15.Sな彼女とドSな彼

『無事にバツイチのカミングアウトが出来ました』



『良かったやん』



報告メールはいらんけど。



『その代わり"サーヤ"って呼ばせて欲しいと言われました……』




ぶっ……!



アイドルばりの愛称やな(笑)。




童貞クンが初めて本気の恋をしたら


信楽焼も人気アイドルに見えるってことか。




恋の魔力は恐ろしいわ。






週明け。




「サーヤって(爆)」




サヤカ本人を目の前にすると


どうしても笑いが堪えきれない。



「おもろいな〜。ふなっきーから見た岸谷さんのイメージってそんななんや〜。若いってええなあ!」




アイドルタヌキ。


笑い過ぎてお腹いたい。




「笑い事じゃないですよ。本当に恥ずかしいったら!」



「まだ付き合い始めたばっかりやしな。ええんちゃう?」




バカップルは世界を救うやろ。



知らんけど(笑)。





「……西川さんの彼女ってどんな子ですか?」




そういや昨日も会えないと言われた。



メールも電話も激減しているというか


俺から連絡しないと全く連絡がない。




ふと実結の事を考えていると


小野さんが後ろから代わりに答えた。



「サーヤと違って小柄で大人しそうな感じの女の子だよ、ね? 西川さん」



書類を机に置いて紀樹の目を見た。



「わ! 小野さん、何で俺の彼女のこと知ってんの?」



「会社の近くでデートしてたら目立ちますからね。みーんな知ってますよ」



「うそーん。今度から変装しよ(笑)」




実結の家はここから遠くなくて


付き合い始めたばかりの頃は


お互いさほど忙しくなかったから


よく近くの店で夕飯を一緒に食べていた。




会う回数が減ったのは


「疲れた」「眠い」を連発する紀樹を


少しでも休ませようとした実結が


平日は会わないと決めたから。




寂しがりで甘えんぼな事は


誰よりも知っていたはずなのに


いつしか休日デートさえ


平気でドタキャンするようになった。




人前では絶対に涙を見せないけれど


弱くて泣き虫な実結が


俺の前で泣かなくなったのは


一体いつからだったかな。










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