第4話 本当の強さ
「あいつ負けやがったぜ」
「ダッサ、あんだけカッコつけときながら負けるとか笑えるな」
リョウくんはずっと罵声の中黙っていた。
今まで僕はリョウくんの強さに少し憧れていて
リョウくんはとても強いと思ってたんだ。
でも、今のリョウくんはとてもつらそうで悲しそうだった。
そう、僕が負けた時と同じだったんだ。
周りの1人がテーブルの上のリョウくんのデッキを取り上げて
僕の前に差し出した。
「よかったなマモル。これでこのデッキはお前のだな。
あーあ、最強とかほざいときながらダサいやつだったな」
「リョウくん…」
「いいんだ、マモル…。俺がデッキを賭けるって言ったんだ。
だからおまえのだ…持ってけよ」
リョウくんは必死に泣くのを堪えながら僕たちの元から去っていった。
僕はそのリョウくんに声をかける勇気が出なくてただその場で
立っていることしか出来なかった。
そして次の日からもなかなかリョウくんに話しかける勇気が出なかった。
リョウくんは学校ではこの前の賭けるのせいでみんなにバカにされていた。
そんなリョウくんを見ていることしか出来なかったんだ。
僕は確かに大切な勝負に勝つことができて自分は少し強くなれたと思った。
でも、今のリョウくんに話しかけられない自分はとても弱いと思った。
本当の強さってなんだろう?
僕は本当の強さが何かを知りたかったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます