百合色の新世界
星成和貴
間接キス(再録)
学校からの帰り、ファーストフードに寄っていつも通り、話をしていた。
わたしはいつも通りのものを頼んで、友達は今日発売の期間限定のにした。
わたしは彼女が飲んでるのをじっと見ていた。別に、欲しい、とかそう思った訳じゃないけど、両手で包み込むように持っているのが可愛いなぁ、って思ってつい。
「あ、これ美味しいよ。飲む?」
わたしがそうしてじっと見ているのをドリンクが気になると勘違いしたのか、彼女はカップを差し出してきた。そして、わたしはそのストローに目が吸い寄せられた。
これ、間接キスになるよね?でも、そんなの意識する方がおかしいのかな?
なんて考えて、わたしは心臓が高鳴るのを感じた。
彼女との間接的にとは言え、初めてのキス。その誘惑にわたしは勝てなかった。
「うん、じゃぁ、もらうね」
そう言って、彼女の持つカップを受け取り、さっきまで彼女が口をつけていたストローに口をつけた。
そのドリンクは甘い恋の味がした。もしかしたら、ドリンクじゃなくて、キスの味、なのかな?
彼女の顔を見ると、いつも通りの満面の笑み。その中でもわたしは唇に視線が吸い寄せられ……。
ダメ。これ以上は。我慢できなくなる……。
「あれ?あんまり好きじゃない?」
わたしが何も言わないのを見て、彼女は不安そうに聞いてきた。
違う。そうじゃない。わたしは……。
わたしは小さく首を横に振って、カップを彼女に返した。
いつも、わたしの感情は彼女に振り回される。
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