第30話彼の寂しさ
彼女は落ち着こうと思った。
「私は何故死ななければならない。そんなの人間としておかしいです。人それぞれ個性があります。これで死んだらたまらないですよ。」
彼は口ごもって言った。
「俺は、その。」
彼はなにか言いたそうだった。何かしら遠慮している。
沈黙が漂った。
そんな中、彼女は気付き始めた。
もし自分が彼の立場だったら。
だから、いや、そんなはずはない。
彼も一人の人間だ。
ひょっとして。
彼もほんとうは・・・。
彼女は続ける。
「こんなのやめましょ。あなたもわかってるはずです。自分を見失ったらそれこそおしまいです。」
少し時間が過ぎた。
ようやく、彼は、自分をとりもどした。よく考えれば暗殺しなきゃならない正統な理由はあったのか。何故悲しくて人を殺さなきゃならない。それは変だ。
彼はずっと一人ぼっちだったのかもしれない。家族はいたけれど父親の亡くなったのがいつか寂しさに変わってたのかもしれない。村のみんながいつの間にか彼をにらんでいた。もう遅い。だめだ一から。
彼女はなにかいいたそうだけどなにもかも今わかってしまった。彼が父親がいなかったこと。彼も一人の人間だということ。乗り越えよう。
「私は綾野あかり。今日からちょっとずつ一緒に歩みませんか。」
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