Canvas Game

コトイ床

Before 0-前夜当日

 時はメリークリスマス。

 僕は自慢の彼女と何もない公園で待ち合わせをしている。

 そういう色のない世界はとても安心する。


 おっと、自分の世界に潜りすぎていたよ。

 おかげで後方15メートルから接近してきている彼女に気づかなかった。

 そっと膝を曲げ、地面に絵を描くふりをして待つ。


 一定のリズムがどこか可愛く、待ちきれなくなった僕はそっと振り向き君を抱きしめた。




 今日は、真っ白な雪が地面をキャンバスのように。

 暖かい何かは……薔薇の花弁のように。

 遠くなる意識は、一つの効果のように、ぼんやりと景色を映した。


 ベルの響きは、不快な不協和音に代わられた。


 こうして、一つの物語は幕を開く。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る