嘘つきに嘘をつくなと言っても無駄~生活保護の不正受給問題~
神奈川県の小田原市が生活保護の不正受給を非難する様な活動をしていた事。
勿論、不正に対する非難はおかしな事ではない。
しかしタイトルにした様に嘘つきに嘘をつくなと言っても無駄なんだよね。
そして無駄なだけなら、まだいい。
その上、不正をしていない者を萎縮させてしまう。
要するに実際に不正をしている者には大して効き目は無く、利用を必要としている者に利用を控えさせちゃうと思うんだ。
そして実際の小田原市の活動を調べると、どうやら不正を対象としたものではなく、不正でないものもひっくるめての生活保護による行政からの支出を抑える目的であった様に思われる節がある。
不正を糾すとの大義名分の下で、その実は社会からの救済を必要としている者の切り捨てが行われているのではないか、と。
勿論、必要な者は萎縮なんてせずに堂々と利用をすればいいとおっしゃる方もいるでしょう。
でも、生活保護を必要としている者の皆が好き好んで生活保護を受けている訳ではないのです。
実際にどの程度の割合なのかは分からないけど、相当数、申し訳ない気持ちで仕方なく生活保護に頼らざるを得なくなっている方もいるでしょう。
その様な者はどうしても萎縮してしまうでしょうし、無理をしてでも利用を控えたり、そうして無理をした結果、命を落とす者も出てくる。
それを避ける為の生活保護制度じゃないの!?
「無理はしなくていいよ」
「国を頼ってもいいんだよ」
そういう制度だと思うんだよね。
それを一部の悪用する者を糾弾する為とはいえ、困っている者を切り捨てる様な事をしてしまっては何処に正義があるのか。
そして嘘つきに嘘をつくなと言っても無駄なのです。
不正受給者に不正を止めろと言っても止めないでしょう。
悪事を働いている事は十分承知の上での事でしょうから。
それよりも実際に詐欺罪として立件すべきだと思う。
そして立件する為には余り騒がない方がいいと思うんだよね。
不正受給者が油断している間に証拠を集めて立件まで持っていく。
そういう実例を増やしていく事が不正受給を減らす事に繋がるのではないか。
今回の件は自治体がそれを怠って、安易な手段をとってしまった。
更にはその事で、より弱い立場にいる者が巻き込まれる事になっている。
そこに自治体の意図があるかどうかはともかくとして。
そしてもう一つ。
不正受給者に対する非難の言葉。
その言葉の選択にも問題があった様に思う。
確かに"悪"に対して言葉が荒くなってしまう事は理解出来なくもない。
でも、言葉は十分に暴力に足り得る。
近年、特にその事に対する理解が薄れてきている様に感じるが、それでも私は言い続けたい。
"悪事"を糾弾せんとする者が"悪事"に染まってしまってどうする。
相手に非があるからと言って、むやみに傷付けていい訳でもない。
罪はあくまでも法で裁くべきではないか。
そういう意味でも不正受給に対しては非難の声を上げるよりも、黙って粛々と取り締まっていった方が効果的だと私は考える。
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