16.10.17

雨の道端にバスの乗車券が落ちていた。

なぜこんな場所に、と思うような場所だった。

そもそも、この券は降車時に料金と一緒に回収されるはずだ。


私もよく利用するバス会社の乗車券だったのだが、

思い返してみると以前は違う印字の乗車券だった。


現行はコードらしき印刷があるのだが、以前使われていたのは、

上だか下に紫の線が入って、右端に数字が振ってあるだけの紙だった。

うろ覚えだが、おおよそ間違いないと思う。


一体どうやってあの紙切れで乗車場所を特定していたのか疑問だが、

紙にでこぼこがあった記憶があるので、そこらへんで解決していたのだろう。



小さい頃、1枚のカードでどの電車でも、どのバスでも乗れればなぁと思っていた。

JRにはオレンジカードが、バスには共通カードというものがあった。


その願望はやがてパスネットという物で部分的に達成され、

スイカとパスモの登場で、今では当たり前のものとなった。

小学生ぐらいの私に見せたらとても喜びそうだ。


でもひとつで済むということは、なくなったものも当然多い。

オレンジカードもバス共通カードもパスネットも、

ちらっと調べたらそういえばあったなぁと思い出したハイウェイカードも、

本が好きなら図書券も図書カードに移行した。


各社のカードには様々な絵柄があり、持っているだけでわくわくした。

特に好きだったのはパスネットの利用可能車両勢揃いのものだ。

使い終わったカードを今も大事に保管してある。


自分が生きている中で消えてゆくものはたくさんあるけれど、

ちょっとだけ場所を取って、覚えていたいものを残しておければなと思う。

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