幽霊船の悪夢


 昼子あたしはロープで括られて

 甲板に転がされています



 昼子の唇も顔も

 それから髪や服


 胸もとが破れて

 あらわなおっぱいも


 捲れたスカートに

 裸足の指の股まで


 ネトネトした白い体液で

 汚れちゃってます



 この姿態は蜘蛛の巣に懸かり

 糸に絡めとられた蝶のようです



 昼子は汚されました


 あそことお尻の穴から

 流す血で汚れています



 海賊達は昼子のお尻から

 腸をひきずりだして


 端っこを甲板に

 釘付けしました



 そして、松明の炎で

 昼子のお尻を炙ります


 髪の毛と皮膚の

 焼け焦げる臭い



 昼子は芋虫のように這って

 一生懸命逃れようとします


 そうすればするほど

 腸がひきだされます



「どのくらいの長さに

 延びるまで生きられるか」


 そういう賭けごとなのです



 昼子は蜘蛛が

 糸をだすように


 腸をお尻からだし

 足掻いて藻掻き


 血と体液で蛞蝓の

 這った跡つけます



 アツイ、、アツイ、、

 アツイ、、苦しい、、、


 苦しい、、、苦しい、、、

 苦しい、、苦し、、、、


 、、、、、、、、、、、







 あそこの帆桁から

 下がったロープで



 昼子の死骸が首を吊られ


 蜘蛛が下がったみたいに

 ぶらぶらして揺れてます



 落とされたらすぐに

 いっちゃうんですが


 吊り上げられたんで

 なかなか死ねません


 死ねなかったです



 痛くて苦しくて

 ばたばた藻掻いて


 よけい、、苦しくて



 輪っかに手をかけて

 首からはずそうと


 体持ち上げようと

 するんですけど


 そんな力ないです



 上のロープに縒りがかかって

 踊り子のように体が回ります


 空中で赤いスカートが

 花のように広がります


 海賊達が下で眺めながら

 指笛を吹き囃したてます


 気が遠のき

 水の中で


 足掻くように

 体が痙攣し、、




 いまは痙攣がやみ

 体が冷たいです


 見世物がおわったんで

 海賊達もはなれてます


 項垂れた死骸だけ

 波と風に揺られて

 さびしく踊ってます



 あんなかわいかったのに

 ひどい顔しちゃってるです



 歪んで土色で

 眼球がとびで


 血の混じった

 鼻水と涎が垂れて


 紫色した舌を

 べろんと垂らして


 下じゃ、おしっことウンチが

 ぽたぽた垂れちゃってて、、



 ロープの縒りが戻って

 また体がくるくる回って


 空中で赤いスカートが

 花のように広がります



 ギリ、、ギリ、、ギギ、、

 フワリ、クルクル、、

 クルリ、クルクル、、



 壊れたお人形のように踊り

 昼子の汚物とその臭気が


 あたりに振り撒かれ、、、、




 人間は汚いもので一杯の袋です


 涙、鼻水

 涎、汗


 おしっこ、ウンチ

 エッチなお汁、、



 人間は生きてるだけで

 そんなのが穴の口から


 滲みだし

 漏れだす



 死んじゃうと穴がゆるんで

 一切合切流れだしちゃう



 生きてても

 死んでも、、


 汚いんです





 死体は、、破れた袋です


 ここ覗くと、妊娠した昼子が

 お腹を裂かれて死んでます


 みにくくふくらんだお腹

 ぶよぶよ気味悪い胎児



 昼子は手足をもがれて

 ずっと嬲られてました


 もう、、首も、もげちゃってて

 人だったものにみえません


 血とか肉とか内臓とか

 どろっと気持ち悪くさらし


 色とりどりの小間物

 ぶちまけちゃってます



 昼子は破れた袋です

 汚穢の流れだす袋です


 腐って蛆が涌いて

 くずれて溶けてます



 昼子は、、

 この船でずっと


 くりかえし、

 くりかえし、、


 殺されて、

 殺されて、、


 殺されつづけてます



 叫び、喘ぎ、呻き声

 そして、死体、死体


 船は昼子の死体で

 いっぱいにあふれてます




 破れた袋、

 破れた袋、、


 汚い、、

 汚い、、、

 汚い、、、、





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