空白の暦
朝霧美海・無茶苦茶な女
広場なんてものは、どこにでもある。
子供の遊び場になりつつあるのが広場だが、整地されていない場合に限られる。このご時世において整地されている方が珍しいし、整えられている場所での〝遊び〟なんて、スリルがない冒険と同じようなものだ。
かといって、がれきの山になっているわけではない。あちこちに散乱しているのは、確かにがれきなのだろうけれど、見えている地面の方が面積は大きい。そのうちの一つに腰を下ろしている朝霧
どこの広場も同様に、街の外れにある。子供が好むのは、それでいて親の目線が届かないような場所だ。
つまり美海にとって、未だ十二歳の彼女にとっても好む場所である、ということは確かで、かといって遊ぶためにここにいるわけではない。何しろここらの住人ですらないのだ。
重そうなブーツにカーゴパンツ。ボディラインが出るようなぴっちりしたシャツの上から、薄手のジャケットを羽織っている。時折吹く風が、切りそろえられていない肩ほどの髪を揺らしていく。視界の端で子供が殴り合いの喧嘩を始めても、その場を動こうとはしなかった。
縄張り争いでもしているのだろうか。
どこでも見るような光景であるし、部外者を自覚している美海がわざわざ止めるような理由もない。元気そうだなあと、そう思うだけだ。
――と。
その喧嘩を見ながら、買い物でもしてきたのだろう少年が、手荷物を持って横切ると、すぐに引き留めるような怒鳴り声が上がる。どこか無愛想にも思えるようなその少年はしかし、ありえないことだろうけれど、聞こえなかったようにして歩くが、走ってきた一人の少年が肩を掴み、止めた。
瞬間、荷物を手放した少年が肘を入れ、そのまま背負い投げで地面に叩きつけると、軽く顎を蹴って――荷物がとん、と地面に落ちた。すぐに周囲にいた三人が取り囲み、乱闘が始まるが、ついには一撃も受けず、全員を立てなくした少年は、吐息を一つ落としてズボンを軽く叩くと、改めて荷物を手に取った。
素早く、無駄はあったけれど、なかなか効果的な戦闘だなと思い、美海はぱちぱちと拍手を送る。それからジャケットのポケットに手を入れ、がま口の財布を取り出して、ぱちりと金属を弾くようにして口を開く。
そこで。
「――見世物じゃねえ」
睨むような視線と共に、そんな声がかかった。
「あれ、そうだったか……そりゃごめんよう、観戦料はいらないな」
どこまでが本気なのか、一度はがま口の中に視線を落とした美海だけれど、残念そうにポケットへと戻す。
「相手にしなきゃいいのに」
「群れない俺が気に入らないんだろ」
「そういう意味じゃなくて。わざわざ体術だけで対応しなくても、お前ならどうとでもなったろう? ここらで生活してるのなら、一人くらい〝見せしめ〟にすりゃ、次がなくなってハッピーじゃないか」
「……物騒なガキだ」
少年はそのまま背を向けて歩いて行ってしまう。もうちょっと暇潰しになればなあ、とは思うものの、美海はその背中を追うこともせず、空を見上げる。雨は通そうだ。
しばらくすると、倒れていた少年たちがどうにか起き上がる。そのくらいには加減をしていたらしい。
まったく、甘いことだ。
小さくなった飴玉を奥歯でがちり、とかみ砕く。香草を使った飴なので甘くなかったのが良かった。露店の姉ちゃんには感謝である。
しかし、随分と遅いんだなと、腰かけにしていた岩から降りた美海は、大きく伸びを一つ。右腕の時計に目を走らせれば、昼にはまだ一時間もあった。
というかその女が来ないのだ。
「あー」
何かを言おうとして、止める。Fワードが自然と飛び出しそうだったからだ。
「――おい」
「なに? もう回復したんなら、お家へ向かって回れ右だ。ちょっとばかり機嫌が悪いあたしの相手を、ダンスパーティさながらに遊ぼうってお誘いなら、顔を洗って出直しな小僧」
「……さっきの、知り合いか?」
「いいや」
「そうか、邪魔して悪かった」
「まったくだ。ちょっと暴言を吐くお嬢さんの相手くらい、覚えておいて損はないよ」
どういうわけか、ぺこりと小さく頭を下げて去った。なんだ礼儀は知ってるんじゃないかとも思うが、たぶん本人は自分の嫌というほどキツイ眼光に気付いていない。
一人になってしまった。
いや最初から一人でいたのだから、問題はないけれど、映像の続きがなくなってしまったよう手持無沙汰なのは事実で。
そうして、ようやく。
目的の人物がこちらへやってきた。当然のように美海よりも長身で、作業服にも似た上下の衣服。そして妙に目つきが悪い女だ。自分のことは棚上げである。それどころか、二人並べば実によく似ている雰囲気なのに、美海はこの女のようにはなりたくないと、心底から思っているあたりが、なんというか、残念なのだが。
「朝霧芽衣、探偵だ」
「何言ってんだ、あんた……」
「む? 知らんのか貴様、挨拶の常套句だぞ?」
「聞いたこともないよ。それに、探偵じゃないでしょ、あんた」
「そのツッコミの速度で、人柄もわかるというものだ。……貴様は随分と遅いな?」
「知らないよ。んで、情報は集まったの?」
「ああ、ここにある食堂では川魚がなかなかイケる。乾いたこの土地によくあるものだと言ったら、どうやら〝作って〟いるらしい。天然ものには負けるがな」
「待てあんた……あたしを放っておいて飯食ってたのか?」
「なんだ? 待ち合わせの時間には間に合っているだろう、何をそんなに疑問に思うのか、私にはさっぱりわからん」
こっちは飴玉で済ませていたというのに、なんたる言い草。
「まあそう睨むな、ちゃんと昼食も残さず食べるとも」
「んなことは聞いちゃいない……」
「ところで美海、私が食べた川魚が実はご禁制のものらしくてな。妙に値段が張ると思っていたら、どういうわけか追われることになっている」
無言で蹴り飛ばした――が、避けられた!
「急に何をする! ははあん、さては貴様、便所に行くのを我慢しているな?」
「違う! くそう、あんたはいつもそうやってトラブルを引き起こして――どうせあたしに投げるんでしょ⁉」
「ははは、よくわかっているではないか。だが安心しろ、今回は逃げの一手だ。というか、そう遠くない位置に目的の場所があるのでな。――そんなことは情報を集めずともわかっていたことだが」
「おい。だったら何で、情報を集めるとか何とか……」
「……? 川魚を食べて追われるため、か?」
「疑問形で言うな」
「妙に貴様は機嫌が悪いな、どうした。言っておくが、お前の稼ぎは一切使わず、ちゃんと保管してあるぞ? さすがの私だとて、お前のような小娘の金を使ってやろうなどとは思わん。さて行くぞ」
「はいはい……」
もう五年の付き合いだ、文句を言っても始まらないのはわかっている。といっても、こうして文句が言えるようになったのは、それこそ去年くらいから、なのだが。
先導に従うようにして広場を出る。背も伸びて、今は頭一つくらいしか違わない。かつては見上げるような恰好だった。
五年前、当時七歳。
美海は己の術式を持て余していた。
迂遠な表現を使わずに直截したのならば、半分暴走したような状態が〝普通〟だったのだ。自身の周囲には波紋が浮かび、それはただ空気を揺らすだけではなく、分解と組み立てを繰り返す。時代崩壊直後くらいに生まれた子だからと、なんの証左にもならぬ言葉で異端として扱われ、隔離されていた。
そして、隔離されていることを、当時の美海もまた、感謝していたのだ。
そうでなくては危ういと、自覚していたのである。
いつまで生きられるかすらわからない、そんな美海を拾ったのが、この朝霧芽衣という女だった。
最初ははっきり言って、元の場所に戻りたかった。だが、そんなことはできないと奥歯を噛みしめて耐える毎日だったように思う。
六時間睡眠、六時間座学、六時間訓練、六時間実戦の繰り返し。一足飛びなど一切せず、徹底して基礎を叩きこまれ、思考能力を発達させ、躰を鍛え、戦闘を知る。やがて戦場を知り、戦術を模索し、生き残ることを見出す。
どうしてと、問うたこともあった。
いつだって返答は同じだ。美海を拾った時に言った台詞を返される。
――私の全てをお前にやろう。
芽衣は決して、自分の分身を作りたいわけではなかった。今にして思えば、学習方法だとてきちんと美海に合わせていたし、訓練の〝想定〟だとて、身体的に成長する未来の美海を考えてのことだった。
ただ、こういう教え方しか知らんのだと、笑っていたのも知っている。
まあなんというか、無茶苦茶な女だが、筋は通すのだ。教えてくれたことの〝成果〟が見えるのが、それこそ年単位の時間を要するくらい迂遠な、また上手い教育方法を使うため、美海にしてみれば成長しない自分に落ち込むのだが、それすらも想定内なのだから癪に障る。
トラブルの処理の仕方なんかも、そうだ。
本気で、こいつ天然でトラブル起こして面倒だから放り投げてるだけじゃないかと、そう強く想うこともしばしあるが、少なくとも処理方法を実践で覚えさせられ、かつ、処理できないと大変なことになるんだぞと、そこまで実地で覚えたというか何というか、このクソ女どうかしてる死ねばいいのに。
「……何か言ったか?」
「言ってない」
だがまあ――それでも。
ただの一度ですら。
――お前のためだ。
そんな言葉を、放ったことがないのだから、そこは尊敬していた。
全部が全部そうじゃなくても、厳しくしたのは美海のためなのに、それすらも肯定しない。しかし、否定もしないのだ、この朝霧芽衣という女は。そうじゃないのかと問えば、腕を組み、ふむと一つ頷いて、そうかと呟くくらいなものだ。どうせ頭の中では、どうして気付かれたのか、それを隠すためにはどうすべきだったのかと、反省と同時に次を考えているに違いない。
そういう、女なのだ。
「知り合いだって?」
「ああ、そうとも。年齢は同じくらいだが、昔に少しだけ訓練を見てやったことがある。友人――と言えば、やや違ってはいるがな」
「そりゃ安心だ」
「……? 何が安心なんだ?」
「あんたの〝友人〟ってやつは怖いんだよ!」
「私が可愛く見えるほどにな?」
「いやそれはない」
「貴様はそういう返答が可愛くないな!」
「うるさい! だいたい、なんなんだあんたの友人ってやつは!」
「ふむ? ……ただの友人だが」
「嘘つけ! こいつは性格が悪いから殺していいぞ――ってセツさん相手に何言ってんだ⁉ 殺す気でやったら乗り気でこっちが殺されそうになったんだが!」
「いやまさか、セツが乗り気になるほど善戦するとは思わなくてな」
「元部下で親しいって言ってたのは
「ふむ。いや三百も撃たれて、せいぜい五発前後だったことは覚えている。よく対処できたものだなと、私は褒めたのではないか?」
「大爆笑しながら、〝
「覚えてないな。だいたい兎仔は私を相手にしたくないと逃げるぞ?」
「あんたはそうだろうよ……」
「よし! 文句があるなら続けてみろ!」
「あんたには文句しかないよ! しかもなんだ⁉ 友人の中でも特に親しい相手だって連れてかれて、安心しろ五神じゃないし問題はない――なにが問題ないんだ⁉ 相手が鷺城さんだぞ⁉ あたしに合わせてくれなきゃ、本当の意味であたしは死んでたっての! なんだあの魔術師、常軌を逸してる! 術式封じとかいうレベルじゃない!」
「お前は馬鹿だからな、最初から〝
「ほぼ内世界干渉系なのに封じるって、なんなんだよもう……」
「あの時は言わなかったが、あれは私に対して見せつけたんだ。昔からの付き合いだからな。どうだ見てみろ、こうやって封じられるぞと。――まあそれを私は解体してみせたが」
「あんたが途中介入してきたのは、そういうことだったのか……」
「そうとも。決して貴様を助けるためではない」
「聞かなけりゃちょっとはありがたいと思ってたんだけどな!」
「改めてそう聞くと、あれだな」
「なんだ……?」
「貴様、よく生きているな」
「あんたがそれを言うな!」
「ははは、冗談だとも。つまり、生き残れるよう育てることができたと、そういうことだろうからな。――どうした、褒め言葉がないぞ」
盛大にため息が一つ。もう何を言っても無駄だ。わかっている。けれど、わかっていても言いたくなるのだ。
「この森の中だ」
「へえ」
森なのだろうが、植林の名残か杉ばかりが植わっており、足元には大した雑草も生えていない。歩いて来た距離を考えながら、ちらりと背後を振り返った美海は、森の前で足を止めた。
「街から離れて、隠居暮らし? 顔役か何かか?」
「何故そう考える」
「発展期を過ぎたとはいえ、木材は常に必要とされるものだ。部外者が勝手にやってきて利用するわけにはいかない。交渉を前提にしたところで、難易度が高いのは目に見えてる。しかも街からそう離れていない優良物件だ。街と取引した可能性は疑うまでもないだろ」
「うむ、どうやらそのようだな。何をしたかはともかくも、街に〝貸し〟を作ったというのが落としどころだろう」
「街の〝窮地〟でも救ったってか? 自作自演じゃなけりゃ安心だ」
「……こう言っては何だが貴様、疑り深いな」
「こうなったのはあんたが原因だろう⁉」
「何を怒っている? 褒めたつもりだが」
「褒め言葉じゃないだろう……」
何度も騙されたのが原因だ。しかも手口が巧妙なのだ、この女は。
だが――そうでなくては、疑り深くなければ、戦場では生き残れない。そのための訓練だったと思えば、腹も立たな――……いや、腹は立つ。
「一応、結界も張ってあるな。妖魔避け……いや、どちらかって言えば、呼び鈴と同じ扱いか。それほど上手いとも思わないが……挨拶をする相手か?」
「いや」
だったらいつも通り、隠れて行けば良いのかと、美海は跳躍して木の枝を足場にする。ぐるりと見渡した視界の中、罠になるようなものはないが、結界からは隠れるようにして移動しなくてはならない。
隙間を縫うように――あるいは、誤魔化すように、だ。
「あんたが訓練を見てやったのか?」
「当時は状況が違ったからな。今は貴様だけで手一杯だが。といっても、本当に軽い基礎を教えただけだ。あれからどうしていたのかも、私は知らん」
「へえ。だったら、あんたがどうしていたのかも、向こうは知らないわけだ」
「当然だな」
だったら――どうして。
こんなふうに、顔を見せることにしたのだろうか。
その理由については考察はしつつも、当人の口からは一切聞いていない。そもそも定住せずに、あちこち渡り歩く生活を常としているので、それ自体は問題ないのだが、考えずにはいられない問題だ。
無茶苦茶な女で、恨み言を口にすれば一日中そればかり話せるくらいの相手だが、逆に言えばそれだけ密な時間を過ごした相手でもあるし――今、美海が生きていられるのは芽衣のお陰であることは、間違いない。
そして、目指すべき目標として、あるいは一つの生き方として、朝霧美海は、芽衣を尊敬しているのも事実なのだ。
得体のしれない女であることに間違いはない。育てられ、技術と知識を身に着けて経験を積めば積むほど、朝霧芽衣という女の底知れなさを実感させられる。それは〝継承〟を済ませた現在だとて、同じだ。
根幹ともなる得物は今、美海の中にあるというのに、それでも敵わない。とんだ化け物である。
「――見えた。二百ヤード」
「ログハウスか……ああ警戒は必要ない」
「知ってる」
それでもやるのが、警戒というやつだ。
ログハウスの近くで飛び降り、正面入り口から堂堂とノックもせずに芽衣が先に入る。こういうところが、なんというか共感したくない部分だ。こうはなりたくない。
「……ん?」
空気の揺れ動きに気付いたおかっぱ頭の女性が振り返る。しかし、振り返ったところで、その両目は閉じられていた。
「あれ?」
「――ふむ」
「……げ」
一つ、芽衣が頷いただけで、目も開けずに嫌そうな顔をした相手は、一歩退く。
「言いたいことはいくつかあるが、とりあえず来たぞ浅間」
「朝霧さんかあ……そりゃ呼び鈴も鳴らないわけだ。久しぶり」
うっすらと左目を開くが、こちらを視認した途端にすぐ閉じられる。その仕草に、美海は視線を芽衣に投げるが、しかし。
「まったく、問題があるようなら私を呼べと言っておいただろう」
「あははは。一緒にいる子は?」
「私の――対外的には娘だ」
「そうだね母さん」
「貴様……私のことを母と呼ぶなと、私は口を酸っぱくして言っているはずだが?」
「どうした、梅干しが食べたいと我がままを言い出すなら、あたしじゃなくてそっちの人に要求したらどうなんだ」
「どうだ浅間、これだ。まったく口の減らない小娘だとは思わんか。まだおばさんと呼ばれた方が良い」
「そっくりだねえ」
「失礼な」
「失礼な!」
ほぼ同時に、同じ言葉を言って、にらみ合う。
「あははは! ああごめん、私は浅間らら。好きに呼んで」
「朝霧美海だ。美海でいい」
「そして私が朝霧芽衣だ」
突っ込むのも面倒だった。
「さて美海、仕事だ。このクソ女の目をどうにかしろ」
「クソって……」
「そんなに難しいことじゃないからいいけどな。浅間さん、現状維持でいいんだな?」
「ん……そうね」
「だろうな。それは浅間さんの未熟の証明であり、今まで生きてきた証だ。それを奪おうなんて無粋な真似はしないが、そのままでは日常生活に障害が出る。そこは本意じゃないはずだ」
「そうだけど……なんだろう、冗談じゃなく朝霧さんみたいなこと言うんだね」
「比較するのは止めてくれ。いいか、浅間さんの間違えは一つ、
だから。
「狙撃で利用する以上、両目を術式に適応させてもあまり意味がない。一度スイッチを消して、安全装置と一緒に改めて組み込む。その際に残って視力を両目に分割する――目を閉じたままでいてくれ」
手で触れる必要もない。芽衣と同様の〝
三秒とかからなかった。
「もういい、両目をゆっくり開いて、確認してくれ」
「ん……」
既に視力まで把握していた美海は、眼鏡を作って目を開いた浅間に手渡した。
「視力が戻った以外に影響は?」
「戻したわけじゃない、使えるようにしただけだ。あとは照準器でも覗き込んで確認してくれ。不具合はないはずだ――おい」
「うむ、問題ない。貴様は本当に詰まらん小娘だな、手軽く正確にやってくれるじゃないか」
「なんで上手くやったのに、んなことを言われるんだ……?」
「貴様が可愛くないからだ」
「あんたほどじゃない」
「おー、久しぶりにちゃんと見えた気がする。ありがとね美海」
「そいつは、この女に言ってくれ」
「……、確かに可愛くないね」
「それはいいとして、田宮はどうした」
「あー、まだ昼前? そこらを歩いてるとは思うけど」
「よし。ならば美海、迎えに行け」
「またあたしかよ……」
「試して、確保して戻って来い。できなくても私は何も言わん。ただ殺すなよ」
「本当にこの女は……いや、まあいいさ。旧交でも温めておいてくれ」
「なんだ、下手な気遣いか美海」
「それも、あんたほどじゃない」
それに、出迎えなんてのは慣れている。
その作法については、嫌というほど仕込まれたから。
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