第32話花摘み、生産活動支援
日本時間十五時、ゲーム時間十時、エールラーケに集まっているPTが馬車に乗る。馬車は街道途中の安全ポイントに寄りながら走っているので途中下車が可能だ。当然、そこから乗ることも出来る。
道中暇なので先日始まった国民的なアニメの話になっていた。既に一世紀以上続いている、正確にはシリーズものが続けて作成されている恐るべき長寿アニメの一つだ。
私も小さい頃から見ていた大好きなシリーズの一つなので、放映が開始されれば欠かさずネット配信で見ている
しかし、フルダイブVRMMOなんて存在していない時から作成しているんだから作者の発想力って凄いよな。でも、このアニメの影響でVRMMOが凄くやりたかったんだよね。
ちなみに他にも同様に一世紀以上続いている作品がある、家族の日常を描いたサザビーさんとか、青い狸ロボットが主人公のドラいせんが有名だね。
話題がゲームの中のBGMを変更できる話に変わった。ゲーム内ショップで買ったものは、周囲のメンバーにも聴かせることが可能で、個人で聞くぶんには、MUSICフォルダに音楽データを保存する事で、聞くことも可能になるんですって。これは
雑談や放置しながら、約二時間で花の群生地に着く。全員で同じ場所で花を摘むとすぐに無くなってしまうので、三箇所に分散して摘む事にする。
「蜂だ!」
蜂が飛んで来たのでそれを倒すと今度は数十匹の蜂が飛んでくる。分散して作業していたのでほぼ同数での戦闘になる。相手は体をくの字に曲げて、おしりの針を突き出しながら近づき、針で刺してくる。
何人かが刺されて、麻痺状態になったり、毒状態、沈黙状態になったりしている。沈黙や麻痺を治すものを持ってきていないので、暫く異常状態になっていた。
異常状態にはなりたくないので再編していて、全体を二つのグループに分けた。多少効率は下がるかなと思ったが、敵の撃退も容易になり、戦闘中や休憩中に直ぐに花が咲くので効率も落ちなかった。
敵は勝手に寄ってくるし、近づく前に矢で大分落とせるし、入れ食いと言ってもいいくらいに楽に経験値が稼げている。
キラーホーネットからは、キラーホーネットの針と毒蜂蜜が手に入った。なんで蜂蜜に毒が入っているのかはサッパリ理解できなかったが、ゲームなんだし全然気にしなかった。あとでヤハーで検索してみよう。
ちなみに、休憩したい人は街道の安全ポイントまで戻って休憩している。私達も日本時間で三十分程休憩してきた。
帰りたい人は安全地帯で待っていると、十分程度で馬車が来るのでそれに乗って帰っている。確かに移動に五時間もかけたくないよね。
日本時間十八時、ゲーム時間十六時、荷物枠も一杯になった。駅馬車で放置帰還する。
日本時間二十時、北門付近や北門側のギルドの二箇所に別れて、作成に集中している。特に素材が多くて作りきれない程になっているので、知り合いの鍛冶屋が集まっているらしい。
明日の夜までは生産集中して、夜から狩りをすることになっているので私も生産活動をしようかな。生産活動が出来ない人は、荷物を受け取るだけの荷物枠になったり、薬草や毒消し草などを採集したりしている。
荷物を皆に渡し、渡しきれない物は商会に預けた。私も調合で生産する前に師匠に相談してみようかな。フント薬局に向かう。
「あら、えーすさん、お久しぶり、元気にしてた?」
ソフィーさんに挨拶を返して、師匠に会いに来た旨を伝えると、
「ププププ、ローラントなら工房にいるからどうぞ。師匠ねププ」
吹き出していた。工房に向かい、中に入ると師匠のローラントはソファーで寝ていた。代わりに
「こんばんわバーバラさん、師匠は休憩中ですか?」
小さな声で話しかける。
「ん? ああ、夕飯かい。え? ああ、MP休憩中じゃ、なんか用か?」
耳が遠いのかも知れないな。麻痺や混乱を直す為の薬について質問しに来たと伝えたら、代わりに教えてくれた。ついでに盲目、睡眠、気絶のレシピまで教えてくれた。
流石、長期バイトしているだけあるな。麻痺には薔薇又は向日葵のどちらかと合わせ草、混乱にはスノードロップ又は紺蘭のどちらかと合わせ草、らしい。
ちょっと場所が分からないので無理っぽい。ちなみに、調合レベル三のレシピで、調合二で作成出来ないこともないが失敗率が上がるって。
さて、これからどうしようかな。大した調合も出来ないし、薬草なら普通の調合スキルある人達が作るだろう。私は、私にしか出来ない事をすべきかな。
鉄鉱石が足りないと言っていたし、私なら一時間で往復出来るから、ちょっと買い付けに行ってこよう。
ギルドでお使いクエを受けて、商会で発注書を受取ろうと思ったら、商会長にポシェット枠が空いているなら、食料をついでに運んでくれと頼まれた。
ギルドのクエスト枠とは別に、一回十万マールで配達も請け負った。串焼き屋で兎肉食べて、西門から出る。
“兎の餌”は外しているし、装備はモルルンにしているので、出てきた敵は逃げていく。出てきた敵は初心者が倒していたので問題ないだろう。今日は土曜日だし狩れる敵が少ないだろうからね。
人が少なくなったところで、
「脱兎」――――「脱兎」――――……
楽チンだなー。人が多いとどうしても他の人に合わせないといけないから、そこがチョットねえ。
そういえば見たことがない生物がいた。足が六本か八本位ある馬だ。凄い速度で走っているから足の本数までは数え切れなかったが、多いことだけは分かった。
今は通り過ぎちゃったし、今度見かけたら槍で狩ってみるかな。
アイゼンハルトに近づいたので脱兎二に切り替える。街の中にはプレイヤーは見当たらない。商会に行き、食料の納品と、荷物を受け取った。ついでに少し仮眠室で仮眠してMPを回復する。
鉱石屋で鉄鉱石の値段を確認すると一箱二万マールだったので千箱買った。二千万マールの出費だが多分売れるだろう。武器屋にも寄ってみる。
武器屋で品揃えを見るが前回と変わらなかった。ふと壁側を見ると「特売品、現品限り」と書いてある箱が山積みになっている。なんと甘美な、早速確認する。色々な金属が混ざっているが、どうみても只のクズ金属だな。何気なく触ったら痛みを感じた、街の中なのでダメージは無いが気をつけて触らないとダメだね。
「ああ、それかい? 武器や防具、インゴットなどを作成した時に、どうしてもクズが出来るんだ。大抵は回収して使うんだが、他の金属と混じってしまうと分離が面倒なんでね」
一応こんなもんでも溶かして再作成すれば、それなりに利用できるらしい。大抵は耐久度が低くなってしまうため使い捨てるような物に加工するそうだ。一箱千マールと安いが、ちょっと使い道が思い当たらないので買わないでおこう。
クローネシュタットに戻り、商会に納品して、久々にドヤ顔をみせて、北門側ギルドで報告を行う。
「納品クエの報告だね。全部で二万五千マールだね。おや新しい称号があるみたいだが付けるかい?」
“限界を超えし者”の仁と刻だな。目立ち過ぎそうなので、今回は止めておいた。
鍛冶屋が集合している場所があるので、先ほど買った鉄鉱石を三万マールで放置露店する。これでも相場より安いし、あまり安く売るとハンガクに怒られそうだからな。
「うぉおおお、なんじゃこの量は、しかもチョット安い!」
鍛冶屋の人が多く集まってきているようだ。みんなお礼を言って買っている、やっぱ安いっていいよね。ピンポン音がするが、最近はもう殆ど気にならなくなってきた。今のうちにお風呂に入るかなー。
日本時間二十一時、ゲーム時間二十二時、ゲーム内で一時間位なのに全部売れていた。まだ需要がありそうなので、配達とお使いクエと合わせてもう一往復する。
今度は二千箱を購入したので四千万マール掛かった。鉄鉱石の値段は変わらなかった、まだ在庫が多いらしい。
前田や謙信、ハンガク等は素材の調達や生産活動に入っているので、商会でドヤってから、ギルドに報告した後、放置露店してログアウトした。
日曜日、日本時間十時、ゲーム時間零時、今日は日本時間十八時に北門に集合して、兎組の皆で砦に向かう事になっている。
放置露店の鉄鉱石は全部売れていた。まだまだ需要がありそうだけど、売れ残った時のダメージが凄いからな、えーと鍛冶屋でログインしている人は……
「おはようございます。えーすさん。鉄鉱石ですか? ちょっと周りの鍛冶屋に聞いてみますね」
「聞いた感じでは、幾らあっても困らないそうです。私もそう思います。私だけでも二十箱は買いたいですね。作った武器を武器屋に売っても元手は回収出来るので経験値稼ぎになりますし。
公式発表では五十万人突破と言っていたので、八分の一が鍛冶屋だとして六万人以上ですから。
しかも、イベントの影響でこの街に人が集中しやすいので。ただ、何でも絶対は無いので、最後はご自身の判断という事で」
最後は自分で判断、それはそうだ。まあ、アルミラージ狩れば肉と皮がワンサカでて、兎の涙やアルミラージの角もでるし、お金なんて困らないし、それにNPCのお店に売れるとも言ってから何とかなるだろう。
配達クエ、納品クエをセットでこなして、買った鉄鉱石三千八百箱を放置露店する。ちなみにアイゼンハルトの売値が二万一千マールに値上がりしていた。手元のマールは百万弱まで減ったけど大丈夫だろう。流石に売り切れるまでは時間がかかるだろうから、リアルの用事でも済ますかな。
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