暗黒物質とじじい

コンビニにダークマターというお菓子が置いてあった。

暗黒物質?

巨大なポスターには「女性に大人気!」とある。


「女性に大人気!」はありがちなキャッチフレーズだ。

これをパワーアップさせると「若い女性に大人気!」になる。


しかしながら「老いたじじいに大人気!」というキャッチフレーズはあまり見かけない。なぜだろうか。それは両者の商品価値に差があるからだと思われる。


「若い女性」はそれだけで男に「お近づきになりたい」「セックスしたい」と思わせる需要がある。百合の女の子にもあるだろう。実際、出会い系や風俗など、カネを払ってそういう願望を満たすものもいる。つまり、世間一般的に見て商品価値がある。


逆に「老いたじじい」はそれだけでは需要がない。仲良くなりたいとかセックスしたいとか思えない。他者から求められるためには、カネや土地などの資産があるか、高い社会的地位についている、あるいは超イケメンといった、じじい+アルファが必要だ。


つまり「若い女性に大人気!」というあおり文句は「価値がある者が認めているものには価値がある」という論理によるものだと考えられる。「イチローが認めたグローブ」とか「北島も愛用する競泳水着」なども同様だ。

(イチローも北島も大嫌いだ。どっちも死ね!)


「老いた貧乏なじじいに大人気!」だと、「そんなカネも実績もない、有名でもない、無価値な奴にこれはいいぞ!って言われても、センス疑うし、説得力感じねーし」となってしまう。「アラマキ(このエッセイの作者)に大人気!」も同様である。


正直、こういうすでにあるだれの目にも明白な価値をポッと出の無名にすり寄らせて何かを宣伝しよう、認めさせようというやり方が大嫌いである。

純粋にそのものだけを見て、感じて、よいか悪いか判断させろよ。と思う



貧しく、社会的地位もなく、イケメンでもない僕は

ダークマターを買わずにだまって店を出た。


ではごきげんよう。

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