レイン、巨塔

「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」…


 愚かで哀れな人々の体を心もろとも変貌させた巨大な肉塊を使い、レインたちが建てた超巨大な肉の塔『レイン・タワー』。その外装は、滑らかな肌色から更なる変化を遂げていた。たくさんのレイン・シュドーの笑顔によって埋め尽くされようとしていたのである。

 まるで泡が膨らむかのように、タワーの表面のあちこちにレインの顔が現れ続けた。最初は掌ほどの大きさしかなかった顔はあっという間に大きくなり、周りを覆いつくしながら自分の顔に笑みを返す無数のビキニ衣装の美女と同じ大きさになった。やがてタワーに生えた顔の下から、純白のビキニ衣装に包まれた、滑らかかつたくましい肉体を持つレイン・シュドーと全く同じ体も構築され始めた。大きくたわわな胸が覗き、程よく筋肉がついた腕が伸びていく様子を、レインは皆光悦の表情で眺めながら応援し続けた。



「「「「「うんしょ……よいしょっと……!!」」」」

「「「「レイン、頑張って♪」」」」

「「「「「あともう少しで生まれるわよ♪」」」」」


 その空間には、一切の差別も偏見もなかった。生まれも育ちも全く違うが、全員とも記憶や経験を共有しあう世界で最も美しい存在『レイン・シュドー』。その新たな仲間が、自分たちも経験したことのない新たな形で生を成そうとしている光景を、彼女たちは心から楽しみ、そして慈しんでいたのである。


 そして、無数の自分たちの期待を背負いながら――。



「「「「「……あぁん……っ!」」」」」

「「「「「「「わぁ……レイン!!」」」」」」」」



 ――ついにこの『レイン・タワー』から、新たなレイン・シュドーが完全にこの世界に生まれた。そして同時に、レインたちは人間たちに残された最後の大規模な町を住民諸共思い通りに変える、という作戦が完全な成功裏に終わったと言う事をようやく実感出来たのだった。


~~~~~~~~~~



「「「「うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」うふふふ♪」」あははは♪」」…


 一度でも感覚を掴めば、レイン・シュドーはあっという間にその力を自分のものにしてしまう技能が備わっていた。過去の『勇者』であった頃は勿論、人間に対して圧倒的な勝利を掴み続けて以降もなお彼女たちは日々の鍛錬を怠らず、より美しさとたくましさに磨きをかけていた。そしてそれは、この『レイン・タワー』――レインと同じ肌の色を持ち、同じ意識を持つ生きた巨塔もまた同様だった。


 第一陣が無事生まれた後、塔からはあっという間に新たなレインが創り出されるようになっていた。塔の外壁はまったく同じ声を響かせるレインの笑顔に覆いつくされ、それらは次々と体を得ながらどんどん外部へと放出されていった。勿論、どのレインもビキニ衣装を着込んだままレイン・タワーから生まれ続けていた。裸の自分も魅力的であるのは間違いないが、やはり『レイン・シュドー』という存在をより煌びやかによりたくましく、そしてより美しく魅せるのは、このどこまでも澄み切った純白のブラジャーとパンツで構成されたビキニ衣装しかない、と彼女たちは考えていたのかもしれない。



「「「「「ふふ、もうタワーはレインでびっしりね♪」」」」」

「「「「「「これから『無限』にレインが溢れ出るのね……♪」」」」」」

「「「「「「私の顔でいっぱいの壁……いいよね……♪」」」」」」

「「「「「「「「「また今度一緒に見に行こう、レイン♪」」」」」」」」」」



 いつかほかの町や村にもこの光景を応用させたい、と皆で話し合っていた時だった。突然、タワーの外壁を包んでいた無数の顔を含めたレインたちは一斉に笑顔を作るのをやめ、一つの疑問に突き当たった。確かに、もしこのままだれにも邪魔をされることがなければ、途轍もなく高く大きなこのタワーからは無尽蔵に新たなレインが生まれ、自分たちの良い癒しや憩いの場になることは間違いない。だが、その『邪魔』をする相手――今のレイン・シュドーが乗り越えるべき最後にして最大の壁である『魔王』がいつ、どのように自分たちの前に現れるのか、レインたちはここまで確実な予想を立てることが出来なかったのである。

 彼女たちの心の中に生まれた若干の不安に呼応するかのように、『レイン・タワー』から生え続けていたレインたちもその場で作業を一時中断し、ほかのレインたちと共にその問題を話し合い始めた。


「「「「……魔王、いつ現れるんだろう……」」」」

「「「「「うーん……相変わらず気配も……見せる訳ないか」」」」」

「「「「「「そんな隙なんて見せたら完全に罠よね……」」」」」」」


 ただ、月日が経つ中で少しづつレインも魔王の思惑を自信をもって予想することが出来るようになってきた。今まで何度も浮かれ続けていた自分を闇討ちしたり、作戦遂行中のレインを妨害することが無かったという事は、魔王が望んでいるのはかつてのゴンノーのような不意を突く形での勝利ではない、と言う事に違いない、と。そうなれば、魔王が自分たちに襲い掛かってくるであろうタイミングは恐らく――。



「「「「「『あいつ』をどうにかした後……?」」」」」

「「「「「「最後の人間たちを『助けた』時かな……?」」」」」」」

「「「「「「その後ってことも考えられるよね……」」」」」」」



 ――これから待つであろう幾つもの大きな節目かもしれない。


 ただ、そのどの段階で戻ってくるかという所までは、何千兆にも膨れ上がったレインの頭脳を結集しても正確な答えを導き出す事はできなかった。どの時期に現れてもおかしくなかったからである。結局は、引き続き自分の思い通りの作戦――人間たちをじっくりと追い詰めつつ、魔王との来るべき決戦や不意打ちに備えて鍛錬を続けると言う日常を繰り返す他ない、と言う普段通りの結論にレインたちは達してしまった。だが、それでも彼女たちは堂々巡りになってしまった思案に対して不満を抱くことはなかった。浮かれすぎた自分に対しての良い冷や水だ、と前向きに捉えたのである。それに――。



「「「……そうね、レイン♪」」」

「「「「こうやって、新しいレインの増え方を創り出せただけでも……ね♪」」」」

「「「「「そうそう、大きな収穫だもんね、レイン♪」」」」」



 ――反省点はあれど、今回得た成果は彼女たちにとって非常に大きいものだったからだ。


 そしてレインたちは考えを切り替え、先程の悩みをある程度発散しつつよりやる気を高めるため、自分を増やしながら互いに笑顔を見せあった。中断していた『レイン・タワー』からの創造も再開し、まるで泡のように新たなビキニ衣装の美女が数限りなく誕生していった。



 レインの笑い声は、空高く響き続けていた……。 

 

「あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」あはははは!!」…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る