第四夜【ファミリーレストラン】


 こんな夢を見た。


 友人が、たくさんの料理を前にしている。


 その取り合わせは不可思議だ。和洋中が混ぜこぜである。

 寿司もあったし春雨スープもあった、卵やソーセージを炒めたようなものもあった。


 一人か、と問われ、一人だ、と答える。


 友人は、エビフライが食べられないと言って困っていた。

 自分が友人の代わりにエビフライを食べると、尻尾がなんともひどく硬い。顎の弱い友人はきっとこの硬さから食べることを遠慮していたのだろう。

 どうにか噛み砕き喉の奥に送り込んだが、前歯にも奥歯にも欠片が挟まっているような心地がして気になった。


 場所はファミリーレストランのようである。

 また、周りはすべて鏡張りである。鏡に映った自分の姿で、その時の服装を初めて知る。


「美味しそうなものを食べているのが外からも見えるようになっているのだ」


 友人が言い、自分はそのようだねと頷く。

 頷いてから、それはやはり違うように思えて口を開いた。だが、途端に面倒になり、撤回することは止めた。

 

 そのうちに子供たちが寄って来て、


「すごいと思ったか!」


 と声を揃えて問われた。笑いながら頷くと、彼らは満足げに走り去る。


 小さなあの子らは何を「すごい」と言ったのか?


 ぽこりと浮かんだその疑問を考えているうちに、壁になっている鏡が、所謂、マジックミラーであることに気付いた。つまり、外からは透明なガラスで囲まれた、洒落た店に見えているのだろう。

 それならば外から見えるということも分かる。先の友人の言葉に一人納得し、それを友人に告げる。友人は曖昧に頷くだけだった。


「本当は忘年会も此処の予定だったのだが、駄目になってしまった」


 友人が言うと、その場は小さな個室に変わっていた。自分は天井を見上げて、暗い電灯に誰かが文句を言うだろうと考える。


 いつの間に注文に追加をしたのだったろうか、目の前に定食が運ばれてきた。ご飯と御味噌汁のほかに、沢庵と青物のお浸しがついてくる。


 友人はもう居ない。仕方なく、一人お浸しに箸を伸ばした。


 一口食べて、喉の乾く味だと思った。

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