悪魔のパン屋

 一人の男が禍々しいオーラを放つ洋館の中に入っていった。中で出迎えるのは悪魔である。


「フフフ。人間よ、悪魔のパン屋へよく来たな。このような辺境まで物好きなものだ。まったく、人の欲望とは恐ろしいものよ……。さて、では食べた者に奇跡の効果をもたらす品の数々、とくと味わうがいい! 相応の代償は頂くがな!」


 客は答えた。


「あの、普通の食パンてあります? 切らしちゃって。あ、近所に越してきた者です」


「……どうも」

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