works/1177354054880286576
『バジルの鉢』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880286576/episodes/1177354054880290909
不案内な土地で食堂に入る時、前情報を持たずにいられることは幸福だ。「ドライカレー」を頼んだ時にカレーピラフが出てくるか、水気を飛ばしたルーが乗った白米が出てくるか、そんな博打の後の落胆は、行き付けの店やチェーン店等では味わえない。まして、期待通りのメニューが出ることでの喜びなんて絶対に味わえない。
期待以上の何かが出てくるというのも、確かに嬉しいものだけれど、実の所、人は期待以上の何かが出てくる店よりは、期待通りのメニューが出てくる店を愛するものである。
ミステリにおける「事件が発覚する前のとぼけた日常会話」とは何か、それを過不足なく体現したかのような第1話。
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