勇創

 かつて世界を救った勇者と旅をしたことがあるという魔法使いの老人は言った。


「貴殿が真の勇者の後継者であるならば、魔法使いにしか見えぬ傷が左手の中指の第二関節にあるはず。あらためさせてもらおう」


 勇者は指を見せた。


「どうです?」


 老人は険しい顔で言った。


「はて。第二関節って上から二番目じゃったかの? 下から二番目じゃったかの?」

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