第4話ドウカツレテイカナイデ

 この人はずっと青年のままでいる


たった一人の友達で 先生で 兄のようだった、利発ですばしっこく明るくて好きだったのに大好きだっ


たのに あんなに早く死んでしまった


 昔急に寝込んでしまったこの人の周りに黒い人影が見えたのは自分だけだった


話ができたのも・・・


だからこの黒い人たちがなんでやってきたのかわかった 


だから頼んだ 泣いて頼んだ


毎日毎日頼んだ 泣きすぎて声が出なくなるまで 


 どうかどうか連れて行かないで、私は一人になってしまうから世界で一人になってしまうから・・・・


影のような人達は困った顔をして言った


自分が人間ではないのでずっと長い時間を生きるし死んでも同じところには行けないと


そもそも私達は交わってはいけない世界の住人だと諭した


それでも涙は止まらず頼み続けた 黒い人たちは一年に一度だけ来れるこの家をくれて


この人はこっそり天から降りて来て一緒に過ごす


 期間はほんの少し、この人の都合に合わせて


でもせいぜい1週間だ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る