第43話 隻眼のオーク
あれから更に二体減らした。オーク達はまだ気付いてない。ここらへんは脳筋だな。前しか見てないから、背後からの奇襲が効果的過ぎる。けど地味に数が減ってるとボスみたいな奴は気付いてそうではある。向かってくるゴブリンを一撃の元に沈めていく一体のオーク。そいつは他よりもデカくて、獲物もトゲトゲした更に凶悪そうな武器を使ってる。
そして一番の特徴は片目についた傷。縦に入ったその傷でそのオークは片目が潰れてる。けど強い。流石に他のオークはゴブリンを一撃で葬るって事はそうそうない……が、あのオークは大体一撃で殺してる。多分攻撃の威力が段違いなんだろう。確かに迫力も違うしね。
「ドラゴ……」
「ああ、あいつはこのままには出来ないな」
ドラゴもどうやらアイツをどうにか出来ないか考えてたらしい。アレが居なくなれば流れが変わるかもしれない。流石に最後までバレずに不意打ちし続けるなんて不可能だしココらへんでアイツを引き受けるべきなのかも。そんな事思って再びチラッと例のオークを隠れて覗くと、バチッと視線があった気がした。思わず勢い良く首を回した。
余りの勢いにゴキッと嫌な音が首からなった気がするけど今はそれどころではない。どうやらドラゴも視線があったのか同じように首ならしてた。あのオーク気付いただろうか? 再び恐る恐る見てみると思わず「げっ」という声がでる。何故かと言うとあのオーク倒された仲間の棍棒をこっちに投げつけて来やがった。思わず後方に飛ぶ。棍棒がぶつかって大きな木が激しく揺れる。
直接ぶっ叩くと、本当に叩き折れるんじゃなかろうかというパワー感じた。気のせいだと思ったのか、例のオークは再びゴブリン達の方へ向いてその視線はチラチラとブリンへと向けられてる。やっぱりブリンのことは気になるよう。けどアイツの所に行かせる訳にはいかない。丁度例のオークの近くのオーク共が散った今がチャンスではなかろうか?
ゴブリン達も奴の近くには寄ってこない。足元に落ちてる石をとって、ドラゴに視線合わせて頷く。奴をこの戦場からちょっとだけ離そう。石ころを例のオークに投げる。そしてこちらに気づかせて、走ってくる奴をおびき出す。別のオークに何も言わずに来るのは自信の現れか? けど、こっちとしては都合がいい。僅かに姿を見せて誘い込み、ここらへんで良いかな? という所で姿を見せる。
すると人とわかったからか、向こうのやる気が上がった気がする。雰囲気がピリピリしてる。歩く度に地面が凹むその重量級の威圧感は正面に立つと半端ない。下手にあの武器を剣で受けないほうがいいよな。
絶対的に折れる。自分は構えを取る。それを見て走り出す隻眼オーク。だがこれは誘いだ! 自分に向かって一直線に向かって来てた隻眼オークの背後からドラゴが飛び出て、踏み込みと共にその剣を振るう。
「せい!」
そんな声と共にスパッと首が……飛ばない!? 中ほどまで肉を切ったがそこで止まる。ドラゴに気付いた隻眼オークはその瞳に怒りを見せて首を切ろうとしてるドラゴの剣を握り、ブチブチと言わせながらそれを抜いてドラゴごと持ち上げやがった。
「なんて力だよ……」
そう言わずにはいられない。そしてドラゴを投げ捨てる隻眼オーク。手強い……それを再認識して自分達は再び態勢を整える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます