第12話 何度だって
では、新田リョウくん。こちらに座ってください。
「はい」
リョウくんが座る。
その目の前にいたのはいつもショップにいるお兄さんの一人だった。
確かあの人は逆転の女神サウスコアのカードを使ってる人だ。
ではバトルを始めてください。
バトルが始まる。
リョウくんはいつも僕と戦うときと同じような戦い方だった。
リョウくんの強さは僕はよく知っている。
相手の人はいかにもカード上級者という感じだった。
でも、序盤から一気に攻めてくることは無かった。
一見勝負は互角に見えてたんだ。
少なくとも僕は互角だと思ってた。
でも、僕は知らなかったんだ。
この人が何を狙っていたのかを。
勝負は中盤でお互いレベル3の強力カードが出ていた。
リョウくんの場にはいつものレベル3のカードがいて
その人の場には逆転の女神サウスコアのカードがあった。
「女神サウスコアのカードの効果でサポートカードを6枚にします。
さらに場のこのレベル2のカードの効果でTゾーンのカードを2枚裏にして
サイドデッキから1枚カードを使います。この効果を3回発動し
行動回数+1のカードを3回分使います。さらに場の行動回数+1と
パワー+5000にパワー×2のカードを2枚使って
パワー56000の4回攻撃をします」
この1ターンで一瞬で決まったんだ。
僕は目の前で何が起こったのかを理解できなかった…。
その人はずっとこの機を狙っていたように見えた。
どうやって?なんでできたんだろう?
今までの自分たちとは世界観がまるで違ったんだ…。
「あーあ、また負けちまったか…」
「リョウくん」
「ははははは」
リョウくんは笑っていた。
リョウくんは負けた。でも、その表情に曇りは無かったんだ。
「また、負けちまったか。でも、次は負けないぜ。あの人マジ強えなぁ」
リョウくんはまた1回戦で負けた。
でも、輝いていたんだ。
なんというか次はリョウは勝てるだろう。
何度も挑もうとするリョウくんの姿は
みんなの前で威張ってたリョウくんとは比べ物にならないくらい勇敢だった。
「ほら、あとはのんびり試合見物しようぜ」
僕たちはみんなのその勇姿を見ていた。
そこに勝ち負けはあれど正々堂々と戦ってる彼等は
みんな僕には強く見えたんだ。
そして自分もそうなりたいと強く思った。
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