後の人類の進化と復興を後押しした。

　そして『崩壊』から約７０年がすぎた今、２１５０年、世界は、いや世界人類は大きな進歩を遂げていた。

　世界人口は１６０億人超。

火星のテラフォーミングに成功し、多くの太陽系の星々を開拓した。今や、地球の外にも人類の約三分の二が生活をしている。

　また、この世界は特異点領域を経て二つの世界と繋がった。

　そして、地球内部には新たなフロンティアが生まれ、世界は大きく三つの勢力に分かれて競い争っている。

　これはそんな世界の地球にしぶとく残る極東の島国に属する太平洋の新生島で、二十二世紀の前半最後の年に出会った者たちの物語である。