第5話 心絵
なおとが停学になってしまった。
あの話をした日にすぐにでも俺たちが行動に移しておけばこうはならなかったのに。
クラスにも馴染めず、部活の連中にハブられていたなおと。
あの日、部員と口論になりその勢いで相手を殴ってしまったのだ。
なおとは昔から優しくてそして臆病だった。
そんな奴が暴力を振るうまで追い詰められていたなんて…
その事件の翌日には学校中に広まっていた。なおとの名前を聞いてもわからない奴らばかりだがその殴られた相手の方はなかなかの人気者であった。
確かに殴ったなおとも悪いが本当に悪いのはその相手だろう。
だが真実は強者によって曲げられる。
ほとんどなおとが悪いということで事件は広まり、なおとは停学だ。
俺としゅうやはどうすればいいのかわからなかった。
「なぁはるき。俺はさ言葉の暴力と暴力だったら言葉の暴力の方が罪は重いと思うだよ。」
「なんで?殴られんのは痛いしダメじゃね?」
「イヤだってさ、暴力ってのは目に見えるし、この今の時代死ぬほど殴るのなんて稀な例だろう?でも言葉の暴力は目にみえない。じわじわと相手を痛めつけ、相手に一生消えない傷を植え付けることもあるだろ?言葉の暴力で毎年どれだけの人が死んでいるんだろう。」
こいつは普段はおちゃらけてる奴だが、なかなかいいこと言う奴だ。
「まぁそうだとしても今の社会では通用しないよ。今はなおとが学校に来やすいようにしとこうぜ」
「でもクラスも違うしさ、今回の一件であいつ停学がとけても学校に来ないんじゃないかな?」
俺たちでどうにかなる問題じゃないのか?
もうすぐ夏休みに入ってしまう。
その前になんとかしたいものだ。
とりあえず学校帰りになおとの家に寄ろうという形になった。
ピーンポーン
なおとの家のチャイムを押したが反応がない。
なおとの家は共働き、兄は上京している。
停学中だからなおとは家にいるはずだ。
「どうするはるき?なおと寝てんのかな?」
「たぶん居留守使ってるんだと思うな。部屋に行ってみようぜ」
不法侵入だ。れっきとした犯罪である。
が友達だからおおめに見てくれよと願いなおとの家の合鍵の隠し場所から鍵を入手し家に侵入した。
なかなかスリル満点である。
誰かとすれ違う心配はないためらくらくなおとの部屋の前まで行けた。
すると女性の声がした。
落ち着いた女性の声。
俺たちは二人で顔も見合わせ驚いてた。
なんであいつの部屋から女の声がするんだよ!
人が心配してるのにあのやろう!
俺たちは勢いよく部屋のドアを開けた。
そして俺たちはかたまった。
そしてなおともかたまっていた。
オ○ニーしていのだであるこの男。
下半身のズボンを膝まで下ろしなおとの息子は天に向かって一直線。
右手はしっかりと息子をつかんでいる。
大きなテレビにはインタビューを受けている素人物のAV女優が映っている。
口をパクパクさせ何が起きたのかわからないような顔をしているなおと。
俺としゅうやは腹がよじれるくらい笑い転げてしまった。
「なんでお前らいるんだよ!!!!!」
いや心配して見に来たんだぜ俺たちと言う弁解も虚しくキレ気味のなおと。
俺たちだって見たくなかったよ馬鹿野郎。
結局この日はなおとが怒って俺たち二人は逃げるように家を出た。
そして、一週間後なおとは学校にきた。
よくわからないがオ○ニーを見られた男にもう怖いものはないのかもしれない。
何食わぬ顔で学校に登校し部活に退部届けをだした。
そしてクラスであの事件をネタにされたようだがそれを自虐ネタにし笑いを取りどうやら最近は友達ができたようだ。
俺としゅうやはひとまず落ち着けた。
今回の一件は忘れないだろう。
なんたって親友のオ○ニーをみちまったのだから。
たぶん一生ネタにするだろうな。
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