空箱


彼はまるで空っぽ


もちろん、笑ったり、泣いたり、喜んだり、時には怒ったりするし、妬みもする


でもまるで空っぽ


彼には目的がない

生きる為に生きている

たぶん、最期には死ぬ為に死んでゆく


でもソレは皆同じであって

自分なりの落としどころを見つけて

空箱に中身を詰めていく


でも彼は納得できなかったようだ

考えたって答えは出ないのに

必死に探して、あーでもない。こーでもない。


そんなもんだから、思考は宙ぶらりん

彼の中は未だに空っぽ

中身が無い、内に秘める想いも無い


 僕は自分を表現しよう

 自分の内を表現するんじゃない

 ソレによって、僕を形作るため


彼は、まるで空っぽのまま

死ぬ為に生きているみたいだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る