第4章 さようなら野菜生活

4.1 なにがしたい?

 いつも通りの時間だと、まだ全然夜が明けていない。もう季節が巡ったのか。早いものだ。

 今日は『お母様の野菜の日』だ。寝巻のままだとちょっと寒いかな。僕は平気だけど、ハンナはどうだろう。上着を羽織っていこう。

 僕は衣装棚から外套を取り出した。部屋の中はきちんと片付けられている。客室清掃の練習というのもあるし、なにより、ちょっとでも散らかっていようものなら、ハンナが喜んで掃除を始めてしまうからだ。僕はハンナを便利に使いたくて入れ替わっているわけじゃない。ハンナには、野菜料理を食べてのんびりしてもらいたいんだ。

 そろそろと屋敷の中を進んでいく。オリビエ以外の召使いたちは、未だに僕とハンナの入れ替わりには気が付いていない。なんという役立たず共。喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。まあ、普段から僕はあまり人前には出ないからな。そう考えると仕方のないことかもしれない。

 裏口から外に出て、温室に向かう。やっぱり空気がちょっと冷たい。もう少しすると、息が白くなるかもしれないな。ガラス張りの温室に入った途端、むわっとした熱気が身体を包んでくる。ここにいる限りは、どんなに寒くても平気か。

「ハンナ、おはよう」

 奥の方に座っている人影に向かって、僕は声をかけた。やれやれ、いつまでたっても変わらないなぁ。緑の葉っぱをもしゃもしゃと頬張っている。ウマとか、ウサギみたいだな。まったく困ったものだ。

「おあおー、うあんいう」

「呑み込んでからしゃべってくれ」

 口からはみ出ていた緑が、あっという間に吸い込まれて、そのまま消えた。実に鮮やか。見ているこっちの方が気分が良くなってくる、いつものハンナの食べっぷりだ。

「おはよう、フランシス」

「これから三食野菜料理なのに、もう野菜なのか」

 最近はまたハンナが手加減なしで食べるものだから、『お母様の野菜の日』になると屋敷の厨房はてんてこ舞いなのだそうだ。ご自慢の野菜が沢山食べてもらえて、お母様の機嫌も良いと聞いている。みんな幸せで、大変よろしいことだ。

「ちょっと寒くなってきたね」

 ハンナが微笑んだ。あの日、僕がハンナに好きだって言った時から、ハンナはこうして笑ってくれるようになった。正直すごく恥ずかしいんだけど。

 でも、とても嬉しい。

「上着も着てきたから。寒かったらこれで」

「ありがとう」

 二人で物置に移動して、お互いの服に着替える。服に残ったぬくもりが、とても心地よい。これがハンナの体温なのかと思うと、ちょっとどきどきする。

 ハンナの方も同じか。僕の服を着て、僕の体温を感じている。着替え終わって、向かい合って。僕たちは、照れ臭くなって笑ってしまった。

 ハンナのことを、僕はとても好きだ。こうして一緒にいられて、ハンナのために何かができるのが、たまらなく嬉しい。美味しい野菜料理を食べて、喜んでもらいたいと思う。

「じゃあ、行ってくる」

 さあ、ここからは切り替えていかないと。僕はハンナになって、『至高の蹄鉄』亭の下働きだ。

「行ってらっしゃい。頑張ってね」

 ハンナにそう言われると、元気が出てくる。軽く手を振って別れる。不思議な気分だ。もし僕がハンナと結婚して、二人で家庭を持つとしたら。こんな風に、仕事に行く時にはハンナが見送ってくれるのだろうか。

 いやいやいやいや。何を考えているんだ僕は。すっかりダメ人間だ。意味のないことばかり考えている。

 でも。

 できることなら、僕はずっとハンナのそばにいたい。ハンナが野菜料理を食べて幸せにしている姿を、一番近くで見ていたい。




 フランシスの部屋に入ったら、まずは寝巻を脱いで部屋着に着替える。フランシスの体温が離れてしまうのがちょっと残念だけど、仕方がない。それから、ぐるっと部屋の中を一通りチェックする。

 客室清掃のベテラン、ハンナちゃんはどんな汚れも見落としません。どれ、今回のフランシスは何点かな。

 む、思ったよりも腕を上げている。合格かな。ちぇー、つまんないじゃん。

 ぼふ、とベッドの上に横になった。フランシスなりの気遣いだっていうのは判っているけど、これだとやることがなくてつまんないんだよね。

 シフォーさんがいる時は、色々と勉強を見てもらったりもしている。お陰様で、フランシスの部屋にある本は一通り読めるようになった。読み書きも大事だけど、私としては計算の方が重要。首都の大学にいたというシフォーさんは、算術に関しても一通り教えてくれた。よしよし、これって『至高の蹄鉄』亭のお仕事に役立てられるよね。

「将来の公爵夫人さまじゃないのかい?」

 シフォーさんはすぐにそうやってからかってくる。もう、何を言ってるんだか。

 そういうのは、もっと先の話。フランシスも私も、まだまだ子供なんだから。

 ごろん、と寝返りをうった。シーツの匂い。かすかに、フランシスの匂いがする。毎週ここに来るから、もうすっかり馴染んじゃった。むしろちょっと落ち着いてくる。

 フランシスに好きだって言われて、私は、嬉しかった。ああそうか、私もフランシスのことが好きなんだなって、その時になってようやく自覚した。

 サンドラは「餌付けみたい」って言ってたけど、いやいや、断じて違いますから。確かに温室の野菜をつまんでも見逃してくれるし、美味しい野菜料理も食べさせてくれるけどさ。それだけじゃないですよ?

 お金持ちの公爵さまの一人息子で、将来安泰。っていうのも違うからね? それだと私、フランシスの財産が目当てで近寄った、悪い女みたいじゃない?

 そうじゃなくて、えーっと、えーっと。

 窓の外を見ると、もう陽が高く昇り始めている。『至高に蹄鉄』亭の方、朝食の準備、終わったかな。今日は確か早めに出るお客様がいたから、特別対応が必要なんだよな。申し送りはしておいたし、フランシスも大丈夫だとは言ってくれていた。

 ・・・そうだ。

 フランシスの一生懸命なところ、私、好きだな。

 お金持ちのお坊ちゃんで、自分では何にもしないのかと思ってた。実際文句は多いし、野菜を食べるのが嫌いとか、わがままばっかり言ってる感じはする。

 でも、私のために仕事まで代わってくれてる。野菜料理が嫌なのと、どっちの理由が勝ってるのかな。ふふふ、それは意地悪すぎるか。

 フランシスは、私のためにここまでしてくれてるんだよね。そう考えると、嫌な気分はしない。ちょっとくすぐったい。

 仰向けになって、天井を見上げた。今は幸せ。フランシスにこんなに大事にしてもらえて、私はとても恵まれていると思う。

 大好きな野菜と、大好きなフランシスがいてくれる。素敵な毎日。


 ずっと続いてくれれば、いいのにね。


 多分、そううまくはいかない。私もフランシスも、今は顔から背格好までそっくりだから、入れ替わり生活なんてできているけど。あと何年もしないうちに、私たちはもっと明確に、男の子と女の子になってしまう。

 終わりの日は、そう遠くない将来に待ち受けている気がする。

「その時どうするのかは、二人で考えておくんだな」

 シフォーさんの言う通り、一度フランシスと相談しておいた方がいいかもしれない。フランシスは何故かシフォーさんを目の敵にすることがある。結構頼れる大人だと思うんだけどなぁ。小児性愛者? それはないよ。まぁ、たまにおかしなことを言い出すけど。頭の良い人って、ちょっと他の人と違ったりするもんじゃない?

 男の子と、女の子か。

 なんだか想像がつかないな。フランシスは普通に私の服を着て、『至高の蹄鉄』亭で働いている。私もフランシスの服を着て、フェブレ公爵家の御曹司のふりをしている。今ではもうお互いに全然不自然さを感じない。

 公爵夫人、ねぇ。

 そう言えばフランシスのお母様って、一度も見たことがないや。忙しいのかな。

 ああ、温室はフランシスのお母様のものなんだっけ。忙しい合間を縫って、大変なんだろうなぁ。よっぽど野菜が好きじゃないとそんなことはできないだろう。

 私も野菜は好きなんだけど、どうなのかな? 一度お話ししてみたい気もする。でも、それは無理な注文か。流石にお母様相手では、フランシスのふりは通用しないだろうし。

 ・・・そうじゃなくて、ハンナ、としてお話しできれば、それがいいのにな。

 コンコン。

 そんなことを考えていたら、フェブレ公爵邸の朝食の時間になった。最初のお楽しみだ。

「おはようございます、フランシス坊ちゃん」

 オリビエさんが部屋に入ってくる。やれやれ判っているくせに。ベッドに腰掛けている私を見て、オリビエさんはにこにこと笑った。

「ハンナ様、本日もようこそおいでくださいました」

 様付で呼ばれるのはなかなか慣れないんだよな。曖昧な笑顔で応えて、私はベッドから降りた。

 さ、素敵な朝御飯に参りましょう。




 客室清掃まで問題なく終了。今日は五部屋こなした。僕もだいぶこなれてきたもんだ。メラニーさんに大声を出されることも少なくなってきた。本家のハンナにはまだほど遠いかもしれないけど、身代わりとしてはもう合格点なんじゃなかろうか。

 サンドラやナディーンとも仲良くやっている。僕はすっかり『至高の蹄鉄』亭の一員だ。いっそのこと、ハンナと二人でここで働いても良いかもしれないな、とまで考えてしまう。別に僕は、セレステの街の領主になることに大きなこだわりなんて持っていない。ただ、お父様もお母様も、間違いなく許してはくれないだろう。

 休憩室で遅い昼御飯を食べる。今日も肉祭りだ。『至高の蹄鉄』亭の厨房は、いつも僕好みの素晴らしい肉料理を提供してくれる。この良さが判らないとか、食の趣味に関してだけはハンナとは判り合える気がしない。特大の肉団子を四つ皿に盛って、僕はほくほくだった。

「ハンナ、一角獣の間のお客様って見た?」

 サンドラが訊いてきた。ここでは、ハンナといえば僕のことだ。

「一角獣の間?」

 確か五、六人のお客様用の大部屋だ。数日前から埋まっていたけど、清掃不要とのことでずっと立ち入ることはなかった。泊まっているお客様の姿も、言われてみれば見たことがない気がする。

「昨日ナディーンが酒場で見たらしいんだけど、どうにも怪しい奴らだったって」

 サンドラがナディーンから聞いたところによると、見るからに犯罪者風の一団であったということだ。態度も言葉遣いも悪いし、他のお客様にも迷惑をかけそうになって、久々にメラニーさん出動の一歩手前だったらしい。

「ハンナにも言ってあるんだけど、からまれないように気を付けてよ」

 この場合のハンナは、本物のハンナのことだ。実にややこしい。

 それにしてもやれやれ、またガラの悪い客か。実際に何か犯罪でも犯してくれれば、街の護衛兵に突き出してしまえるのに。ちょっとした迷惑行為ぐらいではどうしようもない。セレステの街には、世界中の様々な土地から色々な人が訪れる。少々の擦れ違いから生じるいざこざ程度で逮捕していたら、街の牢屋はあっという間にパンクしてしまう。お父様もその辺りはある程度寛容にと、いつだったかおっしゃっていた。

 ましてや宿屋なんて、よそ者の溜まり場みたいなものだ。揉め事荒事なんて日常茶飯事。メラニーさんみたいに強い腕っぷしがなければ、まともに営業していくことは難しいだろう。ハンナも大人になったら、あんな酒樽みたいな体型になってしまうのだろうか。それはちょっと想像したくないな。

「あー、あいつらは帝国系の奴らだな。確かにあんまり育ちは良くなさそうだ」

 突然後ろからシフォーが話しかけてきた。そういえば今日は僕の家庭教師はお休みだったな。

「お客様、ここは関係者以外立ち入り禁止です」

 サンドラが、シフォーに向かってむっとした顔をする。確かに、ここは従業員用の休憩室、しかもお昼御飯の真っ最中だ。

「いや、ワインの注文をしたかったんだがな」

 昼から酒か。困った大人だ。ハンナはこんなシフォーを立派だというけど、僕にはいまいちピンとこない。たまにハンナの勉強も見ているみたいだけど、妙なことをしでかしやしないか、気が気ではない。ハンナのことをやたらと可愛いと言うし、たまに僕のことも変な目で見ている気がする。

「ハンナ、サンドラ、ちょっといいかい?」

 今度はメラニーさんが入ってきた。大して広くない休憩室は、これでぎゅうぎゅうだ。シフォーはさっさとワインをあきらめて、何処かに行ってくれないかな。

「一角獣の間がさっき急に空いたから、清掃してほしいんだ」

 噂をすれば、だ。いなくなったというのだから、これは喜ぶべきことだろう。ただ、最後の最後まで迷惑というか、お陰様で楽しいお昼御飯が中断させられる羽目になってしまった。

「判りました」

 とほほ、僕の肉団子。



 ドアを開けて部屋の中をぐるりと見回して。

「やられたわね」

 サンドラは腕を組んでしかめっ面をした。

 こういう状況は、僕も何度か目にしたことがある。なんというか、「極端にマナーのなっていないお客様」ってやつだ。

 シーツからカーテンから滅茶苦茶に破けていて、机や椅子は残さず全てひっくり返されている。床の上には食いかけの生ゴミが残され、中身の残った酒瓶がゴロゴロと無数に転がる。一体全体どういう暴れ方をしたのか、床や壁だけでなく、天井にまで染みがこびりついていた。

 よく見てみると、コップやらタオルやら花瓶やら、元々この部屋にあった小物は根こそぎ持ち出されているようだった。まあ、ある程度なら良くある話なんだけど、徹底してやられるともうどうしようもない。

 恐らくハンナが丁寧にかけていたであろうベッドシーツも、ぐしゃぐしゃにされて床の片隅に放り投げられていた。

「こりゃ時間かかりそうだわ」

 大部屋が使えるのとそうでないのとでは、その日の売り上げがだいぶ異なる。チェックインまで時間は少ないが、やれるところまではやってみよう。僕とサンドラは手分けして清掃を開始した。

 まずはゴミを全部出してしまおう。袋にぽいぽいと床の上のものを放り込んでいく。ゴミ箱があるのに、なんでわざわざその辺にまき散らすんだ。

 肝心のゴミ箱は、シーツの下に転がっていた。もうわけがわからない。これは部屋の使い方がどうのこうのとかではなく、宿に対する嫌がらせか何かなのだろう。育ちが悪いとか、そういう言葉で片付けてはいけない気がした。

 ゴミ箱の中身を袋に移そうとして、僕は底の方に何かが貼りついているのを見つけた。なんだこれ。

 大きな紙だった。気になって広げてみると、図面のようなものだ。四角が沢山つながっている。絵?  にしては意味が判らない。

「何それ? お客様の忘れ物?」

「ゴミ箱に入ってたからゴミだと思う」

 ふーん、とサンドラはすぐに興味を失ってしまった。確かにそんなに面白そうなものではない。

 でも、僕はどうしてもこの紙が気になった。不思議だ。初めて見るのに、何故か見覚えがあるような。

 丸めて捨てようとしたところで、僕は隅っこの方に字が書いてあるのに気が付いた。サインのようなものかと思って読んでみると、そこにはこう記されていた。


 『フェブレ公爵邸』


 え?

 もう一度紙を広げて、じっくりと書かれているものを眺めてみた。この四角は、ひょっとして部屋か。そうだとすると、なるほど、これはウチの間取り図なんだ。玄関ホールがあって、ここが食堂、ここがお母様の部屋。ここが。

 ・・・どうして僕の部屋の位置の四角に、丸印が書いてあるんだ?

 背筋がぞくっとした。

 得体の知れない悪寒が全身を駆け巡った。手が震える。足が震える。

「ハンナ? どうしたの?」

 サンドラの声が聞こえる。

 ハンナ。

 そうだ、今、ハンナはどうしているんだろう。

 胸騒ぎがする。僕は手に持った間取り図を、ぐしゃっと握りつぶした。




 お昼御飯が終わると、退屈な午後がやってくる。今日はシフォーさんもやってこないし、お部屋も綺麗に片付いてしまっている。困ったなぁ。私、じっとしているのって苦手なんだよなぁ。

 一人ぼっちでこの部屋にいるのって、楽しくない。フランシスはどうしていたんだろう。やっぱり、面白くなかったんじゃないのかなぁ。

 私だったら、『至高の蹄鉄』亭でお仕事して、一段落したらサンドラやナディーンとお話しして。メラニーさんや親方を手伝ったりして。時間がいくらあっても足りなかったくらいなのに。

 フランシスは、寂しかったのかもしれないね。

 だから、私はここに来たのかもしれない。フランシスを自由にしてあげるために。私がここでフランシスの身代わりになっている間は、フランシスは外の世界に出ることができる。ハンナとして『至高の蹄鉄』亭に、いや、その気になれば、何処にだって行ける。

 もし、フランシスが帰ってこなかったら。

 私は、ここでずっとフランシスとして過ごすのかな。それはやっぱり、嫌だな。私は外の世界の方が好き。綺麗で、ぴかぴかしているフェブレ公爵邸よりも、薄汚くて、うるさくて酒臭い『至高の蹄鉄』亭の方が大好き。そこで育ってきたんだから、私の居場所はそこなんだよ。

 野菜料理は好きだけど、私は、フランシスにはなれそうにないかな。ふふ、可笑おかしい。

 ・・・私、どうしたいんだろう?

 フランシスとは大事なお友達のままで。

 たまに遊びに来て、オリビエさんやシフォーさんとお話しして。

 美味しい野菜料理。せっかくだから、みんなと一緒に食べたいな。

 あんなに広い食堂で、いつも一人で御飯って、あれ、未だに慣れないんだよね。

 フランシスも、いつまでも子供じゃないんだから、いい加減野菜ぐらい食べれるようになってほしい。

 そしていつか、二人で御飯を食べることができたら。

 ・・・多分、私のしたいことって、それだ。


 ドンドン!


 突然乱暴にドアが叩かれた。びっくりしてそちらの方を向く。え? 何?

 今までこんなことなんて一度もなかった。フェブレ公爵邸の人はみんな丁寧で、コンコン、って優しくノックして、一言断ってから部屋の中に入ってくる。

 でも今日のこれは違う。明らかにいつもとは異なっている。

 動けないままでいる私の前で、がちゃり、とドアが開いた。そこには。

「ハンナ様、何処かにお隠れください」

 オリビエさんだ。すごく苦しそうな顔をして、肩を押さえている。袖口から、つうって垂れて床に落ちたのは。

 血?

「どうしたんですか、オリビエさん!」

 私は慌ててオリビエさんに駆け寄った。怪我をしている? 一体どうして?

「ダメです! 来ないで!」

 オリビエさんが怒鳴って。

 その後、誰かが強い力でオリビエさんの身体を突き飛ばした。

 部屋の床に、オリビエさんが転がる。

 私は、その姿を呆然と見下ろして。


「うわあああぁぁ!」


 ありったけの声で、叫んだ。

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