第13話 『神か人か』
バンが去ったあと、三人は口を開けたまま座ってた。
「あー……死ぬかと思ったー…、だいじょぶ? ……ってホンマに大丈夫!?」
疲れの表情を見せ地面へへたり込む霊彦、その姿をみてはっと目を覚ましたように顔色を変えて霊彦に近寄る。
「大丈夫!?」
「怪我は!?」
「大丈夫か!?」
無傷の理由がわからず混乱する頭を一旦切り替え、霊彦の無事を確認する三人に、いつもはツッコミ役でまくし立てられることに慣れてない霊彦は少し顔を引きつらせながら数分かけて落ち着かせた……。
「……で、なんで無傷なんだ?」
落ち着いたゲンナが霊彦が無事な理由を訪ねてくる、その心には嫉妬心も含まれていた。それもそうだろう、純粋な身体能力では最弱の部類に入る人間族がホーガの脚を使っても全く通用しなかった相手の攻撃をものともせず、しかも睨みを効かしてその場から強制的に去らせたのだ。信じられないという気持ちが強くあっても何ら不思議ではない。
「なんでって……俺だって分かんねぇよ、ただ何ともなかっただけ」
そう、霊彦は何か特別な能力を自覚していたわけでも何か特別な能力があるわけでもない、ただゲンナには効いたものが自分には効かなかったから本能的に前に出ていたのだ、責められる筋合いはない。しかしそんな心境を三人が知るはずもなく……
「死んでたかもしれねぇんだぞ!? 考えて行動しろ!」
「あんまり危ないことしないでよ! 命は大切なんだよ!?」
「ひやひやしたんだからね!?」
また慣れない言葉の攻撃に阿須波は……
「ごめんなさい……」
と、言う事しかできなかった……
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「もうすぐだよー」
「やったー!!」
霊彦が叱られてからおよそ三十分後、あれからどんなに無傷だった理由を聞いても霊彦は「わからない」としか言わず、ゲンナもトライルも全くわからなかった為一旦お説教は中断され、再び村への帰路をたどっていた。
すると先程までの森での音とは違う人工的な音が聞こえてきた。
「お、声が聞こえてきたな」
「紹介するね、あれ私達ホーガの数多く住む村、『ダネ村』だよ!」
その言葉が言い終わらないうちに森を抜け、目に飛び込んできたのは、
「大きい……」
奥に見える山までびっしりと続く、『村』だった。
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