祓魔師《エクソシスト》と始まりの闇
幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕
第一章 祓魔師
第一夜
「痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
絶叫を上げながら、一人の少年が地面に転がる。そして、目の前で腕組みして仁王立ちしている、青年に抗議の声を上げた。
「シグレさん! 少しは手加減っていうモノをして下さいよ!? 骨が折れるかと思ったじゃ無いですか!?」
尚も抗議を続けようとする少年にシグレと呼ばれた青年は、抗議の声をサラッと流して口に手を当てながら言った。
「……ふァァ…………で、もう終いか。口程にもねェなお前は。止んねぇんだったら俺、自分の修行に戻るぞ?」
そう言いながら刀を取りに行こうとする
「ちょっ……やりますやります! だから
と情けなく叫びながら飛び起きる。
そんな少年を呆れたようにシグレは溜息を吐いて、少年の駄目な所を直していく。
「……腰落とせ、手を前に
シグレさんに体術指南を受けていると、能天気な明るい声が訓練場に響き渡る。
「お〜〜〜い。香楽ァ〜シグレェ〜朝飯食いに行こうぜ〜」
その声に今迄指南をしていたシグレがイラッとした声で怒鳴り返す。
「五月蝿ェぞ
シグレさんの返答に対して傷付いた様子も無く、呼びに来た男性が笑いながら言う。
「うわぁ酷いな。会って開口一番がそれかヨシグレ? 俺お前の今後が心配になってきたわ〜」
白竜と呼ばれた男性は笑顔でシグレを見て目を細めた。
「お前に心配される程腐ってねェよ馬鹿!」
「…………何気にお二人って仲良いですよね〜……意外です」
そう言ってウンウンと感心していると、ドゲシッとシグレさんに脛を思いっ切り蹴られた。あまりの痛さに「ア痛ッ!?」っと悲鳴が漏れる。
「お前は感心して自分は馬鹿ですって証明してんじゃねェよボケモヤシ。馬鹿が来たからメシ食いに行くぞ」
食堂に向かいながら香楽は此処に来てからの一年間を思い出していた。
(…………アレからもう一年も経つんだ……なんか色々あった一年間だったなァ……シグレさんの過去の話を聴いたり、殺され掛けた所を助けてもらったり、仲間の存在に安心を覚えたり……)
「……シ、ヤシ…………オイモヤシ」
自分を呼ぶ声に、ハッと意識が思考から現実に引き戻される。気付けばシグレ達との距離が思った以上に開いている。
「は……はいっすいません!」
返事をして開いた距離を慌てて縮めながら香楽は二人の後を追った。
ーーコレは、不思議な石の力に導かれし者達の物語。
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