16.11.03

講談社の青い鳥文庫が創刊36周年とのことで、

あるオンライン書店で特集が組まれていた。


私はあまりこのレーベルを読まなかったが、

小学6年生ぐらいの時に、同級生がパスワードシリーズを

よく読んでいたのを覚えている。

小学生ぐらいの年齢だと、誰かが本を読みだすと謎の連鎖が発生し、

一時的なブームが起こるということが良くある。


本に限った話ではないが、読書離れと言われている割には、

そうやって本がブームになることもあったのだ。

しかも私が小学6年生の頃にはあのハリー・ポッターシリーズの

ブームが起き始めていた時期であり、本に対する熱が教室内に

少なからずあった。


担任の先生が所持していたので、クラスの中で希望者が

順番に借りて読んでいったのだが、男子で借りたのは私だけ

だったと後に知った。ハリー・ポッターは『秘密の部屋』まで

読んで、途切れている。


私にとって青い鳥文庫といえば、Kシリーズというアンソロジーが印象深い。

印象深いどころか、読書趣味の形成に関わる大きな出会いであった。


Kシリーズは主に海外の怪奇、幻想的な小説を児童向けに翻訳したアンソロジーで、

全部で8冊が刊行された。私が最初に手に取ったのは中学生の頃で、

その時刊行からすでに10年近く過ぎていたのもあり、

全巻揃えることはできなかった。未だに古書サイトなどで探しているぐらいだ。


特に印象的だったのがコナン・ドイルの「大空の恐怖」と

チャールズ・ディケンズの「魔のトンネル」でった。

前者は新潮文庫で、後者は「信号手」の題名で岩波文庫などで読める。


その頃私は不思議な話や不気味な話に凝っていて、ウルトラQとの出会いなどを

経てかなり偏った趣向になっていた。

他にもその手の出会いが重なり、どっぷりの状態であった。


児童書は古書として出にくいので、もし気に入った児童書があるのならば

早いうちに買っておいた方が後悔しないだろう。


「猿の手」だったり、「貸家」だったり、Kシリーズは中々押さえどころの

良いアンソロジーであった。現在手に入るものだと創元推理文庫の

「怪奇小説傑作集」全5巻が入門に良い。Kシリーズ収録の作品が何作も

収録されているし、文庫本なので手軽に読み始められる。


江戸川乱歩が怪奇趣味のミステリなどを「奇妙な味」と評したのは有名だが、

読んでいるとどのラインが「奇妙な味」なのか、悩ましい作品が多く存在する。

謎の種類、見せ方によって変わるのかなと、私は感じている。


児童書でこういったシリーズを出していた、という点では

青い鳥文庫も中々のやり手である。

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