アイデンティティ

 とどめの一撃を食らいもう動くこともできない魔王は、しかしなぜか微笑んだ。


「ふふふ、勇者よ。よく聞くがいい……。私を倒したところで第二、第三の……」


 霞のように消えていいながら、魔王は言った。


「……第二、第三の私が現れたりはしない! 仮に新たな魔王が現れたとしても、それは私じゃないんだ! 魔王というカテゴリーが同じなだけでまったく別の存在なんだ! 私のかわりなんていない! 私はオンリーワンなんだ! ぜったいぜったい、そうなんだから!」

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