第56話

 なんやかんやでシーさんとずっと話している間に剣聖の継承日についになった。

 セリスはハーフエルフのままジークの待つ部屋に向かっていった。

 その顔は心配なんて必要のない顔で最初のときに比べて安心だと思えるくらいだ。

 そして、セリスはジークの少し驚いた顔を見て微笑みながら、こちらを振り返り一言。


「剣聖になった私はさらに強いですよ?」


 継承できたかどうかって?結果はどうなったかって?そりゃあ、もちろん、いい方だよ。


 そして、継承の儀が終わって数日後・・・


「ハルオミ殿~もう一度勝負しましょうよ~」

「いーやーだ」

「そこをなんとか~」

 セリスたちはまだ俺たちの家にいた。ジークの回復を待つために、数日間はこの家にいた方がいいと思ったので、泊まってもらっている。

 あの三流が息を吹き返してくることはまだないだろうから大丈夫だと思うが念のためにな。

 しかし、それが今の現状につながる。

「これ、セリス、剣聖になったものがそのような失礼なふるまいをしてはいけませんよ」

「しかし、師匠・・・その剣聖が負けっぱなしでは問題ではないですか・・・」

 そうなのだ。あの日以来セリスは、毎日のように・・・いや、本当に毎日俺に勝負を挑んでくる。

 もちろん、シーさんは出てきていないが、剣聖として剣技でまず負けっぱなしは・・・という感じで最初挑んできたのだ。

 で、軽くあしらってしまったら、毎日挑んでくるように・・・

 しかも手を抜こうとすると剣の切れが違うとか言って怒られ、もう一戦となる。

「う、うむ・・・まあ・・・それは挑む相手が問題なのだ。しっかりと鍛えて改めて挑むことも大切ですよ」

 お、ジークナイス。だが、そのあとの言葉が問題であった。


「だから、ハルオミ殿に弟子にしてもらうといい」

「名案であります!!!」


 ・・・はい?

 俺はいきなりのこと過ぎて固まっている。いったいどうしてそんなことに?

「ふふ、剣聖を軽くあしらうあなたであれば、本当にセリスはさらに強くなれると思うのじゃ」

「いやいや、なんでそうなる!」

「ハルオミ殿お願いです!!」

「却下!!」

「えー」

 えーじゃない。なんで俺が弟子なぞとらないといけないんだよ。

 教えるのが面倒だわ!!

「どうしても駄目ですか・・・?」

「そんなうるうると子犬みたいな目をしてもダメ」

「むう・・・」

 少しすねたような顔をしたセリス。よし、これで諦めてくれるだろう・・・

 だが、さらに問題が発生する。問題起きまくりだな。

 それは、

「ハルオミ殿が弟子にしてくれるのであれば・・・


 私の耳触って・・・いい・・・ですよ?


 」



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