赤い噺
成ぺー
序章
1.夕暮弥彦
自分という人間が嫌いだ。そう思う人は、僕以外にも沢山いるだろう。自分が嫌いになる理由は星の数ほどあれど根本的なところに意味なんてない。理由は無く自分を嫌いになれる。自分が嫌いで自信が持てず、否定することで自己嫌悪が湧いてくる。何が嫌いで何が好きではないのか。人に否定されたことを素直に鵜呑みにし、自分を表現できなく、都合の悪い意味付けを与え、嫌な出来事ばかりが思い出に残る。そういった、意味の無い理由で自分を嫌いにできる。
境界性人格障害
自分のことが嫌いで自己嫌悪に陥る人間のことを境界性人格障害と定義される
リストカットや薬の乱用。本当はダメなことだと理解しつつもみじめな自分に押し潰され自らを傷つける。感情のコントロールができず、将来が見えなく、他者から失望される。
自分に障害があると突き付けられたところで、理由も意味も無いのだが僕は典型的な境界性人格障害の持ち主なのだろう。
けれども自分を愛してやまない人間も少なからずいる。
自己愛パーソナリティー障害
自己愛が高すぎるあまり自分を特別な存在だと思い込み、特別視し、他者に尊大な態度をとる。周りの気持ちを全く考えないために対人関係でトラブルが生じるコミュニティ障害。境界性人格障害と対をなすような障害だがどうしようもなさは五分五分といったところのような感じがする。そう言われてはいるが、果たしてどうだろう。自分を好きなことは障害として認めてもいいのだろうか。
僕は思う。少しでも自分を好きになれたら、僕は変わっていただろうか。
僕は語らなければいけない。境界性人格障害の死にたがり屋と自己愛パーソナリティ障害の伝説が出会い、多くの死を体験した出来事を。
僕は知らなければならない。自己愛パーソナリティ障害の伝説である彼女のことを。
僕は振り返らなくてはならない境界性人格障害の死にたがり屋である自身のことを。
僕、夕暮弥彦の失敗を。
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