2018.1.22 滑らかに滞る道①

 長らくここを留守にしていた。公開などしていない。・・・いや、後悔をしていない。


 この期間で数多くの苦悩を抱えることができた。苦悩は男にとって栄養価であり、原動力である。

 これでもか、というような不運が男を襲っている。


 例えば、記憶に新しいか微妙だが、前前前月の1月22日。

 忘れもしない。

 大雪に見舞われ、多くの人が足元をすくわれた魔の一日。

 男はどうしても荷物を運搬するために、職場までの片道2時間弱かかる道のりを行かねばならなかった。・・・しかも、車である。

 雪のことなど知っていた。

 どうなるかなどわかっていた。

 それでも、背に腹はかえられぬ事情というものがある。


 そう、男は出張のため1月23日に飛行機に乗らなければならなかったのだ。


 空港までは自宅から2時間。

 職場からは2時間半。

 実家からは・・・1時間強。


 どれを選びたくなるかは必然。

 雪が降るとわかっているならば、当然一番最後の選択肢を選ぶだろう。


 どれだけ苦しい思いをしたとしても、この先に待つ数多くの苦難を考えれば、まず乗り越えなければならない試練を覚悟してでも、茨の道とわかっていても選ばなければならなかった。


 さて、結果は散々なものであった。

 職場から帰るタイミングではすでにひざ下まで埋もれるほどの積雪。

 車の屋根には神輿のように雪が積もっている。到底、出庫は考えたくない。

 しかし、行かなければならない。

 電車はすでに止まっている。

 車道は渋滞しつつも進んでいる。

 ならば、進むしかないのだ。


 そして、チェーンもない、スタッドレスなはずもない、そんな普通車を男は出発させた。


 その時のことを思い出すと、涙が滲んで止まらなくなるため、これ以上執筆は進まなかった。

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