第7話 楽しみ方は

「危なかった〜。なんとか勝てたよ…」

「くそ〜俺が負けるとは〜、やるなマモル。あ、そうだちょっと店のもん見ていかないか?せっかく店来たんだしさ」

「うん、いいよ」


僕たちは店内のカードを見て回った。

カードを始めて間もない僕にはどのカードも輝かしく見えた。

こんなにもたくさんカードがあってみんなが色んなカードを持ってて

この世界を知っていくことがすごい楽しみだったんだ。


「ちょっとマモル。こっちきてみろよ。いいもんあるぜ」

「何があるの?」

「ほら、これだよ」


目の前にあったのはカードを入れるケースとして使われる

カードのスリーブだった。

その種類はたくさんあって、色の種類は様々で、キャラクターのイラストや

カードゲームのキャラのデザインなど色んな種類があった。


「うわ〜カッコいいね〜」

「ほら、形からはいれって言うだろう。さっきのお兄さん達がさ、

みんなカードをスリーブに入れてバトルしてるし、なんかカッコいいじゃん!

だからさ俺たちも好きなスリーブを選ばないか?」

「いいねいいね。選ぼう選ぼう!」


僕とリョウくんはスリーブを何度も見返した。

どのスリーブもかっこよくて正直大人買いしたい気持ちだった。

でも、金銭的にどれか1つカッコいいものを選ぶことにしたんだ。


「お、決めた!俺はこいつだ」


リョウくんが手に取ったのは黒いドラゴンのイラストが描かれていた

紫のスリーブだった。


「黒龍ってすごく強そうなイメージあるじゃん。俺のデッキにピッタリだぜ」

「そうだね。いかにも強いですよってオーラあるしね」


僕はまたスリーブを見回した。

そして白色の精霊のイラストを見てピンときたんだ。

これにしたい!って。


「僕これにするー」

「お、マモルは白の精霊のスリーブか。

なんかファンタスティックな感じだよな。ほらレジに行こうぜ」


いらっしゃいませー


僕たちは互いに好きなスリーブを買った後

40枚のカードをスリーブの中に入れた。

この作業はちょっと大変だったけどワクワクしたんだ。

そして自分のデッキがスリーブでかっこよく見える。

そう、いつもカードは裏向きにしてる時は同じイラストだから

気にならなかったけど、こうしてスリーブを入れると

いかにも自分のデッキだ!って感じがしたんだ。



「これが僕のデッキなんだ…すごい」

「うおー!なんか強そうに見える。やべーよ俺、将来

日本一強くなれる気がするよ」

「そ、それはすごいね…」


今までなんとも思ってたなかったデッキがこの瞬間自分のデッキになったと

感じたんだ。そう、カードゲームってカードだけじゃ無いんだね。

ただスリーブがあるだけでもこんなにも感動できるんだね。




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