いい人とは限らない

休日、愛犬の散歩途中にコンビニエンスストアに立ち寄り休憩、

そこで350ml発泡酒をおいしく頂くこと、2回から3回。


帰宅後、夜ごはんの買い出しついでに500ml発泡酒を2本。

部屋の掃除、グッピー水槽の掃除、夜ごはんの支度をしていたら

発泡酒が2本とも蒸発したかのようにあっという間になくなる。

ここまでがだいたい午前中の話。


ここからランニングかジム、もしくはサウナへと向かう。

帰宅途中にお菓子と500ml発泡酒を2本。

すると500ml発泡酒の空き缶が4本となる。

これを見られたら飲み過ぎだと責められるから

近くの自動販売機のゴミ箱へ空き缶を捨てに行く。


金曜日、缶と瓶のゴミの収集日だからと愛犬との散歩前に

普段の生活からでる空き缶と空瓶をいれたビニール袋を持ってゴミ捨て場へ向かった。

ふと自動販売機横のゴミ箱を見ると、そこに入りきらない缶が溢れて散乱している。

持っているビニール袋にはまだ余裕がある。

罪悪感に駆られた僕は、散乱した缶を拾いに行った。

自分の行いはよそに、無造作に缶を捨てる輩に文句を言いながら

缶を踏みつけて潰しながらでもなんとか全部、袋に詰めた。


所定のゴミ捨て場に向かって歩いていたら

お隣の奥様とばったり。

「なにしてたんですか?」

「いえ、散らかったてからついでに片付けを」

「そうですか。そうですよね。そういうことですよね」

「え?」

この人は僕が自分で飲んだビールの空き缶をあのゴミ箱に捨てていることを知っているのか、バレてんのかと思った。

「誰かが綺麗にしないといつまでも汚いままですよね。そいういうことですよね」

「いえ、はぁ、まぁ」


美談になってしまった。

ふと思う。

普段、何気なく悪いことをして小さな罪悪感を抱えている人だからこそ、何故か、ふと善いことをしてしまう。「してしまう」という表現がぴったりだ。これでプラスマイナスゼロだからいいって思うわけではない。圧倒的にマイナスが大きいからそんな程度では埋められないことは本人がよくわかっている。


そして、また、同じ悪いことを繰り返すという、この弱さ。

ゴミを拾っている人がいい人だとは限らない。








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