第28話 ハンドレッドって言ってもアニメじゃないよ
カオスが避けないように、充分に挑発してから攻撃に移るパティ。
「アローズ‼︎」
残りの6本のアローズをカオスに向けて放つパティ。
「ひとつ‼︎」
1本目の矢を、再び素手で掴んで止めるカオス。
「ふたつ‼︎」
1本目の矢を2本目の矢が貫く。
「みっつ‼︎」
2本目の矢を3本目の矢が貫くが、今度は堪えているカオス。
「何だぁ⁉︎ 同じパターンかよ⁉︎ つまんねぇなー!」
「よっつ‼︎」
更に4本目の矢が貫く。
(ん? さっきよりも威力が上がっている?)
「いつつ‼︎」
更に5本目と続く。
(やはり! 単純に本数が増えたからじゃない……明らかにさっきより強くなってやがる!)
「むっつ‼︎」
そして、最後の6本目の矢が貫いた時、思わず魔法を放って防御するカオス。
「くっ、ダークネスパーム‼︎」
カオスの手の平から発せられた闇が、掴んだ光の矢を消滅させる。
「なるほどな! 術者自身が加速する事によって矢の威力が上がって行く訳か⁉︎ 面白え! そして俺に魔法を使わせるとはな……中々やるじゃねぇか‼︎」
(充分に加速して、更にむっつまで重ねたアローズをいとも簡単に消された⁉︎ ちょおっとシャレにならないわね〜)
しかし、素直に認めるのは悔しいので、挑発して誤魔化そうとするパティ。
「ふんっ! 何よ、偉そうに! 逃げないとか言っときながら、ちゃっかり魔法で回避してるじゃないの⁉︎ あ〜あ、一国の王ともあろう者が口だけだった訳⁉︎ なっさけないわね〜‼︎」
「う、うるせーな‼︎ 逃げないとは言ったが、防御しないとは言ってねぇだろ⁉︎」
「はあ〜! この上更に言い訳だなんて、男としてもどうなのかしらね〜⁉︎」
「こ、このガキー! 言わせておけばー!」
ひたいをピクピクとけいれんさせて怒りを抑えているカオス。
「全く、ひねくれたガキだ! 親の顔が見てみたいぜ!」
「おあいにく様! あたしは孤児だから、親の顔なんて知らないわよ!」
「ああそうかい! なら魔法は誰に教わった⁉︎」
「こ、これは……猫師匠よ!」
「何だそりゃ⁉︎ ん、猫? もしかしてシャルの事か?」
「シャル? そんな名前は聞いた事無いわよ!」
「ああ、あいつコロコロ名前変えるからな〜! なあお前! 今、その猫師匠ってのはどこに住んでんだ?」
「敵のあんたにそんな事教える訳ないでしょ⁉︎」
「知ったからって別に何もしやしねぇよ! 当ててやろうか? ノインツ大陸の王都、グレールの城下町の外れにあるボロ小屋だろ?」
微かに変化したパティの表情を見て確信するカオス。
(やはりシャルの弟子か……なら、今殺してしまうのは勿体無いな……)
「よお、お前! 面白えから生かしといてやるよ! 次に会う時まで、せいぜい強くなりな‼︎」
パティに背を向けて去ろうとするカオス。
「ち、ちょっと‼︎ どこ行くつもりよ‼︎」
「ああん? 人の話聞いてねぇのか⁉︎ 今日の所は見逃してやるっつってんだ! さっさとシャルのとこに帰って修行して強くなりやがれ‼︎」
「あんたこそあたしの話聞いて無かったの? ユーキの所には行かせないって言ってるのよっ‼︎ ホーミングアローズ‼︎ ハンドレッド‼︎」
かつてユーキが使った技を放つパティだが、ユーキの時とは違い、百本全て本物のアローズを出現させたパティだった。
「おい! 辞めとけって! 今殺しちまったら勿体ねぇだろ⁉︎」
「ストレングスアクセル‼︎」
肉体を強化しての加速魔法で、更なる速度を出すパティ。
「ほお、残像すら見える程のスピードかよ……ますます勿体無ぇ……」
「受けてみなさい! このヘタレー‼︎」
「ちゃっかり挑発付きかよ⁉︎ なら来いやー‼︎ せいぜい死なねぇように頑張んな‼︎」
またしてもパティの攻撃を正面から受けようとするカオス。
「アローズ‼︎」
百本のアローズを一斉に放つパティだったが、百を遥かに超える数のアローズが、パティの横をかすめつつカオスに襲いかかる。
「え⁉︎」
「なんだとー‼︎ くっ! ブラックホール‼︎」
巨大な闇の塊を出してアローズを吸い込んで行くカオスだったが、余りの数の多さに吸い込みきれず、かなりの数の矢をくらうカオス。
数十秒後、ようやく全ての矢を吸い込んだカオスがパティに文句を放つ。
「おいテメェ‼︎ ハンドレッドって意味分かってんのか⁉︎ 百だ百‼︎」
「失礼ね‼︎ それぐらい分かってるわよ‼︎」
「今のどこが百だ⁉︎ どう見たって千は行って……ああ、なるほどね……もう一匹居た訳だ⁉︎」
「え⁉︎」
振り返ったパティの視線の先に、魔装して巨大な弓を持ったメルクが現れる。
「メル君⁉︎」
「どうやらご無事のようですね⁉︎ パティさん!」
「ちょっとお〜‼︎ 今、あたしのすぐ横を矢がすり抜けて行ったじゃないの‼︎ あたしに当たったらどうすんのよ〜!」
「ええ〜⁉︎ せっかく助けに来たのに、僕怒られてるんですか〜?」
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